1997年の演劇(パート2)

最終更新1998/01/11


7月9日 「君となら」 パルコ劇場 7350円

前回の公演はテレビでしかみてませんが、劇場での面白さは予想以上でした。娘の恋人があいさつ にくるのですが40以上年の離れた70才の男で家族は驚いたり、娘が嘘をいうので誤解が誤解を うんではちゃめちゃです。やりとりの間とか絶妙で、コメディとしてはほとんど完璧に面白かった です。ただ斎藤由貴の行動(演技)が次が読めるというか意外性がなくて、他の役者ほど芝居を楽 しませるに至ってないという点で、もうひとがんばりしてくれよてって感じでしょうか。
携帯電話が鳴りまくりで観客のほうをなんとかしてくれのほうが重大かもしれない。

7月12日 THE SOWERS「チェーホフ・ア・ラ・カルト」 千本桜ホール 2700円

チェーホフの短編コメディ4本だてで、1人の俳優が舞台上で衣装を代え各編の登場人物を演じると いう趣向です。
「誘惑」は裁判を終えた判事たちが部屋に戻って、裁判長(前記着替えをするの男)が書類を作成し はじめるのですが、他の連中が食べ物の話を始めてしまい大声で議論を交わすために書類作成ができ ず、爆発してゆく話です。
「外交家」は途中寝ていたのでおもいだせません。
「創立記念日」は銀行の頭取室で、会計係(着替えた男)と頭取が株主に示す書類を作成していると、 頭取の妻があらわれ騒ぎ、さらに謎の老婆があらわれて筋違いな金の無心をはじめ、頭取達は2人の 女に苦しめられる話です。
「タバコの害について」は講演する男(着替えた男)がタバコの害について講演するのですが、この 男は妻の経営する学校の事務職であり、医学的なことはわからないので感情的な話をし、だんだん妻 の不平を愚痴るだけになってしまう話です。
着替えながら演じた俳優(鎌田宏)は40くらいだと思うのですが、ふけた役もおもしろくこなして ました。チェーホフの短編などはあまり知らないので、脚色の程度はわかりませんが、「桜の園」とか の有名な作品とは一風違った演劇的愉快さが良いです。私は日頃、小劇場はオリジナル作品が良いと 考えているのですが、古典もいいもんだなと感じた次第です。

7月20日 TIME Produce「TWO Suns In The Sunset」 千本桜ホール 2300円

副題が「七月の新撰組」とあるように、新撰組のチャンバラ劇です。昼公演は満席で入れなかったの で、夜出直して最前列で見ました。夜も立ち見がいたので、最近の千本桜では最高の観客動員ではない でしょうか。近藤勇が岡田以蔵に殺されて、土方は役者くずれの男を身代わりにし、隊士たちも欺こう とするのですが、囲い者としていた深雪太夫には簡単に見破られ、偽者の男が近藤勇たろうと苦戦する 話です。ところどころギャグもあるんだけど基本はハイテンションの演技重視の芝居で、チャンバラも 速くて迫力あるし、竹刀では力入れて殴るので出血してました。静かな見せ場では偽者の近藤が深雪太 夫に、本物の近藤がどんな男であるかを尋ね、自分のことを嘘でもいいから勇と呼んでくれと頼むあた りは良かったです。
しかし時代劇ってのはどう見せるかがすでにわかっている芝居であり、その公演での満足・不満足は得 られるけど、発展が無いと思うのです。小劇場ならせめて歴史のメジャーシーン以外から題材を探して 欲しい気がします。

7月26日 TRIPPING ONANIES「Alternative 禿」 千本桜ホール 1000円

劇の出来は今年みた中で最低でした。でも愛せるバカ劇団ではあります。口内炎の新薬が発明されて、 それを奪おうとする闇闇団と警察の闘いという話らしいんだけど、最後は闇闇団の女ボスと、女性首相 が姉妹で解決してしまいます。役者もヘボいんだけど、赤タイツの女がなかなか味がありました。

7月26日 zinjanthopusboisei「Melancholia」 芸術劇場小1 3000円

台風で強い雨が降ってきたので、すいているのではと思いずぶぬれになりながらでかけました。やはり いつもにくらべるとすいてました。真夜中の公園で、幻の青い犬をめぐって起きた不思議なできごとの 話で、他の作品にくらべると抽象性がひくく、日常生活に近い内容だったように思います。しかし夜の 公園の静かで湿った雰囲気をとても上手く劇場内に作っていて、暗転の暗闇を不快に感じない、暗さを 楽しむ劇でした。せりふで多くを語る劇ではなくて希薄な拡散した舞台空間を目指したような気がしま す。青い犬をみずから演じた中島まことが石神井公園に佇みながら考えてる光景が浮かびます。

ZINJANTHROPUSBOISEIのページ

8月2日 NODA MAP 「キル」 シアターコクーン 8000円

2列目中央となかなか良い席で見ました。3年前と大筋は同じでしたが、役者がかなりかわったので 少し雰囲気がちがってました。いちばん違うのは結髪が渡辺いっけいから、古田新太にかわって役の キャラクターも悪賢い感じから、馬鹿っぽい感じになって、得意のコテコテ系ギャグもかなりかまし たので主役の堤真一の見せ場が少なくなってしまったような気がしました。深津絵里は羽野晶紀に比 べると少し重いですがセリフがものすごく聞きやすい。古田のくどさをうまくバランス調整したとい うところでしょうか。
前半は野田秀樹の大暴れで、アドリブぽいのもありました。劇場の柱にチョークで字を書いてしまう なんてのは大物だから許されるんでしょうね。たしかに見た目はきれいだし、胃が痛くなるほど内容 もあるし、いい役者使ってるし、いい劇なんだけど。。。なんか役者が野田の舞台に出ることに酔っ ているというか、模範解答を持って試験に臨んでいるような感じがしてならない。真摯な気迫が感じ られたのは堤真一だけだった。最後ミシンに突っ伏してしまうところでは3分以上爪ひとつ動かない というのもすごかった。

8月3日 ステージステーション「泰山木の木の下で -わたしたちの明日は-」 千本桜ホール 2500円

広島の原爆で生き残った人たちの、肉体的精神的後遺症をあつかった話で考えさせられる劇でした。 戦争と原爆で家族を失った婆さんが瀬戸内の島に移り住み、非合法な堕胎をおこなっている事が警察に 知れ逮捕されます。しかし婆さんは金目当てではなく、被爆の影響で奇形児出産が3%もあった時に、 人助けを信じて堕胎をおこなっていました。いっぽう婆さんを逮捕した刑事も、妻と奇形児の子供を 妻の実家へ帰し、ケロイドのある商売女で寂しさを紛らわす生活をして苦しんでいました。また刑事 は牧師であった父親が十字を切って黒焦げになって死んだことから、神を信じる婆さんと対立します。 堕胎の証人として呼ばれた婦人が、婆さんの置いていった堕胎薬を飲まず、考え直して赤ちゃんを産 んだ事を知った婆さんは、自らの非を認め罪に服します。服役中に婆さんは白血病を発病し、刑事を やめた男に看取られて死にますが原爆や警察を恨むわけでなく、失った家族と愛した瀬戸内の風景へ の思いの中で安らかな死を迎えるのでありました。
たまにはいい話の劇もいいもんです。2時間20分のけっこう長い劇でしたけど演技もうまかったし、 政治的宗教的な部分もあくまで演劇の範囲を守っていたし、音楽も良くできていました。

8月9日 「夏の庭」 パルコ劇場 5250円

原作 湯本香樹実、脚本 鐘下辰男(ガジラ)、演出 鶴橋康夫(読売テレビ)という組み合わせによる作品 で子供がメインの話です。小学生の自殺といじめ、親子関係、老人の過去と戦争あたりをテーマにして いて、子役も多数出演していましたが、内容的には大人向きだと思います。それなりに良い出来の劇だ と思うんですが、舞台演劇よりもテレビや映画の仕事が多い役者をつかっているためか、細かいところ を丁寧に作りすぎていて、生の劇としての面白味がいまひとつ出せていないという感じです。西田ひか るのワルぶりもなかなかのものでしたが、ちょっとカッコつけすぎで、舞台にとけこんでいないという 気がしました。

