最終更新 1998/06/28
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4月5日 松乃湯 「うんちふんだ」 アトリエ・フォンティーヌ 2500円
セクシーギャグ劇団の旗揚げ公演だそうです。馬鹿さとシモネタではHighleg Jesusよりひどいかも
しれない。水着パブで働く主人公の女の子が、店のみんなにいじめられて、心の旅に出て不思議な
体験をするという話ですが、政府やあの劇団が怒るかもしれないので書けません。ともかく水着シー
ンが多くてちょっとうれしい。日曜日はすいていたのですが、土曜日とかは混んでたらしいです。
4月5日 MIRACLE MOVEMENT 「リョーマの休日」 ウッディーシアター中目黒 3000円
松乃湯で元気が出たので、帰りの途中で寄ってしまいました。満員で当日券は立ち見ですとか言われ
たのですが、なんとかベンチ席にすわれました。坂本竜馬とローマの休日をくっつけたような話で、
「坂本竜馬殺人事件」とかいう映画を撮影しているところに本物の坂本竜馬がタイムスリップしてき
てあらわれるというものすごいけど小劇場にありがちな設定です。平賀源内の子孫たちの努力で竜馬
は幕末へ帰れたのですが、映画のヒロインの女優まで一緒に幕末に来てしまいます。映画の台本で自
分が暗殺されることを知った竜馬は、女優の説得を拒否して刺客の訪れを待つのですが、自由な日本
の未来を見た満足にひたって斬られていった。現代の映画撮影の場面とかコミカルで笑えるんだけど、
竜馬の独白とか感情入ってみごたえありました。チャンバラもすごかった。小劇場の時代劇ってどれ
も客の入りがいいですよね。不思議なもんだ。
4月8日 NODA MAP 「ローリングストーン」 シアターコクーン 7000円
プログラムの野田・蜷川対談がほとんどについて語っているので、それを読んでしまった後ではつべ
こべ言う気もないのですが、
4月11日 Doktor Griffin 「Phaethon」 アトリエ・フォンティーヌ 2000円
現代音楽とダンスパフォーマンスの第2回公演だそうですが、はじめて見ました。白塗りというか銀色
でかなり激しい動きです。宇宙人っぽいのが3人と、古代人っぽいのが2人で何かテーマがあるとおもう
んだけどよくわかりません。客席が近いので粗が見えてしまうのですが、大きい会場で公演すればかなり
きれいに見えると思います。音楽もオリジナルで生演奏もいいと思うけど、変な音が出たりすると気が散
ってしまうのが難点です。ダンスもソロの部分でもっと新しいものを追求して欲しいです。
4月12日 北区つかこうへい劇団 「サイコパス」 北とぴあ 2000円
熱海殺人事件最終バージョンということで、木村伝兵衛が死んでしまいます。サカキバラとか原発事故など
新しいネタも入っているのですが、基本的にはどろくさく、私が見た熱海のなかでは一番古風な感じがしま
した。でもつまらないということではなく、だんだん登場人物が追い込まれていく過程の組み立ては、紙と
ペンだけでは決して作ることのできない、演劇が本当に熱かった時代の匂いを感じさせてくれます。つかこ
うへいにしかできない仕事ってやっぱりあるんだなと、けっこう感慨にふけってたりします。
4月12日 宝塚雪組 「LET'S JAZZ」 帝国劇場 5500円
うっかり同じ日のチケットを買ってしまったために、前半の「春櫻賦」が終るころに帝国劇場に着きました。
もう宝塚はやめようと思っていたのですが、帝国劇場に入ったことがなかったので劇場見物と、苦しい
言い訳をしておきましょう。LET'S JAZZは文字通りのジャズによるダンスと歌のショーです。ダンスは群舞
がほとんどで、これはすごいというものは無いのですが、こまかい所を見ると創作も進歩しているし、全員
のレベルが高いです。でもそろそろ作る側に新しい風が必要かなとも思うのでした。
4月17日 RAIN DOGS「元気かい?天使のワルツ・獣の泪」 千本桜ホール 2000円
吹雪の山荘に怪しい2人の男がいて聞く音楽のことで喧嘩をしている。そこに人のよさそうな精神科医だと
いう男が迷いこんできた。3人の男が酒を飲みつつ3日をすごす。このまま酔っ払いのたわ言だけの劇なの
かとおもっていたら最後の5分で急転直下の大展回。3人はテロリストで、精神科医を名乗る男は弟の敵を
