最終更新 1997/07/06
終演後、坂手洋二と北村想(プロジェクトナビ)の対談というのがありました。地域と演劇(劇団)、公共劇場
のあり方というテーマで、世田谷パブリックシアター制作担当の松井憲太郎(元黒テント)という人の司会でした。
最近あちこちに公共の劇場・ホールができているのだけれど、レンタルとして単発的な使われかたが多く、なん
かちゃんとした使われかたをしてないんではないか。その原因は、例えば、文化事業のビジョンが無い、どうす
れば(演劇)公演などが実行できるかわっていない(制作のできる人間がいない)など問題があり、建物だけを
つくれば良いという今の文化行政はなっとらんという結構硬い話になってしまいました。公共劇場ということで
今度新国立劇場ができるけど、小劇場で日の丸を燃やす劇をやりたいと坂手がいったら断られなかったけど、当
分先送りされそうだったので今年地人会でやることにしたとか、それなりに民間劇場と公共劇場ではちがいがあ
るようです。 半年で37公演でした。
1月25日 JIS企画 「チュニジアの歌姫」 本多劇場 4000円
佐野史郎が主宰するJIS企画2本目の作品です。作演出は前回公演「月ノ光」に続いて竹内銃一郎
です。竹内銃一郎の戯曲は斬新さはないと思うのですが、演劇というスタイルにおいて、ひとつの
完成された演劇を作りうる本だと思うので、一年に一本以上は見ようと考えています。佐野史郎演
じるところの怪しい男が、チュニジアに療養にきている往年のアイドル歌手に映画出演を依頼しに
くるのだが、有名監督の名をかたって金を出資させようとした所に本物の監督の死が報じられ、
偽物であることがばれてしまう。その後婦人が病死するが、偽者監督は彼女の息子であるというこ
とがわかり。。。って話です。本として特によかったのは、本物の監督の死が報じられて急転回して
いく流れでしょうか。少し眠かったのは、月夜のテラスなどでの1対1会話などです。
演技で一番おもしろかったのは女中を演じた広岡由里子で、主治医の益岡徹も小次郎っぽくておかし
かったです。娘役の菅野美穂はさすがにまだ演技を楽しませるところまではいけてないですが、動き
に華があっていいです。
1月26日 劇団火扉「あじさい太郎」 千本桜ホール 1500円
はじめてみました。画家風の無口な男と、水商売をしている元役者のネエちゃんが中心のちょっと
ふうがわりな劇でした。昔のコメディ映画のようなシーンごとのお笑いと、役者ネタということで
演劇関係者ウケする話を組み合わせてありました。出演者は複数の劇団をやってきた人が多いよう
で、かなりマニアックなウケをねらっていたように感じました。
2月8日 「シルヴィア」 パルコ劇場 7000円
オフブロードウェイで上演された作品の翻訳ものです。作者はA.R.ガーニーで中年夫婦と犬の渋い
物語です。夫が公園でひろってきたメス犬(シルヴィア)と異常に仲良くなってしまい、妻が犬を受け
入れようとしないために夫婦の仲がおかしくなり、妻とシルヴィアの闘いがくりひろげられます。
犬(シルヴィア)を演じたのが安田成美で、スタイルいいですね。演技は味が足りないように感じましたが
台詞が聞き取りやすかったので、まあ満足です。夫婦(杉浦直樹、真野響子)はちょっと渋すぎるかもしれ
ませんが静かな中にも味のある演技でした。お笑い3役をやった西岡徳馬は他が渋めだったので、おかし
かったです。出てくるだけで笑いがおこってたし。
役者が人間の格好のまま犬を演じるというのは演劇でもあまりないですが、見てるとだんだん犬らしく見
えてきます。劇中でも犬を溺愛してしまう夫を他の人々は「シルヴィアは犬なんだ。」と何回もたしなめ
ますが観客にはかえって呪文のように聞こえ安田成美は犬なんだという気になってしまいます。最後に犬
の写真が出てくるのですが、それまで観客がつくりあげてきたイメージとギャップがあるのかため息が多
く聞かれました。そして現実にひきもどされてしまいます。ガーニーの挨拶文にもあるように演劇として
とても実験的で、心理学的うらづけのもとに書かれた本であると思います。
2月16日 GOOD FALLOW 「TRANS」 die pratze 2200円
鴻上作の3人劇です。第三舞台の公演も昨年のプロデュース公演も見てないので演劇としては初めてみま
した。戯曲を読んだときには静かなイメージを受けたのですが、劇場でみると意外に激しかったです。
精神科医と患者とオカマの話ですが、簡単に説明しようとすると絶対に誤解が生じる話なので、ストーリ
ーを知りたい人は本を読むか、ビデオを探すが、再演を待つかしたほうがよいでしょう。
登場人物が3人で白衣さえあればできる劇なので小劇場でもっと上演されても不思議ではないのですが、
いざやろうとすると恐ろしく難しい劇のようにおもえます。この公演は蜷川カンパニーの女優と元JAC
の2人の男優で上演されましたが、劇がそれなりに成功していたのは基本的なものができている役者をつ
かったからからだと思います。力不足な役者で上演したら本当にボロボロになってしまう作品だと思いま
す。まあともかく、この公演は演技もかなり質が高かったし、スピード感もあって満足できました。演技