8月9日 KHART 「月ノ下」 die pratze 1800円

土曜の夜だったのですが、観客が8人と劇団関係者4、5人のみの客席でした。最近ここまで空いてる 公演ってほとんどないですね。でも本はいいですねー。「百夜」という人魚は添い遂げる相手を得るま で暗い海の底でずっと生き続けるのですが、鮫に襲われた若い漁師の体が沈んできたことによって、そ の目を得、残留思念から「光斎」という名の絵描きが求める伴侶であることを知り、月の下で自ら尾を ひきちぎり鱗をはがし人の姿へかわります。光斎は右腕を癌におかされ切断せざるを得ないのと、同居 していた漁師が戻ってこないことから悲観的になり、幼なじみの花魁と遊び人が心配してくれるのを拒 んで自暴自棄になりますが、百夜をおそれる謎の少年に襲われた時死に物狂いで抵抗した自分を見て、 生きる力を取り戻し切断手術を受けます。しかしついに光斎のところに漁師の肉片を持った百夜があら われ、子孫を残すために選ばれた男は恐怖の中で百夜と結ばれます。百夜は子を産んで死んでしまうの ですが、新聞に載った写真の顔は笑っていたという結末です。
人魚に関する伝説はいろいろありますが、この話は化け物、だけど悲しい化け物として描かれています。 白無垢の着物に5m以上ある尾をひきずっての登場はなかなかすごみがありました。女性出演者にくべ て男2人の演技がぎこちないのと、遠くから聞こえるト書き台詞がよく聞こえないのが残念でしたが、 不気味系演劇としては私の好みに合ってるし、夏に怪談なのでもっと人が入ってもいいと思うんですがね。 そこそこ年のいってる女性中心劇団なので、次回公演はいつのことになるかわかりませんが本当におす すめします。ちなみに劇団名の「KAHRT」はオカルトでもカルトQでもなくてエジプト語で子供という 意味だそうです。

8月10日 大分つかこうへい劇団 「売春捜査官」紀伊国屋ホール 3000円

「熱海殺人事件」のシリーズで、木村伝兵衛が女だったというかなり無茶苦茶な話です。 劇の評価はともかく、役者をはじめて2年の人達が満員の紀伊国屋に立っているということが、ものす ごい事だと思います。たしかに下手だなと思える箇所も多々あるのですが、強烈な押しでつっぱしる熱 気はすごかった。同じ人が何回でも見にくる劇を目指しているといっていますが、1つの作品をここ までつきつめる根気には敬服するばかりです。
大分つかこうへい劇団の次回作はケンちゃん(宮脇康之)を招いて子役ものをやるらしいですが、かな り精力的な活動をしてるみたいです。

8月13日 NYLON100℃ 「ライフ・アフター・パンク・ロック」 スズナリ 3600円

1980年のある大学の映画研究会での話で、山口百恵の引退・結婚が社会的話題になっていた。小心者の 1年生が映画撮影の最中に、山口百恵の引退コンサートのチケットが取れなかったことを苦に髪を短く 切ってしまったためにつながりがとれなくなり映研の連中が四苦八苦する。OBなどが訪れ問題がどん どんややこしくなるが、小心者の1年生が死んでしまったために幻の作品となってしまう。
舞台は映研の部室が多くの道具を使ってリアルに作られていて、劇のスタイルも普通の人間生活に沿っ たもので、常識はずれな内容が無いので普通に上手い劇だったという感触。ギャグは200人位の観客 のうち4〜5人が笑う洗練されたものが多かった。(全員が笑うギャグがいかんとはいわないけど、 10人位を交代で笑わせるのがすき。)チラシには75分と書いてあったけどやっぱり100分に伸び ていた。

8月13日 NYLON100℃ 「カメラ≠万年筆」 スズナリ 3600円

1985年のある大学の映画研究会での話で、社会的には夕焼けにゃんにゃんが流行し、ブームが女子大生 から女子高生に移っていったころ。映研の映画で予算800万円の大作をつくりはじめたのだが、ヒロ イン役の子が急に脱ぐのを嫌だと言い出し、キャストの交代とかでもめているうちにスタッフの車が事 故を起こし、映画が作れなくなり女監督が踊り出すという話。
「ライフ・・・」は指定席を取れたのだが、「カメラ・・」は桟敷席になってしまい地獄のような3時 間弱であった。そこそこ面白い劇だったかもしれないが、あの足腰の痛みを我慢してまで見る価値があ ったとは思えない。私の中では、社会の中心から落ちてゆく女子大生の悲劇として解釈されつつある。
しかし1200円のパンフにケラが書いていることを読むと、ケラ自身の映画作りに対する情熱がベー スであることがしるされている。もし映画が完成したとしてもマニア受けしかしないだろうな。
終演が10時過ぎてバスがなくなってしまったので、下北沢から1時間かけて歩いて帰った。疲れた。

8月14日 宝塚星組 「誠の群像/魅惑U」 東京宝塚劇場 6800円

「誠の群像」は土方歳三を主人公とした新撰組ものです。麻路さきはどちらかっていうと悪役顔なので、 土方は良い配役です。前半は京都で、芹沢鴨をはじめとする組内の粛正がおもな話だったので血なまぐ さいだけだったのですが、後半は函館での官軍との戦いで討ちとられるまでの話で、戦のプロとし ての心情的なところがうまく書かれていました。
「魅惑U」は結構くどいレビューでしたが、娘役多数によるバレエシーンとか良かったです。男役スター のチームワークの良さも感じます。東京宝塚劇場はこれが見納めになる可能性が高いです。さすがに新 劇場ができるころにはもう見ないでしょう。

ここまでで50本

8月18日 遊人舎 「かすかなる白い手」 アゴラ劇場 2000円

ピアノとチェロとパーカッションの生演奏つきの、3人劇でした。劇場入ったら寒いくらい冷房がきい ていて、線香のけむりがたちこめ和風お化け屋敷のような舞台があり、これは恐いやつかなと期待しま した。そのうち生演奏がはじまり不気味な雰囲気が高まったのですが、いざ劇がはじまってみると歌舞 伎調メイクの女役者が「わたしきれい?」とかいいながらわけのわからんことを言ってうろうろします。 いっぽうボロボロのかっこうをした男役者が、トナカイとヘラジカの分類に関する歴史的あやまりにつ いて講釈しだします。そのうち子狐があらわれ。。。。登場人物がそれぞれわけのわからんことを言っ て45分くらいで終りました。生演奏がなければ金返せといいたくなったりして。多分に企画倒れな公 演になってしまったのでしょう。やっぱりもうすこし本をしっかり書くべきです。

8月23日 セカンドエリア 「ミストレス」 千本桜ホール 2000円

幅広い客層でほぼ満員でした。桟敷席など普段縁のないご婦人のかたがたも多かったです。話はハリウ ッドでウダツの上がらない映画プロデューサーと、映画監督と、脚本家が新しい映画を撮るためにスポ ンサーを探して3人の男と契約ができそうになるのですが、いずれも自分の愛人を映画に出せと要求し ます。1人は才能はあるけど高慢、1人は気はやさしいけど役者としては大根、1人はへんなダンスし かできない。オリジナル台本を変えたくない監督と、スポンサーの要求の間にたってプロデューサーと 脚本家が四苦八苦する話です。個人スポンサーのわがままってのがアメリカ的で、なかなか笑えたコメ ディでした。演技はみなさんかなり上手かった。苦みのある大人のコメディだけど、3才くらいの女の 子が最前列で、喰い入るようにみていた。将来大物になるかも。

8月24日 「セーラームーン 〜永遠伝説〜」 サンシャイン劇場 6500円

そろそろ最後かな、1度くらい見ておこうと思って、家族つれに多少白い目で見られながら観劇しまし た。内容はあまり期待してなかったけど、だんだんのめりこんでしまって、とにかく楽しんでしまった。 日頃、小劇場で「うーむ」とかうなってる人もたまにはこんなの見てみては、気分が晴れまーす。 元四季の吉岡小鼓音はさすがに歌のレベルが違う、セラームーンのファンには申し訳ないけど、吉岡の ソロを聞くだけでも価値があります。ストーリーは違うものの、5年で350回の公演というのも凄い です。ミュージカルとしてアブラがのってるところなので、これからも続けて欲しいです。ただ心配な のは、セーラームーンをみて育った女の子が乱暴者にならないことを祈ります。

終演後、大山アンザの写真集サイン会なるものがあって、ついつい写真集を 買ってサインと握手をしてもらってしまいました。他でも書かれているけどステージで見るとかなり 大きく感じるけど実物は小柄でかわいいです。実物はセーラームーンよりも写真集よりも怪しいハーフ の魅力です。

8月30日 十二騎党 「爆笑戦隊 ワラエンジャー」三軒茶屋キンコンカン 1000円

KOダイガクの連中らしいのですが、お馬鹿な4人によるしょうもないお笑いでした。長めのコントと 漫才みたいなものですが、前半かなり滑ってたのが後半はかなりお笑いのテンポになっていました。 でも全くゲラゲラ笑えるようなもんではなくて、やっぱり今年最低でしょう。TVの感覚から脱してい ないというか、道具に頼りすぎ。今のうちなら人生捨てずにすむぞ。

8月31日 Tokyo ADLIB CLUB「シャングリラパロディースU」 千本桜ホール 1200円

20代なかばが中心の劇団のようですが、観客はすくなかったです。活動拠点が北区だか足立区のような ので、千本桜は遠かったんでは。刑事物でしかもパラレルワールド物というかなり奇抜なストーリーでした。 スミャップとかいうアイドルグループに殺人予告が来て、へそ曲署の刑事たちが警護をするんだけど主人公 の刑事はスミャップが去った後のやってきた男に撃たれてパラレルワールドにいってしまうという話です。 しかし主人公の刑事よりは、相棒の女刑事と怪しい新米刑事が劇の中心で、ミニワンピの女刑事はなかなか 迫力ありました(くどかったけど)。時間が長くて、同じシーンを意図的に使うところはナイロン100℃ 的手法だと思うのですが、ギャグがスローなのと、舞台上で役者がセリフが無い時に間が持ってなくて出来 としてはまだまだかな。それに前説が完全に失敗している。