打つために山荘にやってきたのだった。パンパンパン。火を吹く拳銃。
とにかく最後おどろいただけで、それまでが辛かった。教科書どおりの演技をしろとは言わないけれど中途
半端に不愉快にさせる演技はなんとかして欲しい。いくら酔っぱらてる設定でも、あんなにころころ喧嘩し
たり、共感しあったりするか?ギャグの使い回しや解説も勘弁してちょー。
4月19日 朋友「Later Life」 ウッディシアター中目黒 4500円
A.R.ガーニーの大人(中年)向けの恋愛ものです。典型的なボストン人であるオースティンは離婚後気の晴れ
ない毎日を送っていたが、友人のパーティで1人の婦人を紹介される。ルースという婦人は自分のことを知
っている。やっとのことで、30年前海軍時代にイタリアで会って、お互いに好意を持ったのだがそのまま
別れてしまった女性だと思い出した。彼女は4回の結婚をし、現在のギャンブル好きの夫から離れてボスト
ンの友人を訪ねていた。テラスでの語らいは2人の大人に恋の復活をもたらしそうなのだが。。。パーティ
ー会場から次々とあらわれる人達が2人を語らいを邪魔し、盛り上がりと白けの繰り返しとなる。つい
にオースティンはこれからの人生にルースが必要であると切り出し、ルースも受け入れようとしたときに、
居場所をつきとめた夫からの電話があり、ルースは夫の元へ帰る事になってしまう。この判断をどうと
るかは見る人様々でしょう。
ルースを演じたのが長山藍子で、小劇場は初めてだそうです。比較的淡白な劇なので、ほんとはどんな役者
なのかまではわかりませんが、おさえた演技の中にも表情が豊富で、いろいろ楽しみ所のある劇でした。他
の役者も新劇のテイストだと思いますが、きれよりも深みを出しつつ、現代劇のウィットも持ったなかなか
の内容でした。ふだん見ないジャンルの劇団ですが、たまにはいいですね。受け付けの対応も丁寧で好感が
持てました。
4月25日 ミュージカル座「ロザリー」 六行会ホール 4500円
Wキャスト公演のB組を見ました。処刑前夜のマリー・アントワネットと牢獄女中ロザリーの回想として、
王室と庶民の両方からみたフランス革命を描いた作品です。貴族に父親を殺され、それが原因で母親も自殺
してしまったフランソワーズとロザリーの姉妹は酒場で働きだすが、ロザリーはバスチーユ看守長のベッド
の相手をさせられ、看守長を刃物で傷つけ逃走し川へ身をなげてしまう。姉のフランソワーズはロザリーを
探し続けるが、バスチーユ襲撃のために庶民がまさに立ち上がろうとしたその時、ロザリーが現れ再開を果
たす。しかしバスチーユでフランソワーズは銃弾に倒れ、ロザリーはルイ16世とアントワネットを許さな
いと誓う。アントワネットとルイ16世はフェルゼンの手引きでベルサイユ脱出をするが、捕まり裁判で死
刑判決をうけ、ロザリーはアントワネットの世話係りとして近づくチャンスを得た。しかし37歳にして老
婆のごとくさらばえたマリー・アントワネットを目の前にして敵意は消え、数奇な運命の末に出会った2人
は心の結び付きを得る。
フランス物ということもあり、のりは宝塚に近いものがあるけど、エンターテイメント的サービスがどうし
ても出てしまう宝塚と異なり、ひどい話でもかまわないという姿勢で作ってあるのがなんとなく好きです。
1995年に書いて2回試演をおこなって、今回の上演となったということで、ロングランにも耐えるよう
な作品に練り込まれています。別作品の上演をしながら3年間作り続けてきたというのがすごいです。2時
間半の上演時間のうち、ロザリーとアントワネットの2人がからむ部分というのは最初と最後だけで少ない
のですが、人生の集大成ともいえる凝縮された時間を作っています。演技はフランソワーズの木村マキ、歌
はロザリーの片岡直美が良かったです。他の出演者もうまいとはいいきれないですが、余裕なしの出し切っ
ての演技なので、最近もっともくいいるように見てしまいました。
4月29日 ヌクヌクトゥモロウ 「綺縞幻想たん」 アゴラ劇場 2000円
またしても'たん'の漢字がでません。爆破事件の被害者で意識不明の人に対し、刑事たちがサイコダイブで
犯人の聞き出しをしようとする話です。ちょっとスナフキンと似た設定かもしれない。現実世界と、意識不
明の人の精神世界を1人2役で交互に進めていくので、着替えとかたいへんそうでした。出だしのところと