の見所は分裂した人格や、気分の変化により1人の登場人物が複数の性格や態度を演じなければならない
のをいかに、切り分けて表現できるかということだと思いますが、かなりうまかったと思います。
女優さん(森田由紀子)は乙女塾3期生だったというだけはあってアイドル系のルックスでなかなかでした。
2月22日 東京あたふた 「竹の間」 千本桜ホール 1800円
田沼時代末期、江戸城竹の間に集められた人々が田沼意知殺害を決意するまでのシチュエーション
コメディです。時代劇なのですが、衣装などのみせかけによらないものを作るというポリシーで
現代スタイルでつくられていました。竹の間のセットはちゃんとしてたので衣装代がなかったという
わけでもなさそうです。田沼意次に会うために竹の間に集まった人たちが長々とまたされる間にドタ
バタやって、書類の盗み見からリストラの対象にされていることがわかって、さらに意次ではなく意
知が来ることがわかったので、みんなで意知を殺してしまおうということになる話です。ドタバタす
る所のエピソードがいまひとつ面白さが足りないせいか、はじめは意次にとりいろうとしていた連中
が、ついには意知殺害を決意するに至る移りかわりが無理な展開なように感じました。役者も少しコメ
ディには遠い方もあったようにおもいました。西村雅彦似の茶坊主役はなかなかおもしろかったです。
2月23日 永作博美「水物語」 スペースゼロ 4200円
黄金丸から見てるので、半分義理的に見に行ったのですが、予想以上の出来でした。1人芝居で登場
人物は永作扮する女性作家です。その作家が18才ではじめたホステスの仕事の回想という形で話は
すすみます。アヤ(文子)は店の客で理性的な感じの村上とつきあいだすのですが、村上が家庭もかえ
りみずアヤの所へ通ってくるようになると重荷になってきます。村上はさらにエスカレートして骨折
をおしてでも通ってくるのですが、アヤは自分が人間として扱われていないというプレッシャーに苛
まれて胃潰瘍になり、店をやめ、村上と別れ、作家になったという話です。心情的な理解は男の観客、
女の観客でわかれてるかもしれません。男の目からみると大筋ではもっともだと思いつつも、心のど
こかでは困った女だと考えてしまう。私ものぼせやすくて、さめやすいので結構迷惑をかけるタイプ
かもしれない。
ひさしぶりに歌もきけました。最近永作はテレビドラマなんかでも他人にあわせてキャラクタを生か
せない仕事が多かったようにおもうので、今回の公演はひさびさにつっぱしった感じでよかったです。
台詞も多いし、後半の感情的な場面はかなり難しいと思うけど、うまかったです。
この作品ですが、内容もいいし、1人芝居にありがちな演劇スタイルへの固執もなくおもしろいので
、今回で終わりではなく、別の役者でもいいから上演してほしいです。台詞を憶えるのはたいへんだ
けど。
3月7日 オンリーワン・シアター 「初めて自転車に乗れた日」 千本桜ホール 1000円
引越しをする姉妹と手伝いをする男たちの、荷物を運び出す場面だけの劇です。舞台上の時間もリアル
タイムで、別の場面とか別の時刻とかが全然ありません。劇作法の課題としてはなかなか興味ある設定
ですが、やはり内容の物足りなさは否めなく、こういう設定のもとに面白い劇を書くにはどうしたらい
いんでしょう。人間、口はひとつですが、目や耳は2つありますから観客の理解力を信じて情報量を増
やして欲しいです。ギャグも照れて理由をつけてますからね。
3月8日 秦建日子プロデュース 「サハラ」 シアターモリエール 2500円
勝ち抜きエンドレス公演の「比翼の鳥」がおもしろかったので、その時にの公演のチケットも買って
期待していたのですが満足度70%くらいでした。時代も場所もよくわからない国で、人でなしと呼ばれ
差別をうけている人々がいて、仕事にもつけず盗みをして暮らしています。身売りから逃げ出してきた
娘や、少壮の軍人などごく一部の街の人は、ひとでなしたちにとけこんでいけるのですが、所詮この国
ではひとでなしの扱いがかわるわけでもなく、ひとでなしのない”あの国”に行く夢を語り合うことで
なぐさめ合います。じじいが生命保険金を得るために死んでも、保険金が支払れないことから争いがお
こり悲惨な結末となります。主題的には重いのですが、途中は「つるがツルー。」とかギャグ連発で笑
えました。でも希望がない話です。大道具、小道具をほとんど使わない、あったのは大きな板チョコと
潜水道具くらい、シンプルなつくりでしたが、その分役者の演技をありのまま味わえました。いつもの
ことだけど生方和代って、チラシの写真とかかわいいのに、劇場だとほとんどアクション俳優だし。
3月9日 ORGAN VITAL 「うわさの床屋」「ORGAN(映画)」 スズナリ 3700円
この劇団は初めてみました。昨日の「サハラ」とうってかわって、こちらは床屋のセットとか血のりと
か精密な道具類が数多く、ものすごく金がかかっていそうな舞台でした。それだけ視覚的なリアリティ
に重きをおいた内容でした。免疫学の権威であった医者が、人体実験の疑いをかけられ、患者と一緒に
逃げ出し床屋で見習いとして働きだします。しかし元婦長や、妄想を持った女性患者、女性患者の兄で