9月6日 あいやすいか 「たかまがはら」 アゴラ劇場 1800円

前作「ありしひ」が自分達の世界をつくって、突っ走ったのに対し、今回のは客いじりを入れてオープン な感じでした。科学者風の男が持つ試験管には、あるお姫様の話が入っているという多重構成を予感させ る導入からはじまり、口をきかない姫様と世界をとりしきる猫と父は天使だったと信じる少年たちの世界 と、自分たちが何者かわかっていない一群の世界を同じ役者で演じ分け、最後ついに世界と世界のつなが りが見え。。。なんだけど全体としては話の肉付けと結末をもう少しがんばって欲しかった。でも多くの 場面はすごくきれいに作られていたし、主要キャストの見せ場も見ごたえあったし、オープニングとクラ イマックスの詩のようなセリフも鋭かったし、20代前半の劇団の中ではハイレベルに属すると思う。出 演者の中では操り人形をやった幼い感じの女性が時々低い声ですごみを利かせるところなんかがおもしろ かった。表現としては指を人のように歩かせ、大きな世界を論じるところなどが考えてあるなという感じ。 しかし前回の独創性の高さにくらべると、設定や構成が野田っぽくて、役者の動かしかたが鴻上っぽいよ うな気もしないではない。もうちょっと観客が入ってもいいと思うんだけど。

9月7日 月刊ぼのぼ「教えない」 千本桜ホール 2500円

短編13本構成ですが、半分くらいはスキンヘッドの男が現れて暴れるという結末で、器量はあると思うん だけどヒネリが足りないような気がしました。笑いの感覚としては、落ちをモロに言わない落語のような笑 いです。私が気に入った話は、幸せを呼ぶギョウチュウの話で、短いけどつかみのところがよかったです。

9月13日 HJ総代演劇村への復讐「隷族08」 駅前劇場 2400円

ハイレグジーザスの内容は本当にひどいもんだと思うけど(当然ここには書けない)、演劇や役者のこと をちゃんと考えるところがニクイ。今回は劇団公演ではなくプロデュース公演ということで大物?らしい 役者を使ったけれど、ちょっとはじけすぎて今後の劇団公演が大変かもしれない。岡光美和子の端正なコ ケティッシュさも良かったけど、加藤直美のパンツは夢に見そうだなー。

9月14日 POOL-5「サボテンガール・コーヒータイム」 die pratze 2300円

アメリカの西部劇なんだけど、なかなか変な話でした。いなか町のコーヒーショップでマスターが借金を 残して夜逃げして、残された店員と常連客、流れもののガンマン、東部帰りのインテリ青年が、いろいろ 騒ぎを起こす成長しないコメディです。舞台はショップの店内のみで、外の出来事は声と音のみで進めて いく、通り過ぎていくところだけが窓から見えるという、上手い作りでした。演技のほうは、日本人がア メリカ人を演じるわけですから、ちょっと味のある雰囲気を出す程度で、あまり濃くはつくってありませ んでした。ぼそっとボケるガンマンが面白かったかな。サボテンガールというのは拾われてきた女の子が、 サボテンになりたくて荒野に立っていたというんだけど、そのあたりの話がもう少しあってもよかったか なと思います。でも2時間20分もあったので、これ以上長くても疲れちゃいます。今はなきトキョーサ ンシャインボーイズあたりがやったら爆笑ものになりそうな劇でした。

9月14日 エンゲキ覚醒推進派SECT-0 「間違いの条件」 アゴラ劇場 2500円

国民総洗脳でSEXがなくなってしまった時代のSFものです。下ネタで馬鹿馬鹿しい場面も多々あるん だけど、なんか高尚なんです。地球と火星にはパラレルワールドがあって同じ人が住み、お互いに自分が 地球人だと思っている。ただし片方の世界ではSEXがなく、地下組織が火星から入手したSEXテープ を人々に聞かせSEXをとりもどそうとする。もう一方の世界では地下組織がSEXを禁止させるべく活 動している。国土庁の課長とロケットの取材に来た男女のジャーナリストが火星探査船に乗せられて他方 の世界に来てSEXが何たるか解ってくると、ジャーナリスト達はSEXに挑戦し、課長は混乱し手榴弾 を投げまくる。そしてSEXをなくした黒幕の科技庁長官があらわれ大混乱。火星だパラレルワールドだ と壮大な物語なんだけど、日本以外の国はどーなってるんだ。火星からSEXの情報を手にいれるくらい なら地球上のどこかを先に探すぞ。SEXは人類を退廃させるか、救うかとか大きいテーマを叫んでいる んだけど、インパクトある答えは出てこないし、もう少し核心的なところを考えてくれー。声が大き いのは良し。

9月15日 アクターズアカデミー赤坂「眠れる森の美女」 千本桜ホール 1500円

養成所の卒業公演ということです。本は童話ではなくて、別役実の病院物です。親に言われて会ったこと の無い婚約者の見舞いに来た男が、変な看護婦や医者のために待ち合い室で待たされ、比較的理性的な編 み物をする入院患者から話を聞いて、おかしな病院だと考えはじめるのですが、狂気のきつね狩りの一夜 の後、面会相手の病室に招かれます。部屋には眠れる森の美女がいて男が花束を渡すと目を覚ますのです が眠ることによって止まっていた出血が再発して死んでしまいます。いつの作品かわからないですが、軽 めの不条理劇でおもしろかったです。見舞いに来た男を演じた役者はそこそこ見るものがありました。 他の役者は基礎はできているのかもしれないけど、この公演で見るかぎりは大学生の劇団の上と同じくら いのレベルかなと思います。残像を感じるくらいの演技を期待します。

9月21日 Take Pot Luck!「町田」 千本桜ホール 800円

明治学院大学の連中のようです。16本立ての短編集で、力の抜けるものが多かったですが、全身黒タイ ツ2人組みがなかなかおもしろかったです。話として面白かったのは「遺言書」だけど、あのくらいでは、 せりふの時代のコント賞には入選できないでしょう。体調メチャ悪だったので単純なので助かりました。 それにしても何故町田なんだろう。

9月28日 アフリカ座 「渋谷爆発」 本願寺ブディストホール 2800円

元つかこうへい劇団の人達の劇団で、スタイルは踏襲しています。アメリカ軍が東アジアから撤退し、日本 に新日本陸軍ができ満州に一隊が進駐するのですが、司令官の宗方大将は話のわかる軍人として地域と平穏 な関係をつくろうとします。しかし一方で某国から脱出した元指導者に核兵器を作らせ、渋谷に原爆を落と そうと目論んでいたのです。兵舎ではたらく現地人の女(生方和代)は日本軍を追い出すためにゲリラ活動 を働くのですが、宗方と接していくうちに好意をもつようになります。2人は結局戦うことになるのですが、 宗方の父は満州人孤児で、女の母は日本人孤児で、同じ家族によって入れ違いの人生を歩むことになってし まったことに気付きます。核兵器の発射を前にして宗方は部下の中尉に斬られ、中尉は自衛隊に乗り込み軍 クーデターを訴えるのですが、受け入れられず自殺します。戦争ものなんですが、テーマとしては現代の若 者の生き方です。軍に志願した高校生や、従軍援助交際婦となったコギャル、何故渋谷に原爆を落とさねば ならなかったか、何故若者はむかつくのか、たかだか100人程度の劇場からのアピールは弱いものだけど、 武力に訴えることなく分かり合える世の中を作らねばならないという気持ちは伝わったことにしておきます。 演技は十分うまかったです。もうすこし渋谷にこだわっても面白かったのでは。

9月30日 大回転劇団 「ゴドーを待ちやがれ!!」 キッドアイラックホール 2750円

夫婦が会話をしていると来客が、「ごとうさんかしら?」、「強盗です。ぱん。ぱん。」、なんじゃこのダ ジャレはと先がおもいやられたんだけど、その後はすごかった。舞台は板壁に囲まれた部屋で一旦舞台に現 れた人物は引っ込むことができない。しかし壁の穴からピストルが発射されて人物が撃ち殺されるとその場 面は終る。そのうち登場人物自身が死ななければ話しが進まないということに気づいて自殺するようになる。 だんだん舞台は死体人形でいっぱいになってゆき。。。何故ゴドーを待つのかって展開になっていったんだ ったと思うけど結末忘れちゃいました。 ベケットの「ゴドーを待ちながら」が演劇破壊でありながら不条理演劇の頂点にあることに対す る見事な挑戦。2度は見たくないけど、ストーリーベースの演劇スタイルを無条件に受け入れることに疑問 ・抵抗を持つ人には、とても面白いものになっていたような。ともかくいっけんおちょくりっぽいけど、演 劇とナンセンスの関係をハードに描いた頭の痛い作品。