か、ちょっと硬いけど言葉を選んで作ってあっていい味でしたが、だんだん暗転回数が多くなってきて、暗
転でスピード感とか出せていたらよかったかもしてませんが、ちょっとバラバラしてしまったかなという気
がします。大学生くらいの年齢だと思いますが、レベルの高いものを作ろうという気合は感じるのですが、
表現しきれないもどかしさは本人たちもわかってるでしょうね。
4月29日 出世魚カンパニー「カリメロはお友だち」 千本桜ホール 2000円
旗揚げ公演初日で、めちゃ混みでした。前半40分くらいが「カリメロはお友だち」という劇で、女友達4
人がシートを広げてビールを飲んでいると、小学校の時の同級生が死んで明日通夜だという連絡が入る。カ
リメロというあだ名で連絡を受けたので、その人の本名がわからない。なにがなんでもカリメロの正体を突
き止めようとする人達の話でした。変な論理の展開とか、リアクションを楽しむというところでしょうか。
後半は女性2人によるパントマイムで、窓拭きとガラスの内側にいる人、バーのカウンタでの男女、銃を持
って突入しようとする刑事の3本だてでした。台詞のある劇と違って、集中して見てないと理解できないん
けど、狭くて尻が痛くて落ち着いて見れる状況じゃなったです。でも、かなり面白かったです。口にゴムを
くわえさせて、伸ばして、放すってのはおきまりなんですかね。
チラシとか見るとけっこうパントマイムをやってる団体ってあるもんなんですね。
4月30日 ダミアン「からす狩り」 東演パラータ 2500円
大道芸の一座に探偵と’空’という名の女が何かを探して潜入する。そこは座長がはっきりきまってるわ
けではなく適当に選ばれた者が座長になり、クロウという名の青年が芸もなくいじめられている。いろいろ
あって、クロウと空は一座を逃げ出すが、からす狩りが始まり、皆一座に戻ってしまう。何が一座を形作ら
せているのだろうか?。ちょっと日がたったのでストーリー忘れちゃってしまってますが、元々わけのわか
らん内容です。脈略がつかめない。芸にだまされてしまっているのか。
ストーリーはわからんですが、美術はすごかったです。回転舞台の上に小屋風の物があり、仮面をつけた登
場人物がへらへら笑ってる。その後小屋を分解して一座のテント内らしき場面となり、空とクロウと座長を
中心として語られていく。途中芸の披露とかもあるんだけど、これは素人の域でしょう。時々あらわれる赤
い衣装に白髪の女がかっこいい。声もいい。寺山っぽいのはしばらく見てなかったので、慣れるまで気持ち
悪かったんだけど、だんだん世界に浸っていくと心地良さがなんともいえません。
5月02日 FEVER DRAGON 「DEEP BLUE」 芸術劇場小1 2500円
ふだんはオリジナルを上演しているそうですが、今回はMOTHERの作品を海賊版公演と銘打っての上演です。
でも升毅のコメントも載ってるのでちゃんと許可を得ての上演でしょう。製薬会社の新薬開発に関する科学
的、倫理的な問題をミステリー味を加えて書いてある作品で、本としても面白いです。
20人位が出演したのですがダンスとかもちゃんとしてるし、日頃からかなり練習してるんでしょうね。船
橋の劇団らしいですが、年齢も30〜20歳と幅あるし劇団運営がしかっりしてそうです。船橋の演劇がさ
かんな高校の出身者が多いというのも恵まれているかもしれません。でも劇団名がちょっと若者向けではな
いかも。
MOTHERの公演も見てないですが、パンフを見るとお笑いの部分が無理だからということで削ったみたいで、
たしかに笑える所はほとんどないですが、けっこう手に汗にぎる展開で、劇らしい劇をみたって感じです。
5月02日 幻想航海図「癒しの儀式」 ストアハウス 1200円
地元(江古田)の日大芸術学部の連中のようです。やたらと寒い芸を連発する王様と、SM両方の趣味を持
つ執事と、口がきけない下女と、途中でピカチュウになってしまう女医と、じゃがいもがとりなす縁で結ば
れた執事の妻と、じゃがいもがきらいな執事の娘と、キャベツが嫌いな娘の友人と、すぐにライブをやりた
がる怪しい歌手と、ピカチュウを股間につけた裸の男が登場する大馬鹿物です。
とてもよく考えてある?という気もしないではないけど、東京西北部の大学生にありがちな踊って始まり、
繰り返しを多用したナンセンス表現ってのが。。。まあ、ゲラゲラ笑えるほどおかしくはなかったけどスジ