週刊誌記者の男などが追いかけてきて、安息な生活ができません。サービスで何かの検査をしてれると
いう噂がたって、「うわさの床屋」には変な客が。実は兄弟であった連れてきた患者と女性患者の争い
の中で元医者ははさみで刺されて死んでしまいます。なかなか恐い話ではあるのですが、塗り髭メーク
とか笑えるところも多かったです。内容もスリリングで演技もうまくて良かったです。
映画のほうは、臓器売買組織と刑事の闘いをえがいた100分くらいのものでしたが、ものがものだけに
かなり気持ち悪いです。はじめはなんか社会派作品かという感じでしたが、だんだんオカルトじみてき
て、最後は皆殺し状態です。映像的には凝ったつくりで良くできています。怪しい映画によく出てくる
広田れおなもでている。
3月15日 cat-footプロジェクト「Sicktic」 千本桜ホール 1800円
この劇団も初めてみました。スランプのイラストレータの隣部屋に変な親子が引っ越してきて、カキな
べを食べてしまったり、オーディションの案内を捨ててしまったりトラブルをおこします。しかしいつも、
何にでもしっぽがある絵を描く娘と気が合って、次第に周囲の声を気にしすぎていた自分に気付きます。
ついに絵を描く気力をとりもどし成功を手にしました。
本はかなりおもしろかったと思います。でも100人集まるほどの内容ではなかったです。連続もののテレビ
ドラマっぽいのりでした。
娘2人はかなり良い味出してましたが、その他がもう少し演技で工夫してほしかったです。
3月20日 zinjanthropusboisei「Waltz」 East Gallery 3000円
舞台のつくりも内容も95年の公演とはまったくかわってました。前回の公演はフロアの低いところが
客席で、周囲をつかって天使と天使の死体にまつわる話でしたが、今回はフロアの低いところに人間の
男女の住む部屋、周囲に天使の場所があり、話も人間の生活をメインにしたものになりました。
ストーリーといっても起承転結があるわけではなく、若い男女が愛し合いながらも、衝突し愛の意味を
考えていく風景です。人間の男女と関係なく周囲では、黒衣の天使が機械的に踊りやその他の行動を繰
り返しているのですが、次第に男女の天使が愛を意識し、終末、死というものを手に入れるという前回
と同じテーマでクライマックスの円舞となります。今回も非常に良く考えられた演出で、演劇の最先端
をいく作品には違いないとは思うのですが、ビジュアル的な刺激が多少ものたりなかったという気がしま
す。役者の演技に関してはいつもどおり淡白で良かったと思います。コテコテにやったらぶち壊しにな
ってしまうでしょうから。たぶん私の年間ベスト10に入ると思います。
3月20日 MMG「女王メアリー」 千本桜ホール 800円
お茶の水女子大のミュージカルサークルだそうです。でもこれはミュージカルではなくて16世紀の英国
を扱ったストレートプレイです。宮本亜門演出で何回か公演されているので知ってる人も多いでしょう。
私もテレビでは見ました。スコットランド女王メアリーは、保護を求めてイングランド女王エリザベス1
世のもとに来るのですが、幽閉されついには断頭刑になってしまう話で、たぶん実話に基づいているんで
しょう。エリザベスとメアリーが交互に出て来て、それぞれの侍女と話すか独白することで話は進んでい
きます。演劇として出来もかなり良かったです。音がちゃんとでなかったり、声だけの男の台詞が棒読み
だったりと多少の問題はありましたが、エリザベスとメアリーはほとんど成りきってるし、それぞれの侍
女もとぼけたのとしっかりもので良いアクセントになっていて、上々の仕上がりではないでしょうか。
今回見ただけですが、出演者のキャラクターは良くいえば上品、悪くいえば硬いので、今回のような演目
なら合ってますが、ミュージカルを楽しくできるかどうかは心配ではあります。
1日のみの公演でしたが、衣装がちゃんと作ってありました。
3月21日 宝塚星組「エリザベート」 東京宝塚劇場 6800円
ひさびさに宝塚です。ハプスブルグ帝国末期の皇后の話で、ウィーンで作られたミュージカルです。説明に
よればハンガリーがオーストリアから独立したことに業績があり、生国のドイツや現在のオーストリアより
もハンガリーで人気が高い人物だそうです。ウィーン版は音楽重視、ハンガリー版は独立運動重視だそうで
すが、宝塚版はエリザベートと皇帝フランツ・ヨーゼフ、そして黄泉の帝王トートの関係にウェイトがあっ
たようです。理屈はともかくエリザベートを演じた白城あやかがすばらしい。少女時代から老齢までの、そ
れぞれの場面で味があります。特に最後に近い場面で、顔を合わせることの無くなっていた皇帝と公園でひ
さかたの言葉を交わすシーンは涙なくして見られないでしょう。「若き日の唄はわすれじ」の最後のシーン
を思い出してしまいました。白城あやかの表芸はダンスだったと思うけど、今回は少ないなりに、滑らかな
踊りも見れましたし、それ以上に立ってるだけで醸しだされる気品とかに圧倒されました。これで退団して、
舞台もやめるそうですが、満足のいく舞台を演じることができたからだとおもいます。私個人のの観ですが
本当に良い仕事をしたとおもいます。