10月4日 「シェルブールの雨傘」 博品館劇場 7300円

以前TVで見て良かったので高いけど見にいってしまいました。でも昨年の公演で大きく作り直したのでTV で見たのとは全然かわってました。演出が名倉加代子というダンスの人で、ダンス専門のキャストを多く使 っていたのですが、基本的に暗い話なので、「Crazy for You」のようなダンスミュージカルとも違って変わ った趣でした。好みの問題かもしれませんが、少しダンスが硬すぎるような気がしました。
小川範子ですが、いかにも小娘って感じでいいですね。出だしで声がかすれていたのでどうかなと思ったので すが、要所要所はきっちりと決め、歌もだんだん染みてくるようになって震えがきました。すこし暗めの声が この作品にとても合っていると思います。24才ですが、生の舞台で何を見せるべきかわかっているという気 がします。 松岡英明はチラシの写真ほどはナイーヴでは無いですがラストシーンの背中は泣かせました。仁科有理と青木 裕史の歌も良かったです。

小川範子ひとり芝居「不真面目な十七歳」1998/2/9,10,11シアタートラム

10月5日 劇団芸能一家・め組 「頭痛肩こり樋口一葉 / show time 千年の孤独」 千本桜ホール 2800円

昔、こまつ座でみたときは、おかしな幽霊話くらいにしか感じなかったのですが、再び見ると良くできた劇 だと、見ていてうれしくなりました。明治25年から31年までのお盆の1日を中心とした話ですが、女達 の1年毎の様替わりと、かみ合ってるようなかみ合っていないようなやりとり、幽霊が見える夏子(一葉) の特異な人柄、あたりが駄洒落とかは無いんだけどとても面白い。旗揚げ準備公演ということだけど、演技 も上手いし、照明音響もばっちりだし、もっと大きな劇場でやっても見られる芝居でした。期待せずに見に いっただけにうれしい誤算でした。母親と妹がストーリーの中心なんだけど、夏子を演じた新冨美南子 (20代前半だと思う)が可能性を感じました。
あと、15分くらいのダンスと歌のショーがあったんだけど、スペイン風、よくわかんない合唱、ダウン タウンパンク風、ラッツ&スター風とかあって楽しかった。振り付けは新冨美南子と書いてありました。多才 かもしれない。けど歌はもうちょっと練習すべきでしょう。

10月19日 「郵便配達夫の恋」 シアタートラム 6980円

鈴木保奈美の初舞台というだけの前評判でしたが、本も演技もそこそこ良かったと思います。東京で歌手を しているあかり(鈴木保奈美)は母の一周忌で故郷の島へ帰ってくるのですが、恋人のピアニストとの関係 がうまくゆかず、東京にはもどらないという気持ちも抱いていました。灯台守りの祖父(村田正雄)の家を 訪れるのは郵便配達夫(峰岸徹)くらいで、探しに来たマネージャ(吹超満)も密造ワインばかり飲んでい てあてにならない。そんな時母の遺品の手紙の中に、郵便配達夫へのラブレターをみつけたあかりは、その 手紙を郵便配達夫に渡そうとするのですが、どうしても受け取りません。さらに死んだ父が母に宛てた手紙 も郵便配達夫が書き直したものだったことがわかり、恋人のピアニストからあかり宛てに来た手紙も、マネ ージャが励ましのために名前をかたって出したものだと思い込みます。結局手紙はピアニストからのもので 勘違いしていたことに気づくのですが、ピアニストの人でなく才能に恋していた自分に気付き、東京にもど って別れることを決心します。その後、島の沖をくじらの群れが通る日がやってきて「くじらを見ると人生 が変わる」と言われるように、それぞれが明日にむかって歩き出すという結末です。
女1人と男3人ってのは話として難しいと思うんだけど、本や演出に苦労を感じます。鈴木保奈美はしゃべ りはTVと同じだけれど、ときどき見せるボケは天性のものかな。まだ舞台での呼吸というものをつかみき れてない感じもしたけど、十分に舞台で楽しめる女優さんです。それにバストが大きいのにはびっくり。

10月19日 クッキーモン星 「さよなら人類」 千本桜ホール カンパ制

ちょっと歳のいってる女性おわらい劇団ですが、この劇団のいままで見た中でもっともシリアスなストー リーものでした。1995年の再演ということですが、初演は見ていません。 吸血鬼の一家(見た目は若い祖父、科学者の父、作家の息子)のところに出版社のおしかけ担当者がやっ てきて、吸血鬼であることがバレてしまいます。一方200年前に神父から吸血鬼にされてしまった男が、 自らの死を求めて祖父の持つ剣を手にいれようと、吸血鬼を弱める石を奪ったり、父を誘拐したりします が、自分を吸血鬼にしたのが祖父だと思い込んでいたのが実は祖父の父親で、しかも祖父の父は人間を吸 血鬼にかえ掟を破ったために罰を受けていることを知り、やぶれかぶれで石の放射能をみんなに浴びせて しまいます。吸血鬼は苦しむだけだったのですが人間である元神父の養女は瀕死の状態となり、これ以上 家族を失いたくないという男の願いは、裁きの剣による死でかなえられました。 よくできた話でした。でも前半すこし寝てしまいました。セリフのとちりも多いし、ダンスもラジオ体操 みたいだしと難もあるんですけど、第24回公演ということで、笑いのコツを知っているし、何度みても 面白いキャラクターだし、好きな劇団の1つです。もっとドタバタを予想していたのですが、ちゃんとし た内容でびっくりしました。

10月25日 ハーフムーンシアターカンパニー 「パレードを待ちながら」 劇小劇場 4000円

カナダ演劇の翻訳公演です。第2次大戦中のカナダの田舎町での5人の女性に関する話で、歌ありダンス ありで楽しい劇でした。防国婦人会のリーダージャネット(荒井洸子)は口うるさいけど世話好き。未亡 人のマーガレット(井出みな子)は息子に出ていかれて落ち込みぱなしだけど、若い人たちと同等につき あえるタイプ。夫がヨーロッパに出征しているキャサリン(吉岡小鼓音)は自分の好きなように生きる、 ちょっと浮気性。歳の離れた夫となんかうまくいっていない、教師のイーヴ(藤貴子)。ドイツ移民で父 親が収容所に送られてしまった、仕立て屋のマルタ(朝倉佐知)の5人が登場人物です。奉仕活動や非難 訓練に熱心なジャネットと、戦争に反対なんだけどしかたなく付き合っているマーガレット、キャサリン、 イーヴの3人は戦時の制約された生活の中でも、それなりに楽しみを見つけて日々を過ごしているのです が、ドイツ人のマルタは迫害をうけてキャサリンの家にころがりこんでからへんな友情でつながってきま す。ついに戦争が終り、帰国兵のパレードがやってくると、泣く者喜ぶ者、人それぞれに戦争がもたらし たものが何だったのか意味深なラストでした。
本も十分おもしろかったけど、普段こんな小さな劇場で見ることができない女優さんたちの、演劇を楽し む空間を味わえたよろこびは大きいです。塗るストッキングとか最高でした。吉岡小鼓音のぶっ飛び状態 なんか、ミュージカルの舞台からは想像できないものでした。作品そのものの追求をするならいい役者を 使いすぎたという気もします。(これはカナダだけど)アメリカのストレートプレイって、イギリスもの にくらべて計算高く作られているような気がします。ラストシーンに向けて仕組まれていく過程がきれい といえばきれいなんだけど、あんまりひんぱんに見ると飽きてしまいそうで。

10月26日 力の加減 「魔球天使」 千本桜ホール 2000円

前回公演の目茶苦茶さからするとかなりまとまった感じで、演技もうまくなったような気もします。元高 校野球投手のオカマがいるスナックに、”家出人大特集”の張り紙をみてやってきた1人の家出少女。彼 女の名前はみちこ、そう1投で三振をとる魔球投手みちこと同じ名前であった。今回のテーマはハートウ ォーミングなラブストーリーのつもりらしいけど、やっぱりナンセンスちからぬけコメディ。店長がいな い時に現れる、そっくりだけど顔色の悪い偽店長の正体やいかに。ニャーニャー鳴く手のひらサイズのイ タリアみやげとは何か。たぶんに謎を残したまま100分の力抜けまくり劇は終演となりました。

10月26日 展開回路 「TENKAIDON」 銀座小劇場 1500円

日曜の夜でしたが客はかなり入ってました。「ひとつ屋根の下」みたいな兄弟家族のホームコメディです (とあいさつにも書いてある)。25才無職の兄、サラリーマンの次男、猫好きな妹、猫しろしろ、猫ド ンが登場します。しろしろが居なくなってドンがやってきた。働く気もなく、何をやっていいかわからな い兄は、ドンとキャッチボールをして、球をとり損ねたら自殺するという賭けに負ける。死ぬのもいやな 兄は、伝言ダイヤルに空しいメッセージをいれる。すると4646番の女の子からメッセージが来た。一 方兄弟たちは、「百万回いきたねこ」を読んでなんで猫は百万回も死んでは蘇るかを考える。ドンがいう には、ちゃんと生きないと生まれかわっちゃうよと。兄と付き合いだした4646番の女のが家にやって きた。それは居なくなったしろしろだった。
話はメルヘンちっくで、わけもかわらないけど、演技がすごく気持ちよかった。動きもセリフもめりはり きいてて、抜いた所が無い。特にうまいわけではないんだけど、良く練習してあって、見ているほうもだ んだんテンションあがってくるような劇でした。だけどなんで広末なんだー。 本拠地が船橋の劇団のようだけれど、ほとんど都内での公演みたいです。