がよさそうな作りであることは認めましょう。下女のせりふのないせつない演技と表情を殺したメイクがな
かなかの見所でした。
5月03日 メガトン級カメムシ「龍宮ノ宴」 pamplemousse 2000円
某氏がおすすめしているのでいってみました。浦島一郎なる青年が亀を助けて、秘密クラブ「龍宮城」につ
れていかれ、そこでいろいろな出しものを見るという趣向です。メインキャストが女性2人で、馬鹿&シモ
ネタのオンパレードです。努力と勇気は認めるけど、ビデオでつなぎを入れたり、1つ1つの話が短かった
りして、人手不足だと思うんですよね。もう少し人を増やしてまとまりのある作品にしたほうが劇場公演と
しては見所が多くなっていいと思うんですが。超能力学園はちゃんと話を作ればおもしろそうです。
5月04日 Ariel「シルエット」 スタジオはるか 2300円
いきなりロミオとジュリエットのクライマックスから始まり、ばか丁寧なせりふを吐きながらロミオは毒を
あおり、ジュリエットは剣を突き刺し死んでしまいます。まさかこれで終りと心配になったのですが、暗転
後セーラー服のねえちゃんが出てきて、ロミオ役の練習をはじめます。どうも文化祭で「ロミオとジュリエ
ット」を上演する学園物らしい。次に男装のねえちゃんが出てきて相手役のジュリエットをやってやろうか
と言い出すのですが、男装のジュリエットにセーラー服のロミオではキツイということで練習をやめます。
その後オーディションが行われたのですが、ジュリエット役を確実視されていた委員長がこなかったため、
ロミオには男装の生徒、ジュリエットは登場しない生徒に決まります。委員長は役者になることを親に反対
されたためにオーディションを受けなかったのですが、説得されて再オーディションを受けジュリエットと
なるのですがロミオ役の生徒とぎくしゃくとした関係になってしまい、どうも同級生を超えた感情が存在す
ると気付きはじめます。男装の生徒の名前は’はるか’、委員長の名前は’みちる’、うーむどこかで聞い
たような、しかもそっくり。というようなちょっと危ない話でした。セーラー服はちょっち無理がある年齢
だと思うけど、おちょくりとしては面白い内容でした。劇中劇のロミオとジュリエットの部分は学園物の部
分と違っておふざけ無しで、うまかったです。第一回公演だそうですが、女性3人の出演者はある程度舞台
慣れした感じで落ち着いてました。’はるか’が格好よかったです。
5月04日 上「まっすぐ」 アゴラ劇場 1700円
こんなに疲れる劇はひさしぶりです。しばらく劇場には行きたくなくなるような気がします。(翌日しっかり
2劇場行ってるけど) コンピュータ関係の仕事をしている若者がだるくて会社を休み、アパートで寝てると
呼鈴がなり「宗教です。」といって女が訪ねて来た。「実は売春です。」というのだが、しきりに若者の生
い立ちについて話をしてくる。女が「妾の子で、死んだことにされ戸籍がない。学校には全然いったことが
ない。」というのだが理路整然とした話の進め方をしてくる。若者には兄の死と家族崩壊という経験があっ
たのだが、ふだんはそれについて話をすることもなく1人暮らしをしていた。というか、過去を心の奥にお
し込めていた。女のほうが次々と悲惨な身の上を話すので、若者も引きずられて自分の過去を告白してゆく。
若者とおしかけ女の2人を、女性役者2人で演じる劇です。やりといとか動きは楽しいんだけど、話の内容
とか心と心のかけひきとかが重くて、とにかく疲れました。でもここまで人間の深いところに働きかけてく
る劇って簡単にはつくれないと思います。たまにはこういうのを見ないといかんです。しかし最期のオチは
納得いかんです。
5月05日 燐光群「沖縄ミルクプラントの最后」 スズナリ 3200円
沖縄の米軍基地内にあるミルク工場の閉鎖に関する労働問題をあつかったものです。これまで入札で決まる
ミルク納入業者に雇われていた日本人労働者は、ミルク製造が合理化でなくなるかもしれないということで、
MLCと呼ばれる日本政府が雇用する身分への移行を要求しましたが、職種代えや賃金の問題もあり職場は
不安と、組合執行部への不満などが入り交じる日々を過ごします。
労働問題、沖縄問題を扱ったとして、硬そうな紹介が多かったのでどうかなと思ったのですが、登場人物の
明るい性格によって、悲壮感とかは無かったです。かといって社会性をないがしろにしたというわけでは無