3月23日 Yellow Cherry co.「SとFのワルツ」 千本桜ホール 1000円
本は一跡二跳の古城十忍によるものです。いつ書かれたものか知りませんが、ダイエットと過食症を
題材にしてるので2〜3年以内でしょう。離婚寸前の夫婦がいて、妻は作家で「ヘンゼルとグレーテル」
を元にしたエッセイを書いているのですが過食症、妻の兄も野球選手でウェイトを増やすために過食症
になってしまってます。兄と妹が過食症であることと、ヘンゼルとグレーテルが魔女につかっまって食べ
られるために太らされる話をオーバーラップさせてあります。妻がワープロに向かって文章を書くと、
舞台上にヘンゼルとグレーテルがあらわれるという趣向です。演劇として非常に高度な作り方をしてある
本だと思うのですが、今回の公演は消化不良だったようにおもえます。2時間以上で長い事ですし、もっ
と各場面で何を伝えたいかを明確にする必要があったと思います。妻がかかる歯科、胃腸科、精神科の
医者がどれも同じで、同じ人に見える病気だったというのは意表をつかれました。電話の意味が理解しき
れませんでした。
3月29日 ジュラルミン「東京シュプレヒコール」 千本桜ホール 800円
雇われて反対運動をする変な4人組の話です。ビルの解体を防ぐために1室に集まるのですが、リーダー
の男は1人で服を脱ぎだしアントニオ猪木になってしまう。2番めに現れる男は猪木のまねをしているリ
ーダーを無視して傘で素振りをはじめる。台詞のないひととき。その後、間の悪いタイミングで女が現れ
ぼけまくる。4人目の男は暑苦しいキャラクター。リーダーが用意してきたガッチャマンヘルメットをか
ぶり解体業者に変なスローガンを叫び戦うという内容です。コメディではありますが、アクションも激し
いし、大声の台詞も多く、単なるお笑いでないものをつくろうとしたとおもうのですが、私が疲れていて
ウトウトしながら見ていたので、ときどきおかしいギャグ以外は把握できませんでした。でもガッチャマ
ンって20代前半の人達憶えてますかね。
4月13日 G.O.A.「オートマティックの闇」 東演パラータ 2300円
科学的かつ非科学的、哲学的かつ超心理的なわけのわからん内容でした。非常に台詞が多くて1時間50
分休みなく交代で大声で叫ぶので、見ているほうも疲れました。登場人物も童話作家とか新聞記者とかは
解るのですが、その他が結局は何者だったかのかよくわかりません。万有引力を若くしたって感じです。
でも演技は、演技そのものは劇を面白くするところまでいってなかったです。台詞が多すぎたのかもしれ
ません。最後のほうで見せた十字架とか、予言をする箱とかの装置はとても凝っていました。
チラシを見て先進的なイメージだったので見にいったのですが、表現はオーソドックスでした。場所が不
便な劇場でしたが満員でしたし人気あるんでしょうか。作品は大作といっていいと思います。
劇団のページ
4月20日 幻遊館「サギ」 千本桜ホール 2000円
コントの7本立てくらいでした。触るものが何でもくっついてしまう男の話、新薬実験の話、文通する男
女の話、薬屋の話、納豆の話、くしゃみを誉める話、公園の怪しい男の話。短いので、じゃかじゃかじゃ
んけんとか、声だけのもありました。元ネタとかスタイルは古典的なんだけど、現代風のアレンジでブラ
ックなところもありおもしろかったです。背景をその場でペイントしてしまうというのもいいアイデアだ
と思います。でもパロディはやっぱりパロディなんだよね。とりあえず人が楽しんでくれるものというの
では志が低いぞ、若者よ。
4月26日 ヒップ・アタック「窓を開けたら」 千本桜ホール 3000円
35才女3人泣き笑いの物語です。独身でボサノバ歌手をしている由季のところへ、「美少年」の1升瓶
を持った独身OLの千賀子が遊びにきます。トランプのスピードをやってると来客があり、主婦している
ひとみが雨の中濡れて訪ねてきます。この3人は高校時代バスケ部でおなじだったのですが、卒業してい
った先輩の取り合いで千賀子とひとみは絶交状態だったのです。酒をのみながら日頃の話や昔の話をして
いるうちに、取り合いをした先輩の話になり、つきあっていたひとみが先輩のメモ帳にかいてあるたくさ
んの女の名前と日付から一番先にキスしたのが由季だったことを告げ、それを知らなかった千賀子が激怒
します。外へ飛び出した千賀子が転んで怪我をしたり、ひとみが夫の浮気や子供にくそババーといわれた
ショックで家出してきたことなどが語られるのですが、最後には夜明けとともに打ち解けて、元気にやっ
ていこうというハッピーエンドとなります。
20代前半の人には、ありのまますぎて物足りないかもしれませんが、私くらいだと色々と共感できるも
のがあります。劇としては動きも派手だし、35才=落ち着き、というイメージもなく若者には負けない
ぞって感じで見てよかったと思う1本です。
5月2日 星座「シンデレラに靴はいらない」 千本桜ホール 2800円
劇団名は”せいざ”では無く”ほしざ”だそうです。元警官の売れない役者がアルバイトでラブホテルの
受け付けをやっていて、いつも裸足で逃げ出してくる女の子とか、不倫のOLとかの常連がいて、しかも