11月1日 遊PAC 「あなたに、電話してもいいですか?」 千本桜ホール 1000円

郵便局員が中心の劇団らしくて、出演者もおじさんから子供まで、観客も年齢層が広かったです。レイモ ンド・カーバーの複数の小説をベースにした3家族と1組の男女の物語です。渓流釣りにいって死体を見 つけたものの届け出を1日遅らせたために周囲や妻から責められる男の話。子供が交通事故にあって、予 約してあったバースデーケーキを受け取りにいかなかったために、ケーキ屋からいたずら電話?される夫 婦の話。ブラックバスの養殖に燃えながら、妻にみすてられる男の話。人の不幸を楽しむのは良くないだ ろうけど、不幸に見舞われた人の言動はストーリーやドラマになってしまうんですね。演劇を本業とする 人達でないので、劇のできはそれなりなんですが、3家族の奥さん3人がどれも恐かった。特に子供を交 通事故で失う村上さんの奥さんはすごい声だった。ストーリーテラーのような役をしていたおじさんは、 なかなかいい雰囲気でしたが、電話ひとつで若い女性といい仲になるというのはできすぎでは。それに 「人生いつ何がおこるかわからない。」保険の宣伝でも始まるかと思ってしまいました。

遊PACのページ

11月1日 T.P.T. 「署名人/マッチ売りの少女」 芸術劇場小1 4500円

1958年に書かれた清水邦夫の初戯曲「署名人」は、言論の自由の無い時代に反政府的論文・論説を本当の 著者のかわりに署名し、身代わり逮捕されることを仕事とした署名人が登場する話です。その署名人が2 人のテロリストのいる牢獄に入れられて、彼らの脱走に協力するかしないかで、殺されるか殺されないか という状況におかれます。署名人の弁舌とテロリストの殺気が交錯するスリルに満ちた恐怖物です。 リアリティを追求した良い劇だったはずだけど、月明かりの牢獄そのままの暗さで、役者の顔も見えず、 同じような台詞の繰り返しなので、途中寝てしまいました。
1966年に書かれた別役実の「マッチ売りの少女」は、老夫婦の所へ女が訪ねて来て、私は昔マッチ売りを していた、私はあなたたちの娘である、私の弟はあなたたちの息子である、という主張をする不思議で納 得いかない話です。ゴドーみたいに登場人物全部変なのと違って、老夫婦がまともで、女と弟が理に合わ ない言動を次から次へとおこなうだけに不条理の恐怖が引き立ちます。ゆっくりめの進め方で、表情での 演技も多くてわかりやすい別役劇だったと思います。元マッチ売り少女の女を演じた久世星佳は、少し宝 塚っぽいところもあったけど、堅苦しくなりがちな緻密演劇をリラックスさせる良い演技でした。舞台美 術も良かったけど、劇の途中から紙ふぶきがちらほら落ちてきて、ラストシーンが予感できてしまったの は残念かも。

11月2日 「ラフカット'97」 スペースゼロ 3200円

長いということだったので、睡眠たくさんとってから出かけましたが、やっぱり疲れました。
  1. 「サンライズ サンセット」
    映画の橋口亮輔が演劇の本を書いたといので話題になっていたものですが、倒産寸前の映画製作会社の話 で、内輪ネタ的でおもしろかったです。でもフツーの劇でした。
  2. 「776」
    パチンコ屋の駐輪場で、女子店員がやすんでいると、元同級生の男が自転車のチェーン錠をはずせずに焦 っている。どうもデートにでかけるようだ。次にさえない中年男が人を探している風にあらわれるが、テ レクラで知り合った女性と待ち合わせをしていた。サラリーマン風の男がパチンコ屋と銀行を往復して熱 くなっている。テレクラ約束の女性が現れるが、サラリーマンが機器を収めていた老人施設に働く人で、 知り合いだった。日常的なんだけどちょっとおかしな人間関係が、駐輪場でくりひろげられる。ステージ 上に自転車のみっていうのがなんとなくいい。
  3. 「日曜日はうっとうしい」
    クレジットの明細書にホテルの支払があったことから、離婚がもちあがった夫婦のところへ後輩が婚約者と 一緒に媒酌人を頼みに来る。なぜか東京ガスの点検員まで加わっての大騒ぎ。離婚届けが破れたのを機に来 客を追い返した妻は、おもむろにもう1枚の離婚届けを取り出した。つか劇団出身の生方和代がホームコメ ディでどれだけ面白いかという興味があったが、いつもとかわらなかった。それはそれで面白いんだけど。
  4. 「洞海湾」
    松尾スズキの本とはいえ堤泰之がここまでハードな劇を作るとはおどろきました。洞海湾というところの スナック兼風俗店でおこった惨劇の話で、コカインを横取りしようとした若者とその恋人が殺されてコン クリート詰めにされそうになっているのだが、最後にカラオケを歌わされる。ママに渡されたナイフで縄 を切った若者は逃げずにヤクザを刺し、奪った拳銃でヤクザにレイプされてイッた恋人までも撃ち殺し、 逃げようとするが、戻ってきたヤクザの兄貴に殺される。兄貴も生き残っていた手下に殺され、もう1人 生き残った覚醒剤中毒の男が「シャブ注射したら生き返るやろか。」とママの死体に注射するとなぜか死 体は痙攣をはじめた。すごい話だけど善良な市民が見るような内容じゃないすね。
「サンライズサンセット」「日曜日はうっとうしい」がいわゆるウェルメイドだけど、他の劇場でもあるよ うなフツーの劇で、「洞海湾」がアクが強すぎたので、「776」がシンプルだけど楽しめたというところ でしょうか。主催者堤泰之の作品なんで、他がオムニバス公演にしては重い作風なのを意識して軽めの作り にしたという気もしないではないですが、パチンコ・テレクラという題材ながら爽やかな劇でした。やっぱ り堤泰之はいいひとだ。

11月3日 演戯チームA.T.A.C「人気者語 〜やっぱり沖田が好き〜」 千本桜ホール 2000円

旗揚げ公演の初日だったので、桟敷席までいっぱいで足が痛かったです。京都から戻った沖田総司は病の ために寝込んでいたのだが、ある日"時穴"に迷い込んで現代にやってきてしまう。TVプロデューサーに 見込まれて時代劇に沖田総司役で出演すると一躍人気者となり、タレントとして活躍しだす。いっぽう沖 田ファンのあぶない女性がタレントとして活動している沖田を沖田の名を語る不埒者として許せなくなっ ていき、ついに沖田を殺してしまう。ところどころにスベリまくりのギャグを織り込んだコメディで、演 技もへたなんだけど、現代にやってきた沖田総司がつぎの日になると別の役者になってたり、あまりの馬 鹿馬鹿しさに少し笑えました。
観客の多くが20代前半で出演者の友人とかだったみたいだけど、千本桜に来たのがはじめてのようで、 あまりにせこい劇場におどろいていたようです。でもこの劇のできは千本桜でも下なんだよー。これから がんばってください。

11月8日 プロジェクトナビ 「血と青空」 シアタートラム 4000円

ひさしぶりのプロジェクトナビです。リゾート地の神経療養所を舞台にした病気と人間の精神面での戦い を描いたものです。新しいウィルスによる疫病が猛威を振るいだした。感染力が強く発病するとほぼ助か らないのだが、女性の発病率はきわめて低い。院長たちが視察から戻らず、責任者となった女医は病院で ウィルス病の患者受入をすること決める。用務員の男は、これも定めだと落ち着いているが、若い男性事 務員は、激しく動揺する。いつも空をみあげている少女患者は、1人の女を運ぶ2人の男を見かける。女 は神から罰を受け、自殺に至った顛末を永遠に話し聞かせなけれならないと語る。この女も2人の男もこ の世の人間ではない。少女は未来を見ている、未来は空からやってくるという。看護婦にも発病者があら われ全滅が訪れる未来、正気を失った事務員が女医を撃ち殺してしまう未来、なにごともなかったように 平穏をとり戻す未来、はたしてどれが本当の結末なのか?
「ウィルスとホスト、どちらが先に存在したか」という話題から医学的な議論もくりひろげられ、見る人 をひきつける本です。リーゼントでドライヤーを使いすぎると禿になるとかお笑いもかなり入ってます。 しかし劇としてのスタイルがちょっと古風かなという気がします。ステージが病院の屋上という設定で物 が少ない。そして看護婦多数が出る場面を除いて、1〜3人が止まって台詞を発する。時間的空間的なす きまを感じてしまう。バックの青空を強調したかったのか、私の方が、この劇場でこの前見た「郵便配達 夫の恋」が非常に多くの道具を使っていたことに影響されているのか。