く、記録的価値やシチュエーションに対する人間性分析として演劇化した意味は十分あると思います。ごあ
いさつを読むと、本を書くときの技法的な工夫とかもバラしちゃって坂手洋二もいい人になってしまったの
かな。それといつもより年配男性客が多かったのが、ちょっと気になります。
5月05日 Actress Theater「さまよえる皇后」 シアタートラム 950円
お茶の水女子大ミュージカルカンパニーを元にした劇団 Actress Theaterの第一回公演です。千円やそこら
では絶対に費用の回収ができないような、金のかけ方してます。演技、照明、音響どれもかなりの水準です。
でもプロを目指すんだったら(全員でないとしても)、これではまずいと思います。
5月09日 [kju:]「桃○太郎」 千本桜ホール 1500円
3劇団が協力しておこなったプロデュース公演だそうです。患者が全くこない浦島クリニックに、桃○太郎
のたすきを掛けたケガ人がころがりこんできた。記憶喪失なので院長が新聞に記事を出すように記者に頼む
と翌日太郎の知り合いを名乗るたくさんの人が来た。どの話ももっともであるが、あまりに変な連中ばかり
で、聞いてみると記者が勝手に書いた、情報提供者には200万円さしあげますを目当てに来たことがわか
り追い返される。経営難のため医院を売りにだそうとした時、実は記憶喪失は嘘だったことを告白する。
前説でおもしろい劇なので笑ってくださいとか言ってたんだけど、ひょうきんな看護婦と賞金目当ての変な
連中まではそこそこ面白かった。しかし医院を売りに出す以降が、息苦しさだけが目立ち、ちょっと安易な
人情的解決をみてしまい、見ているほうも恥ずかしくなったりした。役者では看護婦が全体を支えていたが、
瞬間的には代議士秘書の女とか、ブリブリ少女がおもしろかった。
5月10日 NYLON100℃「吉田神経クリニックの場合」 中野ザ・ポケット 3500円
ひさしぶりのナイロンです。別役実の「受付」を若者向けにアレンジしたものです。モンティ・パイソンの
コント5本も取り入れているそうですが、私は見たことないのでどの部分がそうなのかしかとはわかりません。
ある男(みのすけ)が不眠の相談に神経化を訪ねると受け付けの女(犬山犬子)がアイバンクへの登録をしき
りに勧める。しぶしぶ登録することを承諾すると、次は白菊会という献体の団体にも入れと言う。どうも吉田
神経クリニックがあるビルにはいろいろ大変なオフィスがあるらしい。
ギャグもここまで垢抜けていると芸術なのかもしれません。とってもインテリジェンスあふれるドタバタだっ
たことは確かです。議論屋とかありがちなコントだけどいいなー。全体として期待を裏切らないけど、だんだ
んうまさが目立ってしまってベテラン劇団みたいに刺激が物足りないってのは、観客のわがままでしょうか。
一度若者をシャットアウトして中高年の観客だけで反応を見るとかやってほしいですね。
5月16日 ねこのひけ°「大きなキャンバスに絵を描こう」 千本桜ホール 1200円
第2回公演だそうですが初めて見ました。副題が〜生きるのが楽になる方法〜とあるように、若者の生き方を
考えたものでしょう。コンピュータ会社に就職した青年が、入社式でとても元気な女子新入社員に出会う。5
月病で落ち込んでいると、その子が励ましてくれるのだが昔からの知り合いのような気がする。その女子社員
は両親を早くに失い、犬を友達として成長してきた。ある日青年が屋上で悩んでいるでいるうちに、、、青年
が犬となって、女子社員と死んだ母親がどうように大人になっていったかを追体験することとなる。
女子社員とその少女時代を演じたのが作・演出も手がけた松村実和という人でカエルっぽい顔だけどうまかっ
たです。悩める青年もスーツが似合ってなかったけどなかなかいい味でした。人が大人になることというまさ
に演技者のみなさんが渦中の問題を、かなり真剣に考えた良い作品だったと思います。顔は笑ってる場面が多
かったけど、ところどころに見える寂しさが印象的でした。もう一山超えるとみごたえ十分になると思います。
5月17日 Model Production「UNSUNG HERO」 目黒区公会堂 1500円
大学の英語サークルの団体がおこなってる演劇活動で、32回目(川平慈英がFameを演じ、別所哲也も出ていた