不倫のOLが昔ラブレターを出した憧れの人だったりします。不倫にからむ恐喝事件にまきこまれていく
のですが、警官の役のために着た制服で悪者の隠れ家にのりこみ解決します。話の流れはそんな所ですが、
憧れだった人(OL)と、役者仲間の彼女(とってつけたような人物設定であるが、かわいいので許す)
の2人の女性がこの男に関わってきて、男と女としてもいいところまでいくんだけど、最後にはOLはや
はり不倫相手を選び、仲間の元彼女も前の男の所へ帰ってしまうという悲しいラブストーリーでもあります。
主役の男とOLは舞台慣れしていて役者らしいんだけど、その他が板についてないというかバランスがいま
いちでした。いつもラブホテルから裸足で逃げ出す女の子に男が靴をあげるんだけど、受け取らないという
ラストシーンなんだけどタイトル「シンデレラに靴はいらない」そーだったのか、です。オープニングと劇
中でアカペラの歌があったんだけど、ハモってないけどいい味でした。
次回公演がシェークスピアのハムレットとか書いてあるけど、いったいどんな劇団なんだろう。
5月4日 とうじ魔とうじプロデュース「アフターテラヤマ演劇祭」 Show Boat 2940円
1日のみのイベントでした。前売りを買ったので椅子を確保できてラッキーだったのですが、
恥ずかしいことにもなってしまいました。ハイレグジーザス以外は初めてみました。
いっけんまじめそうな男が出てきて、配った紙に書いてあることを説明します。つながりはあるのですが
目茶目茶な事が書いてあって時々笑えました。その後、坊主頭の男も出てきて脈絡がちゃがちゃのやりと
りをします。最後に乾電池で回しているモーターを鯵に差込み、それだけを5分間も見せられました。ナ
ンセンスパフォーマンスとしては非常に高度で、考えてあることはわかるんだけど、見る側としては理解
するために考えねばならないし、忍耐も必要です。マニア向けでしょう。
たぶん30代の女性です。金太郎の話と、白やぎ黒やぎの話とあと1つくらいあったようですが忘れました。
スタイルは変なアクションや脚色の入った物語です。幼稚園とかでうけるかもしれない。ふだんはもっと
小さいスペースで公演してるそうですが、観客を世界にひきずりこまないと、話について来てもらわないと
なりたたない芸なので難しそうです。寝てる客もいました。
マイケルジャクソン風の顔、服装で"Beat It"にあわせて”ひみつのアッコちゃん”を歌うというオープニ
ングでつかみはOKです。歌以外はほとんどしゃべらないで、紙に書いたものを見せて観客参加型の遊びを
します。”審査員審査”というコーナーがあり、ゲスト審査員に○○に似ている人を連れてくるという課題
を出し、松たかこ、篠原ともえ、で適当に会場から客を連れて来た審査員はハリセンで殴られ、スメリーに
似た人というところで、日経記者が選んだのが私で、ステージにひっぱりだされ、なぜか私がハリセンで殴
られてしまいました。芸を楽しむという点ではスメリーが良かったと思います。
半分くらいが見たことあるネタだったので、特に良かったというものはないのですが、若い女性客を中心に
相当盛り上がりました。岸潤が髪が伸びていたので、はじめわからなかったけど、寺山修司についての作文
というコーナーで一人で語る芸とか見てると(芸人として)本物かなという気もします。
ゲスト審査員は、ヒカシューの巻上公一、日経文化部記者(若い緒形拳風)、舞台美術家、セゾン文化財団
の女性の4人でしたが、スメリーのところでおもいっきり遊ばれてしまったので、威厳もなにも無いのです
が講評と賞の授与がありました。特にセゾンの女性は、いいキャラクタで、スメリーと一緒に踊ろうとする
し楽しそうな人でした。小劇場の発展に力をそそいでくれることを祈ります。
5月5日 あいやすいか「ありしひ」 アゴラ劇場 2000円
昨日の口直しの意味もあり、劇らしいのを見ようと出かけました。蟻の話です。集団として女王蟻の意志のま
ま生きている蟻の中で、自分の意志で行動する蟻が現れたらどうなるかという話です。劇場の入り口とかに
黒づくめの蟻の格好をした人がいて、劇場に入ったらステージでも蟻の格好をした連中がいて、なんじゃとか
思ったのですが、劇はまともでした。まともどころか今時こんな話が書けるとはと一種の感動を憶えました。
成井豊でも書けないだろうな。人間の子供が蟻の巣を壊すのですが、蟻たちにとっては原因がわかりません。
ある働き蟻が原因を調べるために旅に出ます。いっぽう夜空が黒いのは蟻が空を覆っていると信じている子供
がいて、地上に夜空をつくろうと蟻を1日に千匹捕まえては死体の山をつくります。ある日、旅をした蟻と子
供が出会い、蟻は子供を見上げ、子供は蟻を見つめ、互いに知ろうとすること、やろうとすることを解りあお
うとするのですが、蟻は女王蟻が指し向けた討伐隊に殺されてしまいます。女王蟻は良し悪しにかかわらず、
働き蟻が自分の意志で行動することを許さないという本能を持って生まれてきているから。この子供と姉に関
する話もオーバーラップして進んでいき、夜空が蟻だといういきさつなどがわかってきます。いまひとつわか
らないのは蟻の話の劇をつくっている劇団の演出人と子供との関係です。同一人物なのか別なのか?