11月8日 G.O.A.「ブレーメン再生回路〜死ねない死体と殺せない殺人鬼の贋作ロミオとジュリエット〜」 東演パラータ 2000円

この劇団は2回目です。ハードSFメルヒェンと申しましょうか、かぐや姫、ロミオとジュリエットをSF にねじ込んだような話です。某大学の文学部にSFの研究室があって1人の男子学生がレポートを書けず に苦しんでいる。怪しい刑事のような連中がやってきておまえはロミオだと言う。学生のつきあっている 女学生は複数の人格を持ち、月に異様なこだわりを持つ。元科学者の教授は非常に怪しいのだが、じつは 1000年生き続けてきた竹取の翁だった。学生の身の回りでおきている変なできごとに対し脳は何かを 思い出そうと痛みを発する。彼女は宇宙へと旅立ち、学生は記憶を再生する回路を手に入れた。
へんなストーリーで、しかも超高速展開な劇なのでなにがポイントだったかわかんなくなってしまいまし た。ユダヤ陰謀説を笑いながら、月の波動をコンピュータからネットに流すとか、とんでもの影響を感じ ますねー。でも役者みんな迫力あるいい演技でした。それと前回公演も今回も大道具がすごく凝ってます。

G.O.A.のページ

11月9日 1mg「レェズンファクトリー」 千本桜ホール 2000円

はじめて見る若手劇団です。DJブースがステージのまんなかに置かれ、打ち込み音が流れている。そう この物語はレェズンと呼ばれるドラッグが一時の快楽を与えてくれるクラブに集まる若者たちが登場人物 である。ある日おじんくさい男がクラブへ流れ込んできた。ダンスと呼んでいるけんかをしかけると、男 は拳銃を出し一旦は場をおさめるが、ドラッグを飲まされ拳銃とトランクを女の子に奪われる。おじんく さい男は、実は大学生でカラス十字軍というテロ組織の爆弾工作員で、トランクの中身は爆弾だった。 クラブの常連の仲間意識というものに反発していた男も、クラブの謎のオーナーPJの新曲を記念するレ イヴの準備をとおして仲間となっていく。しかし組織は男に、接触のあったものを消すことを命じ、拒否し た男が追われる立場となる。レイヴの日クラブに仕掛けられた爆弾をめぐって悲劇がおこる。
ドラッグやバイオレンスと危ない話なんだけど、仲間とか仲間が集まる場所とか自由とか若者がもってい る価値観が決して一致しているものではないという所を書きたかったようです。演技は善し悪し半々でし たが、気の強い聖役の役者がなかなか魅力的でした。うまいとか面白いとか既成の演劇価値にとらわれず に個性的なものを作り続けて欲しいものです。

1mgのページ

11月15日 燐光群「漱石とヘルン」 サザンシアター 4500円

小泉八雲のシリーズは小さなエピソードをやたらと大きくした感じがして、あまり好きではなかったのです が、今回は夏目漱石という人物を加えて、内容の豊富な本になっていたと思います。正岡子規から漱石の号 を譲られた金之助は熊本でハーンの後がまとして教職を得る。当時まだ小説を書いていなかった漱石である が、ハーンが日本について書いた著作が気になりだす。ロンドンに留学した漱石は本を乱読し神経衰弱とな り、死んだ正岡子規の霊と交流を持つようになる。ロンドンの街では太陽と月の区別がつけにくいという不 気味路線の伏線が張られる。東京に戻った漱石はまたしてもハーンの後がまとして東大講師の職を得る。漱 石が子規の亡くなった後の家を毎日訪れる様子に不信を持った家族がハーンに相談をすると、友との会同の 約束を守るため自害して霊となって友に会いにいった武士の話を持ち出し、子規の霊による問題であること を見破る。漱石と兄嫁の関係とかもあって心霊的な雰囲気が高まったところで、漱石とハーンの邂逅の時が 訪れる。
漱石とハーンが直接会うことは実際にはなかったらしいのですが、フィクションだといいながらもかなりリ アリティのあるストーリーでした。 漱石を演じた佐野史郎はTVで見るのと同じような演技だけど、漱石の性格をかなりガサツな男としている 新しい表現で、良くマッチしていると思います。構成のきれいな竹内銃一郎の本よりも、重苦しさがある 坂手洋二のほうが佐野史郎を楽しむにはむいているような気もします。劇団員のほうは息の合い方が芸術的 です。正岡子規がよかったです。
燐光群で450席の劇場がほとんど埋まるとは思わなかったので、当日券でおもいっきり後ろの端になって しまいました。しかし協力ハイレグジーザスというのはちょっと。

佐野史郎のページ

11月16日 AFユニット「・・・の夢」 千本桜ホール 2800円

満員の桟敷席はつらすぎる。シェークスピアの「A Midsummer Night's Dream」だと思うんだけど、原作に忠実 な劇をみたことないので、どのくらい脚色されているかわからないです。でもかっこいい台詞以外のところ はかなり切りはりされてるんじゃないかな。50近いおじさん1人と、あとは20代の役者だったんだけど、 おじさんパワーに圧倒されて、あとの連中は劇中劇を演じているような紋きり型芝居気味でした。実際に劇 中劇があってさらに紋きり型な芝居だったんですが。でもちゃんとストーリーを追っていけるくらい全体的 には整っていたと思います。なんか最近、洋物名作を見たい気分です。

11月22日 ハーフカット「アダージョ・アダージョ」 OFFOFFシアター 2000円

当日券で2箇所まわるなら時間の無駄がないようにと午後3時開演のところを探して出かけました。まったく 知らない劇団です。中学の同窓会で集まった25才の人達の悲喜こもごもとした、まあコメディでしょう。 親父が死んで洋食屋をうけついだ男は、クラスの人気物だったじゅりあちゃんと結婚したのだが商売がうま くいかず、同窓会が終った後夜逃げをするつもり。しかし2次会にはぐれた連中が居残って、もりあがってし まい出て行けない。同窓会には来なかった、当時は女の子として扱われていなかった子が綺麗になって現れ、 今度インド人と結婚するから、肉の食べ納めに行くとかわけのわからん展開になって、最後は夜逃げはやめて レゲエハウスとして店をやりなおすことになるという不思議な話でした。あんまりうまくないんだけど、とき どきぼそっと出るギャグがいい味でした。怪しい化粧品を売りつける同窓生の女がスタイル良くてセクシーだ ったけど、するめバリバリたくさん食べたよなー。

11月22日 BLUE HIPS「BEHIND THE MASK」 pamplemousse 2300円

作・演出が堤泰之ということですが、おもしろすぎ。キャピレット家には35才のジュリエットがいてロミオ が現れるのを待っている。そこへやってきた三越の配達員はキャピレット家の人々に捕まって檻に閉じ込めら れてしまい、かわるがわるいじめられる。ついにやけくそになってロミオをやるということになったのだが、 ジュリエットが急にロミオになることに反対して、配達員とジュリエットは家族と争いになり、配達員をかば ったジュリエットはナイフに刺されてしまう。悲嘆に暮れる配達員にキャピレット家の怒りが襲い掛かる。こ のキャピレット家というのは中野区民有志による劇であって本当の家族ではない。劇中劇というか、なぜ中野 区民がドラマツルギーを叫びながら劇を演じなければならないというところの不条理性が持ち味の作品。学生 くさい内容からして、かなり前にかかれたものでしょうが、とても気に入りました。知らないけどアクターズ ファームというところの出身者による劇団で、みんなうまいです。特にすこし間抜けなジュリエットはいい味 出してました。ラフカットよりおもしろかった。今年のベスト3に入りそう。

11月23日 Cat-footプロジェクト「ゴリさんの生活」 明石スタジオ 1500円

道に迷って昼ごはんを食べる時間がなくなって、腹減りのまま観劇。五里さんという刑事のいる捜査課が舞台 の刑事物なんだけど、ゴリさんはさほど出番もなく、新任の女性課長と、元夫の刑事が親子問題に関してぶつ かりあう、どっちかというと家族ものといっていい話。机や応接セット、取り調べ室などびっちり作ってあっ て、基本的にギャグ無しの内容なんだけど、ゴリさんのメイクとか事務担当の女性警官の言動とかがおかしい ので、それほど硬い雰囲気でもありません。1時間30分の間に3つくらいの事件があって、場が捜査課の部 屋だけなので、外の出来事が暗転の間にどんどん片付いてしまってぶつ切れ感がいなめません。あちこちに場 を飛ばすよりは狭い空間で濃い劇をつくろうとしたという狙いは実現されていたように思いますが、これもひ とつの演劇スタイルですね。濃い芝居を見たい時だったら楽しめたかもしれないけど予想外だったので疲れて しまいました。

11月23日 PEKE PEKE「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、弟、そして僕の役目」 千本桜ホール 1500円