とのこと)だそうです。もちろん英語です。ベトナム戦争から人殺しがいやで脱走してきた兵を日本人の青年が
匿い、投獄されても居場所をしゃべらずに、いけなくなってしまったサーカスの物語を綴っていくという、シビ
アでメルヘンな不思議な話でした。
奇抜なストーリーだけど、戦争とサーカスの物語のギャップが大きすぎてまとめきれてなかったように思います。
もう少し人間同士のぶつかり合いを入れてもよかったのでは。サーカスの動物のシーンはおかしかったけど、今
考えるといろいろ深い意味がありそうです。演劇的にはアマチュアだと思うけど、このアマチュアさゆえに訴え
かけるものもあります。演劇としての満足感はないけど、いろいろ感じるものがありました。
5月22日 力の加減「海妖」 アゴラ劇場 2500円
今までにない社会問題を扱った内容になってましたが、ごあいさつを読むと最初の思い着きからどんどんかわっ
てきてしまったようです。とある海辺の町に原発ができて、役場の環境課長が海岸をぶらぶらしていると人魚(大
きな男)が現れ銛を刺してしまう。役場に連れ帰り手当てすると、腹は人間の体と魚の体の結合部で傷ついても痛
くないらしい。課長の妻も環境課職員で、その兄妹たちは発電所に勤めているのだが、ある日発電所から持ち出
したビールを飲んだ妹が人魚になってしまった。兄たちが必死の治療を試みると、妹と男の人魚はFとAの2人
組漫画家になってしまった。
ナンセンス物なんだけどブラックジョークがききすぎて、所々ほんとに笑えない。とはいってもクライ
マックスで妻が課長を銛で刺すところの落ちとか、こいつらやっぱりくさってる。このなさけなさが力の加減の
価値なんだろうな。作・演出の松下浩則が妻の兄役で、まあ悪役だったのですがちょっと演じすぎの観あり。観
客を銛で刺して一躍有名になったりしなくてよかった。
5月23日 木野花ドラマスタジオ「青い猫」 芸術劇場小1 2500円
木野花もひさしぶりです。週3日授業で1年間というなかなかハードな教育の第4期生の卒業公演だそうです。
ある町で連続通り魔事件がおこり、その付近に住む人のなかに犯人がいそうなのだが。。。18人のキャストが
いて、最初2〜3人ずつが関わり合いを持っているのだが、短編的な出来事の末に次第にからみあっていくとい
う構成です。はじめにテキストありという劇でないことは確かですが、女子高生とかホームレスのストーリーは
通り魔とほとんど関係ないはずなんだけど、うまくつながっちゃてる感じです。ふられ女安達を演じた増本美穂
が注目されたような気がします。各出演者とも自分で考えて演技ができますよというのは分かるのですが、見に
来た人にインパクトを与えていたかというと、それほどでもないような気がします。
舞台がフロアの両端に作られ、その間に橋があり、両側の舞台で交互に話が進んでいき、ときどき役者が橋を
ダッシュで走るという、観客からすると見やすいとはいえない劇場のつくりで、橋の反対側の観客の顔がみえる
というのも、たまにはいいけど、やっぱり落ち着きません。
5月23日 GIN&NIC「せんじょうのふたりともうひとり」 千本桜ホール 1500円
せんじょうは戦場ではなく、船上だったようです。タイタニックを見てひらめいたんでしょうか。でも探偵2人
と、追われる1組の男女の話で、ストーリーの関係はなさそうです。空手系のアクションを売りにした劇団のよ
うで、みんないい体しています。でも劇よりも前説に出てきたお笑いコンビ(パックともんちゃん?)の方が面
白かったかもしれない。
5月24日 T.P.T.「娘に祈りを」 ベニサンピット 6000円
男の観客は10人くらいしかいなくて、180人位女性客というすごい状態でした。この戯曲を日本で上演する意味が
わかりません。熱海殺人事件みたいな話を、熱海殺人事件向きなキャストで、アメリカ人の価値観を徹底させて
演じた時に、どんなカルチャーショックが起こるだろうという楽しみはないでもないですが、薬物使用や暴力に
肯定的だし、精神的心理的な所を深く描こうとしたとも思えません。
役者やその演技を見るという目的においては、サービス精神あふれる作りでしたから満足できたかもしれませんが。
以下あらすじはソースの表示でみてね。
5月25日 扉座「無邪鬼」 スズナリ 3800円
評判がいいので、出かけてみました。この日は指定席が7枚当日券として残ってましたが、結局階段席までいっ