劇の演出は、特に大勢が動く場面は教科書どおりというか、有名所のスタイルを踏襲している観もあるけど、
下手に意味不明なことをするよりは良いかもしれない。全体として20代前半でこれだけのものを作ったとい
うのはすごいと思う。オリジナル本でこれだけまとめたのと、高校生並みの実直さを表現できたのと。
客集めができたら、この路線でやっていけそうな気がします。でもタイトルはもう少しなんとかしたほうが良
いのでは。
5月10日 クッキーモン星「ハーメルンの夢吹き」 千本桜ホール / カンパ
けっこう年のいった変な女性劇団です。観客も女性客が多いです。夢の中でいい夢を守ろうとするウサギと、
いい夢を悪夢に変えて食べようとするバクが戦う話です。ハーメルンの笛吹きやグリム童話の日本で知られて
いるのと違う残酷な原作をモチーフに使ってます。バクはバクでなく人の姿をしているので登場人物の誰がバ
クなのかわからず、夢使いの弟子であるウサギとその協力者は、これがアツシ君の夢で、なぜアツシ君の夢が
食われようとしているのかを考えていきます。ついにアツシ君はすでに死んでいる淳の身代わりとして母親が
作り出した幻で、存在そのものが悪夢だったという哲学的ともいえる結末になるのですが。。。劇はお笑いで
す。あちこち笑えます。役者そのものがお笑いのキャラです。1日経つと忘れちゃうようなギャグなんだけど
おなかの皮が疲れるような深みのあるギャグでした。
結局バクはアツシ君の隣の家に住んでいた少年だったんだけど、なぜわかったかというと、その少年の姓が大
和田だったからです。
5月11日 北区つかこうへい劇団「何処へ-アダルトビデオ青春記」 シアターΧ 2000円
千秋楽だったので、当日折り畳み椅子も満員でした。でも私の近くで2人途中で出ていってしまいました。
継父に犯される日々を送っていた高校生が、歴史教師の手を握り「いっしょに逃げて」と言い、教師は妻子を
捨て東京にきます。2人はアダルトビデオに出演するのですが、元教師の演技が悪いため、他の男優と仕事を
するようになり、セックスと愛は別だと考える女と、許せない男との衝突がおこり、ついには別れてしまう話
です。そもそも発作的にかけおちした2人が、どうして、どれだけ愛し合うようになったのか、アダルトビデ
オの仕事をはじめたのはなぜなのかという所が省略されていて、別れていく過程のみを激しい言葉のやりとり
で芝居化しているので、感情移入しないとついていけないです。他の男と仕事をするようになったことの他に、
女が実家に残された教師の妻子を援助を頼んでいたこと、女がマグロでセックスに何も求めようとしないこと
など、我慢できなくなっていく過程がそれほど単純ではありません。
劇としては動きが少なく、立ち止まったり座ったりしての会話が多く、冷静に見てしまうと眠いかもしれません。
女を演じた松本倫子は、醒めた表情がなかなか良いです。でも次は明るい役で見たいです。教師を演じたのが
演出もしていた蓮見正幸ですが、とぼけた表情で感情の起伏を出したり殺したりうまかったと思います。
他の役者は味のある場面が少なかったので、叫びがめだちました。
5月17日 石山海と劇団火扉「ハルと拳銃」 千本桜ホール 1500円
退廃物3部作の1作目らしいです。1月の公演「あじさい太郎」のコント物とは大きく異なり、1人の男の数
日間を2時間で描いたものです。卒業しても仕事をせず、昔の彼女に金をせびって暮らしている若い男が、あ
る日起きると拳銃が枕元に置いてあり、ハルという女の子がベッドで寝ている。男は拳銃があれば何でもでき
ると思い込みハルと銀行強盗や殺し屋なんかで大金を掴む算段をする。アパートの管理人とか昔の彼女とかが
部屋に来るのだがハルには全く気が付かない。男はハルとロシアンルーレットをするがハルは銃に何も恐怖を
示さない。昔の彼女はすでに他の男と結婚しており、夫が訪ねてきて別れるように言うが、男は判断力がなく
、無気力状態であるので話合いにならず、管理人の仲裁で一旦はおさまる。その後彼女名義で強姦に対する慰
謝料請求の裁判をおこされ、弁護士との打ち合わせで拳銃やハルの話を持ち出してしまうが、部屋に帰ると拳
銃もハルも、存在の痕跡さえ無いことに愕然とするって話です。
コーラの飲みかたとか、敗れたTシャツとかだるくていい味を出してました。見た目の作り方は演劇ではなく
映画の作りだったように思います。スローな進みかたでだるさを強調していたけど、観客には少々辛かったで
す。元彼女の夫と弁護士の演技がぎこちなくて雰囲気を壊していたのがちょっと残念です。
5月24日 DENWA*MARK「バブバブバブ」 千本桜ホール 2200円
いわゆる赤ちゃんプレイです。人に3才以下の以下の記憶がほとんど無いのは、3才になると無くなってし
まう特別な人格があるからだという奇抜な設定で作られた話です。保育所で出会った自立心さかんな3ヵ月児
八兵衛と1才にして老成な賢子は、親から虐待されている力男、犬を兄だと思っている翔を励まし正しい赤ち
ゃんの生き方を教えて行きます。うまくいったり失敗したり、自分の力の無さを嘆いたりしながら成長してゆ