2部構成で、1部は国会議事堂の前で消費税5%に反対する人達の話、2部はなぜかビデオ撮影されることに なった崩壊寸前の家庭の話です。バイオリンとフルートの生演奏で開演し、サラリーマン風の男があらわれビ ール瓶を笛にしてブフォーと吹き鳴らす。さらに男と女が現れ3人でボックスステップを踏みながら消費税反 対を叫ぶ。そこへふんどし3人男があらわれ餅をつきながら消費税反対を叫ぶ。劇場ではさほどおもしろいとも 思わなかったけど、今思い出すとあまりの馬鹿馬鹿しさに笑っちゃいます。20分くらいの短編でした。
2部は崩壊寸前の家庭にビデオ撮影の監督とADがきて、ホームドラマを演じさせてしまう。実際にビデオカ メラを使って映像を客席に流しながら、うるさい注文をつける。とにかくなにがなんなのかよくわからない。 まとまった劇としての形態ではなく、登場人物がつぎつぎと錯乱じみた行動に出て、いったい何をやろうとし たのだろうか。

11月24日 偉人舞台「十年」 アートスペース・プロット 2800円

ここも初めて見ました。阿佐ヶ谷いい街だな。大学のアニメマンガ研究会が溜まり場にしているバーが舞台の 青春ものです。ある日店の前にうずくまっていた女の子を店に招くと、同じ大学の学生だった。彼女は他人を よせつけず、心をひらこうとしないのだが、男をひきつける魅力をもっていた。彼女の存在は、趣味のつきあ いというサークルの人間関係を次第に、各人の過去やおいたちに関心をむけてゆく。卒業となってバーでお別 れ会がひらかれようとするとき、しばらく姿を消していた女子学生がリーダー格の男のアパートにあらわれ、 父親の性の対象にされていた過去をうちあけ、「私を助けたいなら死んで。」と泣いた。数日後のお別れパ ーティの日、リーダー格の男がアパートで死んでいたいたことがわかり、おのおのが自分が原因で自殺したと 感じ苦悩の別れとなった。数年後バーのマスターが死に、サークルのメンバーがあつまるのだが、男子学生の 死が心臓病であったことをマスターの手紙で知らされていたおのおのは、十年前みんなが出会ったころのまぼ ろしを目にうかべた。
若いけど、新劇の養成所出身の役者だけあって、じわじわと伝わるような劇がうまくできていました。アニメ 好きという所以外はよくある青春物なんだけど、ありきたりのストーリーでも劇として楽しませるだけの演技 をしていました。男優のほうがうまかったけど、無口な女子大生と対照的な役割だった、おしゃべりで元気な 女子大生役の人が調味料的に良く効いていました。

11月24日 TECH tinkerbell「Les Romantics」 アゴラ劇場 2800円

落ち目のアイドルと、純朴な青年が主人公のラブラブミュージカルです。その他登場人物は金もうけのためな ら何でもしていまう社長と、社長のいいなりのマネージャ、スクープ狙いの記者?なのでストーリーは適当に 想像してください。アイドルは21才という設定でしたが、演じた人はもう少し歳いってたけど、良くも悪く もステージ全体の雰囲気の中心となってました。いい面としては、丁寧に演じるところとシンプルにすすめる ところのメリハリに気をつかっていたこと。物足りないのは、元気さ若さがふりしぼってるけど、はじけるよ うなパワーまで出せないところでしょうか。全体的にもう少し明るくつくったほうが良かったと思います。小 劇場でのオリジナルミュージカルってほんと、もう少し公演数があってもいいと思うんだけど、作るの大変な んでしょうね。

11月29日 TREE Company「Dance & Play Unique Box Vol.1」 くにたち・マーサダンススタジオ 2800円

女性5人のダンスと、合間に芝居という構成でした。ダンスのほうはペルシャ風、ヒップホップとかあったん だけど、それはど斬新さはなかったけど気持ちのいい動きをしていました。芝居のほうは売れない脚本家が映 画プロデューサーに脚本を売り込むんだけど、はじめ殺し屋兄弟の話をつまらんといわれて、Shall We Dance? 風のものを書けといわれ、やくざの息子がクラッシクバレエをやる話を書くという流れです。脚本家とプロデ ューサーのやりとりがおもしろくて、「説明台詞はかかん」という脚本家に「柿くえば鐘がなるなる法隆寺」と か「能(脳?)ある鷹は爪を隠す」を演じてわからせろとかいうところはおかしかった。脚本家のダンスもなか なかよかった。

11月29日 SOAP「大野」 アゴラ劇場 1700円

ひさしぶりに見ました。大野という男が、突然女の子のつきあってといわれ、誕生日プレゼントのお返しに 、大きなうそをつくとあたりが真っ暗になるうそ発見機(掃除機)をもらう。大野は殺し屋組織の一員で、 女性メンバーのひとりが「私はもてもて婦人。もててもてて。。。」真っ暗となる。 いっぽう300年前に、突然狂暴になる病気にかかったお嬢様がいて、病気をなおす方法をもとめメイドと ともにさまよっていると、さすらいの貴公子なる貧相な男と出会う。殺し屋たちはこのお嬢様の殺害依頼を うけ300年前にでかけるが、大野が出会った女の子は実はお嬢様で。。。なんかスケールが大きそうな話 ですが、ナンセンスものでラストも理不尽な終り方だったけど忘れてしまいました。
フレデリカお嬢様かわいいのに、おかしい時の目茶苦茶さがグッド。ひげで坊主頭の男はまったくナンセン スで救いようがない。以前見たときより格段に上手くなっているけど、ナイロン化しつつあるような気がす る。あの美術と衣装で、この値段というのは良心的だけど。

11月30日 麦「控室/証言台」 千本桜ホール 2500円

かなり歴史のある劇団のようですが、劇団公演よりも大きな公演へ出演させる方へ力を入れているようです。
「控室」は40分くらいの軽めの人情ものです。結婚式場の控室に新婦の友人達(短大の演劇部の同窓生) があつまっていると、来ないと思われていた新郎の元恋人があらわれた。挨拶に来た新郎の目の前で招待状 をやぶり捨て、絶対に幸せにはさせないと捨て台詞を残し帰ってゆく。白々となった人達が出ていった後、 掃除のおばさん2人があらわれ1人が、いまいた女の子たちの中に20年前離婚でいきわかれになった娘が いたという。幸せそうに暮らしている娘を見て、名乗りをあげるのをやめて、静かに見送った。出演者は 20才くらいが多くて、初舞台という人も多くて、うまいとはいえないけど、まあいいか。新郎の元恋人を 演じた人が恐くて良かったです。でも1才で別れて20年後に娘とわかる人はいるのだろうか?
「証人台」は1時間くらいの重い作品でした。軍人の後妻となった厚子は、夫の戦争裁判で「夫は人の命を だれよりも重んじる人である。」と証言したが、虐殺容疑ははれず銃殺刑となった。生前、厚子が与謝野晶子 の「君、死に給うことなかれ」に心頭しているのを知った夫は厚子を斬ろうとまでしたが、自分が人間らし く生きてゆけるのは厚子の自分への愛のおかげであると思い直し赦した。しかし厚子は軍人と結婚するまで に、恋人の文士が留学先で死んだことに悲嘆し、自殺未遂をおこし、結婚後も心の中では文士への想いを捨 てられずにいた。厚子は証言台で「あなたが死刑になったら、私も生きてはいけない。」と言い、殉死する つもりでいたのだが、文士の事を思い出し、軍人と一緒に死ぬことは意味がないと思いなおして、先妻の娘 を育てる道を選んだ。後年、文士には別の女がいたことをしらされ、正気をうしなってゆく。いい本だと思 うけど、とにかく重くて疲れました。30代の役者だと思うけど、緊張感の高い良い演技でした。年配の観 客もいたけど、すこし辛いだろうな。

12月06日 流山児事務所「愛の乞食」 本多劇場 4000円

線路下の公衆便所に開店するキャバレー「豆満江(ずまんこう)」集まる怪しい人達の話です。豆満江は朝鮮 と満州の国境にある川で、ソ連侵攻にともなう退却時に悲惨な事がおこったらしいのだが、シルバーという 名の男と奪われた金歯の伝説のみが戦後伝えられていた。にせシルバーたちのうさんくさい話がもりあがり をみせたとき、聞きおぼえのある松葉杖の音とともに本物が。。。
古田新太の緑のおばさんはなかなかすごかったけど、全体的にはきれいにまとめられていたと思います。 70年代の上演はもちろん見てませんが、現代劇にはないうさんくささを持っています。演出の山崎哲や怪 しい軍曹で出演した流山児祥の演劇への愛情を感じる一本でした。けっこう歌もあって不思議な作品です。 洪仁順って舞台映えのする女優ですね。

12月07日 zinjanthropusboisei「Covered」 シアタートラム 3000円

4つくらいのながれが入り交じりながら進む内容でした。2つの陣営が投石機で遠くからゴルフホールに向 かって石を飛ばしあう話。一見むなしいようなんだけど人間の生きる目的なんてこんなもんなんじゃないか というところ。石を掘る人達の話。先に何があるかわからないけどがんばっちゃうときってのもあります。 高い所で大きな鳥を待つ話。ラストシーンがきれいでした。で、一番よかったのが女性4人によるほとんど ダンスに近いパフォーマンス。意味不明だけど変な同期な動きが楽しかった。中島まことは「心地よい孤独」 をテーマにしたようですが、ふーむ解らん。昨日の疲れで途中、最前列なのに寝てしまいました。本当にすまん。