ぱいでほぼ満員でした。扉座の本公演は初めて見たのですが、なかなか渋くていいですね。
空地の猫がうるさいということで呼ばれた役場のすぐやる課の2人が猫を探していると無邪鬼が1匹あらわれた。
無邪鬼は魔法を使っていろいろな遊びをするのだが、魔法は職人達がお膳立てしていたのだった。無邪鬼のしっ
ぽを切ろうとする包丁じじいが追いかけてきたり、昔友達だった女の子が結婚のためにお別れを言いに来たりし
ても無邪鬼は無邪鬼でありつづけようとするのだが、目的を持って生きることの価値を感じた無邪鬼は大人にな
るためにしっぽを切ることを決意する。
あんまり良すぎる話の劇は好きじゃないんだけど、見ちゃうと見て良かったと思う今日この頃、もう年なんでし
ょうね。黄色い長靴が泣けました。客入れやってる劇団員もものすごく楽しそうにやってるし、いいこといっぱ
いある劇団なんでしょうね。
5月29日 ミスタースリムカンパニー「JACKAL」 千本桜ホール 3500円
初日でしたが入れなくて帰った人もいるようです。ロックミュージカルの老舗ですが3年半ぶりに見ました。
ゾンビと呼ばれるドラッグと暴力によって無法地帯となった都市に住む若者と、いかれた警察のバイオレンス
物です。ピストルぶっぱなしのひどい話だけど、歌とダンスは他とはちょっと違う。普通のミュージカルファン
には雑な所が許せないかもしれない。しかし、きれいなだけでは伝えられない熱気がここにある。劇場で見なけ
ればわからない何かが。
出来はいろいろだけど、小劇場オリジナルミュージカルは好きなジャンルの1or2位なんだなこれが。
6月06日 ぞんぞん 「アルハンブラ症候群」 千本桜ホール 1300円
はじめて見たと思うのですが、見覚えのある顔のような気もします。8年前の作品の再演だそうです。アルハ
ンブラ宮殿に財宝を探しにきた2人の女が、Gメンにつかまり取り調べを受けるが、Gメンが昼寝をしている
間に逃げ出す。別に盗賊団”コック長の湖”の女ボスが、宮殿のガイドを脅して3人の姫に関する財宝を探し
ている。合流した3人の女とガイドは147年に1度しか開かない部屋に入ることができたのだが、その部屋
には恐ろしい呪いがあった。
とってもあほらしい話なんだけど、小劇場ならではの笑えるネタを多数盛り込んであって、すごく楽しかった
です。ほとんどもう思い出せないけど、首のない馬の亡霊においかけまわされて、噛み付かれる?所とかおち
はかなり見え見え。だけど笑っちゃうんですよ。元OL役の橋本亜紀のぼけが何ともいい味でした。
6月06日 流山児★事務所「ピカレスク黙阿弥」 本多劇場 5000円
「籠釣瓶花街酔醒」という世話物を原作としているのだが、実は黙阿弥の弟子、河竹新七(三世)の作品だっ
たというおことわりが書いてありました。それはさておき、「籠釣瓶」を上演しようとする劇団の稽古場での
出来事と、「籠釣瓶」の中の出来事をオーバーラップさせた構成です。劇団の座長(榎木孝明)は花魁八ッ橋
役を座員でなく新人を使おうとしていたのだが、あまりいい役者が見つからない。そんなある日ストリッパー
だという1人の女(大路恵美)が現れ、何かを感じた座長は八ッ橋役をその女に決めてしまう。しかし女は芝
居の稽古にほとんどあらわれず、座長と座員の間に溝がうまれ、代役をやらされていた看板女優が劇団をやめ
てしまうなどぼろぼろになってゆく。
「籠釣瓶」の物語は花魁に振られた田舎のお大尽が、数ヶ月後に吉原へあらわれ花魁や若い衆を斬り、吉原百
人斬りと呼ばれる事件をおこす物語であるが、劇団の座長もその女に惚れ込んでしまうために芝居の中の男と
同じ状況になってゆく。
榎木孝明のかっこ悪さが芸術的。ちゃんばらもかっこ良くやればかっこ良くできるはずであろうに、田舎のお
大尽役ということで目茶苦茶かっこ悪い。女のひもにもいいなりに金を出したり、惚れた弱みでぼろぼろになっ
ていく男をいい味で演じた。大路恵美は稽古にこない役者なので、主役の割りには出番が少ないのだが、妙に
この劇にあっていて、ラストシーンの奇麗さもあり、じんわりと好きになるタイプの女性です。台本も演出も
どろくさくて、洗練されてないんだけど年間ベスト5に入れるくらい気に入った。期待していなかったぶん、
うれしい誤算。
6月07日 6番シード「MUKAIYAMA ザ トラブル増すターズ」 ストアハウス 2200円
おすすめメールが来たので、初めて見にいきました。タイトルださいけどハートウォーミングな探偵ものです。