く話です。
コメディなんだけど、赤ちゃんのすることや親の行動とかポイントが押さえてあって、作者なかなか鋭いです。
物を手に掴むことはできるんだけど、離すことができなくて野菜ぬいぐるみと苦戦する八兵衛とか面白かった。
4人の赤ちゃんの父母を同じ役者が衣装、役風を変え演じ分けるというのも、見ている時には気がつかなかっ
たくらいに良くできていました。特に力男の母、離婚して子供を虐待するのですが、悲しいとせりふが演歌、
うれしいとポップスになってしまうのが良かったです。ステージの大きさや客層を考えて、本当にうまく作っ
てあったと思います。私には少し良心的すぎるけど。
5月30日 流山児事務所「ザ・寺山」 本多劇場 4300円
送られてきたチラシでどうしても見たくなり当日券でみました。砂山があり水があり、本物サイズのレールが
ひいてあり、全体的にきれいなステージでした。4年前に寺山没後10年ということで書かれて岸田賞を取っ
た作品らしいですが、その初演は見てません。シアターガイドにあった初演写真と比べるとたぶんほとんど別
物の劇となっていたと思います。
町を出て行こうとする青年と、寺山ワールドを思わせる登場人物の話だと書いてあるんだけど、寺山ワールド
を思わせる人物ってのが何だかわからんですよね。明確なストーリーがあるわけではなく、登場人物がこの町
は嫌だとか、この町はいいとかいいながらシモネタ系のやりとりをしてゆく展開です。役者で劇を選ばないよ
うに心がけているのですが、原サチコだけはできるだけ見逃したくないので見てます。今回の原サチコ、明る
い娼婦役でそれなりに良かったけど、こんな明るい劇になるとは思ってなかったんじゃないかな。寺山修司役
が塩野谷だったんだけど、どう考えてもスマートな作りすぎると思う。寺山ものを期待していった人は、拍子
抜けでしょう。開きなおって変な音楽劇だと思えばかなり楽しめたと思えます。
5月31日 T.P.T.「イサドラ」 ベニサンピット 8000円
麻美れい主演ということでオバサン客が多かったです。20世紀はじめに活躍したダンサー、イサドラ・ダン
カンとロシア詩人とのパリでの結婚生活を描いた話で、原題が「WHEN SHE DANCED」、1988年ロンドン初演、
1991年にヒットしたと書いてあります。イザドラはダンスで得た名声と収益をもとに学校をつくる事業を
おこなっていたのですが、資金的に苦しくなり、言葉の通じないロシア人の夫は役に立たないのでイタリア副
領事を夕食に招いて援助を取り付けようとするのですが、副領事と思って招いた男がただの事務官だったこと
でドタバタな結幕となります。ストーリーは単純ですが、演劇を見慣れた観客を十分に楽しませる内容です。
ダンサーの話、麻美れい、相手役のロシア人ダンサーと期待させるんですが、ダンスシーンはほとん
どありません。ロシア詩人のロシア語、メイドのフランス語、イタリア副領事?のイタリア語、アメリカ人イ
サドラの英語(ここでは日本語)が大バトルとなります。言葉の壁、詩とダンスという芸術の形態の違い。
娯楽的要素の多いステージですが、創作活動のなんたるかを考えさせるテーマも含まれていて、日本の作家に
はない力を感じます。
最前列左側で見たのですが、近くでみると麻美れい、濃いです。でもこれが主役女優の力なんだと見せつけら
れます。8000円は小さい劇場としては高いですが、あの1ステージで100万円程度しか入らないかと思うと気の
毒にも思えます。
6月1日 BLUES TAXI「墜ちた男」 千本桜ホール 2000円
旗揚げ公演だそうですが、年はいってます。千本桜でも日曜の昼公演は結構混むのですが、立ち見が出てたので
100人以上入ってたと思います。小さな探偵事務所に、飛び降り自殺事件の再調査が依頼され、探偵と助手と
元同僚の刑事が謎を解いていく話です。コメディタッチで楽しいのですが、終盤の犯人と探偵のやりとり、依頼
人である女性と探偵のやりとりが重かったです。動機も同性愛の嫉妬という、新鮮さに欠けるものでした。でも
場面場面のギャグとかかなり面白かったし、探偵助手の女の子のキャラクタもインパクトあってよかったです。
主役をやってた明石知也ってひっとすると有名なんでしょうか。しかし探偵物ってどうしても劇のスタイルが似
てしまうのでまたかって気になりやすいです。
6月7日 RUP「河童」 シアタートップス 3800円
予想していたよりも面白かったです。かっぱの夫婦が新婚旅行で砂漠を旅しているが水がなくなり倒れる。眠り
から覚め砂漠の旅が夢だったと悟るテレビ作家orディレクタの男が主人公です。男は自分の手に水掻きが見え、
かっぱではないかと思いはじめる。そしてかっぱ男の起源として太平洋戦争中の人造人間研究に話がさかのぼっ
てゆく。
新感線の高田聖子を中心とするプロデュース公演で、高田がかっぱをやりたいと言ったので、かっぱ顔の三宅
弘城を誘ってつくられたと説明されていますが、三宅弘城の芝居が最大の見物でした。ナイロンの公演でもこれ
だけ面白い芝居をしたことは無いでしょう。特に後半の人造人間55号がはまりきっていました。関西のコテコ