12月07日 幻遊館「ゾウを冷蔵庫に入れる3つの方法」 千本桜ホール 2000円

こちらもオムニバスで、ナンセンスコメディでした。ラジオ番組のクイズでゾウを冷蔵庫に入れる3つの方 法という問題があり、博士と助手が考えます。萩原流行に似た女性が現れてストレスに苦しめられているの で助けてくれと訴える。調査のために女性を尾行することにした博士たちであったが。。。いきなり話が変 わって、犯罪を起こしてしまった人達の話、真夏の福引きに防寒着を着て集まる人達の話、書籍の優秀賞を 選考する話、はぐれてしまった鼓笛隊の話とかあって、最後はまた博士たちに戻るという構成でした。なん か変な理屈をこね回す選考の話が良くできていたとおもいますが、厚着の福引きがいちばん笑えたかな。 結局ゾウを冷蔵庫に入れる3つの方法は謎のまま。尾行シーンがビデオで作られていたんだけど、よくでき てました。でも横浜の住宅街であんな事やったら怪しまれるだろうな。

12月10日 HIGHLEG JESUS「真っすぐにクサる」 渋谷公園通り劇場 2300円

ボーナス日だというのに1人でこんなものを見に行いく虚しさよ。他の演目ではほとんど目立たない2人が いい味出した、地球防衛少女アイちゃんがいちばんおもしろかった。河原雅彦の出演時間がだんだん長くな るのは気になるところだけど、若者をひきつける怪しい力はなんなんだろう。

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12月13日 ミュージカル座「I HAVE A DREAM」 六行会ホール 4500円

昨年できたミュージカルカンパニーだそうですが、初めてみました。1950年代のアラバマ州モントゴメリで おきたキング牧師たちによる公民権運動をテーマにした、ブロードウェイ風ミュージカルです。奴隷開放か ら100年がたっても、黒人への差別が州法などで公然と残っていたモントゴメリの街で、1人の黒人青年 が工場をクビになり、不良グループにくわわっていく。職のない黒人の若者たちは、恐喝や盗みにはしり、 白人との対立をふかめつつあった。いっぽう青年の姉(吉岡小鼓音)たちがはたらく店では混血の娘が白人 の男でバス会社の御曹司と結婚することがわかり、賛否両論あったが結婚にむかって進み出す。そんなとき バスの白人席に座った黒人が逮捕されたことから、黒人たちによるバスボイコット運動がおこる。バス会社 の御曹司は黒人たちの運動を潰そうと、KKK団に参加して弾圧をはじめる。黒人たちはキング牧師の非暴 力の訴えを聞きながらもKKK団への対抗として武力闘争へ動いていく。キング牧師爆殺未遂事件でついに 黒人グループはKKK団との衝突に至り、リーダーが殺される。バス会社の息子も混血娘との結婚がKKK 団にバレて制裁を受け、いままで自分の価値観の根元であった白人の誇りというものが、いかに虚しいもの であるかを悟り、差別撤廃のために活動をはじめる。合衆国連邦裁判所による差別法違憲判決を勝ち取り、 公民権運動はキング牧師による「I HAVE A DREAM.・・・」の演説へと進んでいった。
後半はかなり泣かせ所があって、主要キャストのうまさもあり、なかなか見ごたえありました。舞台芸術学 院の卒業生を中心としてやってるようですが、勢いを感じます。Wキャスト公演の片側しか見てませんが、 吉岡小鼓音の力は確かに感じるけど、カンパニーメンバーだけでもチケット代に見合う内容だったと思いま す。今の勢いを維持できれば2〜3年以内にかなり大きな劇場へ出せるんじゃないかな。混血娘を演じた 三根陽子かなりグッドです。音楽はいかにもミュージカルってのが。。。まあしかたないか。

12月14日 娘の予感「husha-by」 千本桜ホール 800円

東京工大の劇団で1年ぶりに見たんだけど、何人かは力の加減にも出てたような。鴻上作品で劇としては初 めてみました。でもハッシャバイってあんまり公演されてないですよね。台詞が多くて構成も複雑で役者側 にはやりがいあるかもしれないけど、観客としてはいまいち楽しみ所の無い話のような気がする。戯曲本読 んでも最後まで読めたことが無いし。芝居感は男優の方は表情が出し切れてないですね。個人個人がもう少 し切れないともりあがらないでしょう。女優陣はかなりツボを押さえた演技をしていたと思います。
自由が丘あたりに演劇の小劇場があってもいいと思うけど、工業大学ばっかでは学生による盛り上がりは難 しいのかな。

12月20日 AWAWA「リップサービス」 千本桜ホール 2500円

千本桜の公演がえんぺのおすすめに載るのも珍しいですが、初めて見た女性劇団です。歌舞伎町の店のホス テス更衣室を舞台にしたホステス蘊蓄物とでもいいましょうか。着替えシーンが多くて目の保養にはなりま した。まずはホステスの仕事について良く調べてある。複数の携帯電話を使い分けてなんて最近のテクニッ クだろうし。つぎに各役者の使い方やテンポのつくりかたがとてもうまい。全体的に速いんだけど、ボケ役 のうららとか新人ルミがボーっとあらわれるとか、つっぱしらないための工夫がうまくしてある。あやの、 サキ、すみれを演じた3人はうまいけど、つっぱしってしまうタイプのような気がする。演劇を見過ぎてい る人には本にひねりが足りないかなという気もするけど、演技や演出、美術なんかも上出来な劇だったと思 います。お金もかかっていそうだし。

12月21日 炭酸ズノウプロジェクト「クールなスパイでぶっとばせ」 アートスペースプロット 1500円

ここも初めてみました。カレンダーと日付の管理をしている美しさ95点のお譲様が、クリスマスイブに予 定が無いためにクリスマスの日を盗まれたことにして、売ってしまったために警察や赤い糸の管理人が奔走 するドタバタコメディです。走るシーンとか、早着替えで次のシーンとか出演者にはきつい内容だったと思 いますが、演劇やりたい気持ちがストレートに伝わる、なかなか良いステージだったとおもいます。すべり 覚悟でやった数々のギャグに今、拍手を送りたい。なーんちゃって。

12月26日 TRIPPNG ONANIES「火星人ピピクピル」 千本桜ホール 1000円

ナンセンスギャグ+お下劣ネタのtripping onaniesの第2回公演にして、これでしばらく活動休止だそうで。 ブリーフ漫才にはじまって、ラララ無人君を歌い踊る宇宙人と地球人の戦いを描いた本編へとつづくのです が、ところどころのギャグはおもろいけど本編のストーリーそのものは苦しまぎれの感じがしました。前半 はテンポもよくて、笑えるところ多かったけど後半がダラダラしてました。しかし第1回公演にくらべると 格段にうまくなってるし、もう少し回を重ねれば観客のほうが理解できる(はまってくる)ような気もする のですが、休止ではしかたありません。岸田國士の曾孫で、岸田今日子の姪という女優さん、いい味持って るけど、ときどき照れちゃってるのが残念。

12月27日 大人計画「生きてるし死んでるし」 本多劇場 4200円

大人計画はじめてみました。人間蘇生装置デルタライフによって生き返ったIS(生きてるし死んでるし)と呼 ばれる人達と、死を宣告してデルタライフを外させることを仕事とする宣告屋の話ですが、難しいところも なく気軽に楽しめました。「もののけ姫」のカウンターテナーとか、「ポケモン」の失神とか新しいネタ も入ってましたが、ドラエモンが圧巻でした。藤子F不二雄先生も草葉の陰で泣いて喜んでいることでしょ う。コメディとしての劇表現としては完成度高くて、はっきり面白いと感じるのですが、まわりの女の子た ちがあまりに笑ってるので、ついてゆけずちょっと冷めて観てしまいました。

12月27日 動物電気「天国はどこだ」 モリエール 2200円

ハイレグの政岡泰史が作・演出している劇団で初めてみました。7つ子と母親のホームコメディです。初の 7つ子が生まれたのだが、マスコミにもとりあげられずひっそりと暮らしている。父親が死んで、子供たち は小学生になった。ある日家庭訪問があり先生が家にやってくると、死んだ父親とうりふたつ。母親は無理 矢理再婚して新しい父親ができた。隣の家のオヤジは愛想がわるくて、子供も意地悪い。なんだかんだで7 つ子たちも自分の夢にむかって歩き出すという結末です。それほど笑えるほどのもんではないけど、観て損 ということもありません。ルルを演じた最上沙和子ちょっといいかも。途中現れて演技指導する政岡泰志も らしくて。

12月28日 CURATE246-T「煽動する女」 紀伊国屋ホール 4200円

女子高生と、女装クラブと、いんちきエステと現代の変な部分をいろいろ盛り込んだ話でした。キャストが 4人だけなので、1人多役で走りまわってる(その走りかたが第三舞台風の走り)。役者ががんばってるの はわかるんだけど、劇場の大きさにくらべて4人は少ないかなと。役者を楽しむという目的では良かったの かもしれないけど、席が後ろだったので姿だけでは男優3人の区別がつかず、あまり満足のいく観劇とはい えなかった。それにしても西牟田恵の声はどうしてあんなに婆っぽいのだろう。

101本でした。


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