フリーターをしていた25才の男が運命的な出会いを感じて探偵事務所に就職する。家族円満
を作るための仕事だと社長にくどかれ、青年が初仕事に赴いたところは、家族仲の悪い医者の所で85才の爺
ちゃんが若い女にひっかかって財産を女に渡すと言っているので、爺さんに少し早く成仏してもらうという仕
事だった。塩素系洗剤や、ボヤで爺さんを事故死させようとするのだが、元気な爺さんはそう簡単にはくたば
らない。遺産を手に入れたら家族解散で楽しく暮らそうとしていた息子や孫たちも、次第に爺さんを殺そうと
したことを後悔しはじめる。
結構中年客も多くて、若い人もそうでない人も楽しめる内容でした。劇団としては6年目だけど、今回初舞台
・初参加という人もいたそうですが、うまい具合に舞台空間を作っていて没入して見てしまいました。でも最
後、に爺さんが探偵社にあらわれてネタばらしをしたのが、ちょっと蛇足だったような。池袋周辺は人間的、
人情的な作品が多いのでしょうか。
6月07日 1mg「巻き毛」 ジェルスホール 招待
今年最大の問題作かもしれない。1957年スプートニク2号はクドリャフカ(巻き毛)という名の1匹の犬を乗
せて宇宙へ飛んだ。クドリャフカの帰りを信じ、工場の煙突から呼びかけをしようとする少年と、小さな村に
すむ老人たちの物語です。
基本的には、チェーホフなどと同じく、「人は何にすがって、何をよりどころに生きるか。」というところを
描いていると思います。従来の価値観をひきずり現役でありつづけようとする老人、若者に明日を託そうとす
る老人、結婚のために音楽家への道を捨てたつもりが反って彼女から嫌われる原因になってしまった男、そし
て煙突に登ろうとする少年。これらの人物に対してはとっても文学的な思考が適用される。これが単なる文学
作品でないのは、クドリャフカが知能を得て様々な思考を繰りひろげる場面が多々織り込まれていることであ
る。生き方を見失いかけている地上に住む人々と、もう地球には戻ることのないスプートニクの中で次々と答
えを見つけていくクドリャフカのどちらが本当に幸せなのか。
劇は力不足で不満もあるが、戯曲そのものはかなりハイレベル。
6月13日 ベターポーヅ「カエルとムームー」 劇小劇場 2500円
女3人男1人の変な兄弟の妹が結婚することになり、姉たちは徹夜でウエディングドレスを作っている。いと
この国際線スチュワーデスや婿さんたちがやってくるが、婿さんは丸いものを見ると恥ずかしくなる男だった。
いつのまにか全員が不眠症になっていて、その証拠に膝に赤い痣ができていた。そしてなぜか踊りだす。
日常生活のなかであったらやだなという現象を多数集めた内容で、ハイな状態で見るとおかしいかもしれない
けど、ついていけないとすっごく不快に感じます。意図的に毒のある物を作ってるのだと思いますが、ある意
味衝撃は受けるけど何回も見たくなるようなものではないです。それにしてもあの卵はどうなるのだろう。
6月27日 ダミアン「千夜壱朝」 シアターPOO 1500円
ダイレクトメールだけをたよりに出かけた番外公演です。アゴタ・クリストフの「エレベータの鍵」という本を
原作とした正味30分くらいの3人劇です。エレベータしか出口が無い部屋に閉じ込められた男は外の森を歩き
たい欲求に苦しめられていた。男を愛する女は男を苦しみから解き放つために、女医に男の足の神経を切るよう
に頼み、男は車椅子の生活となる。次に耳鳴りがするというと、こんどは男の耳を聞こえないようにし、外を見
たいといったときに、破壊された景色を見せるわけにはいかないと、男の目を見えないようにしてしまう。男が
苦しみを訴えるのは、男の声がきこえるからだと気づいた女は自らの耳を聞こえないようにするが、男は窓を破
り飛び降りてしまう。
一見屈折した愛情がもたらす悲劇を描いた、痴情文学物のようにも見えるのですが、幸せと苦しみが実はとても近
いものであり、どう感じるかは時と場合と人によりけりなんではと思う次第です。
5台のテレビモニタとビデオカメラによるリアルタイム映像というのも、異常なシチュエーションをうまく表現
するよい効果を出していました。ブランク明けなので、短くてよかった。
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take@gene.ne.jp