テコメディと、東京のナンセンスのちょうど中間ぐらいにまとめられていて、特にスゴイってことはないけど
役者もその取り合わせもストーリーも十分に楽しめる内容でした。
客席に小太りの怪しい男がいるとおもったら深沢敦でした。
6月8日 THEザ座「For My Sister」 千本桜ホール 2000円
1人暮らしのOLのところに、今まで知らなかった母親の違う妹がおしかけてきます。妹の自由な生き方や人柄
に触れて、ちゃんとしてるけど閉鎖的な生き方をしてきた姉がだんだんと人のことを考えるようになるのです
が、最後妹は病気で死んでしまう話です。途中寝てたので話の肝心な所は不明です。ちゃんとみてないので大き
なことは言えないんだけど、劇として観客をひきこむようなつくりではなくて、観客側ががんばってついていか
ないとならない、薄めの劇だったです。姉と妹の会話が多いんだけど、終盤まではお互い肝心なことを言いかけ
てやめる。作者や役者は結末を知っているから伏線味をだしたつもりだろうけど、観客にはもどかしく、話をわ
かりにくくしていたと思う。
6月14日 力の加減「Specialist」 千本桜ホール 2200円
劇団名も変だけど、公演の出し物も変でした。あるサラリーマン家族がいて、妻は夕食をつくらずトンカチでま
な板をたたいているし、子供は藤山寛美のまねしてます。血だらけの男がころがりこんできて夫を医者だと言っ
て助けをもとめます。夫は自分は医者では無いと言ってるうちに刑事がやってきて夫を逮捕連行していってしま
います。場面はかわって病院となり、夫は医者、刑事は部長医師となり、実習医としてねずみがやってきて毒団
子を食べて死んでしまいます。あとジャージ姿のドラエモンがあらわれ夫を助けるというのですが、ポケットか
ら出てくるのは殺人光線銃のみで全然やくにたちません。というふうに目茶苦茶なストーリーで、ギャグも力抜
けまくりのものすごい劇でした。基本的にこういう脱力お笑いものもすきなんですけど、長い目でみたときこん
な劇ばかりになったら嫌だなと思うのでした。
劇団の情報はこちら
6月20日 時夜夢「音のない部屋」 千本桜ホール 600円
武蔵工業大学・東横短大の劇団です。ナンセンスSFものです。怪しい博士が作った”太陽の瞳”というもので、
ある人は至福を得、ある人は恐怖に陥るのですが、壁に作られた目だけがあって壁の裏側で得られる効果がなん
なのかは観客にはわかりません。前半は博士の助手を保護した刑事たちが”太陽の瞳”にとらわれていく話、後
半は博士の息子が博士の死後”太陽の瞳”を受け継ぎ、その友人の高校生がはまってゆく話です。ストーリーア
イデアはいいんだけど、展開を速くしたためにディテールを犠牲にしすぎたというか、ただ流れていく感じです。
でも最近みた劇の中では一番退屈に感じるところがない劇でした。中間にバルタン星人と日本経済についての討
論会という毛色の違った話が入っていてたのも構成として乱暴だけど、気分がリフレッシュされて良かったです。
役と演技に関しては怪しい博士が、そんなに出番は多くないけど良かったです。
6月22日 ナイロン100℃「インスタント・ポルノグラフティ」 北沢タウンホール 3200円
開演前に本日の上演時間は2時間20分といわれ、また長いと多少気が重くなったのですが、ナイロンはひさし
ぶりだったこともあり、新鮮なギャグも多く、あっという間でした。幾何的な道具類や動きなど基本路線は同じ
ですが、内容は下ネタに徹していて映画だったらR指定でしょう。再婚した大学教授の家族と、信用金庫の課長
の家族と、援助交際をしている女子高生と、レディースコミック作家がおもな登場人物ですが、人物が多いわり
にはパラレルに話がすすんでいって次第に関係が明らかになっていくので、わかりやすいし、物語としての濃度
も高かったです。教授としゃぶしゃぶ親父(信用金庫)、役としてはかなり年に見えたけど、私とあんまりかわ
りないのね。ギャグではペニスの着ぐるみが不気味で良かったです。あと階段の足音も古典的ではあるけど。
公演本数の多さと、内容の高さ、さらにチラシのデザインとか驚異的なアウトプットですよね。血色もよさそう
だし、しばらくケラの時代になるかもしれない。
6月28日 瓜南瓜企画「うめよ_ふやせよ_ちにみちよ」 千本桜ホール 2000円
70分くらいの短めの劇でした。産婦人科の病室におこった少し恐い話です。32才で未婚でアル中気味の妊婦と、
初出産なのに妙に落ち着いている20代の妊婦と、子宮外妊娠で手術をした18才の少女の病室に、変な患者が
入院してきて、どうもこれが幽霊らしいのです。そして20代の妊婦は幽霊に祟られ死んでしまいますが、18
才の少女が超能力で幽霊をあの世に返し落着します。ストーリーは中途半端だったように思うけど、場面場面の
会話(せりふ)とかかなり面白かったです。女性キャストがみんな役にめりはりがあって良かったです。女医の
石川先生が、自然な演技でよかったです。
音楽もかなりいいセンスだったです。ただ劇中で「タイガーマスクのエンディングの唄」を合唱するというのは
、20代半ば以上にしかわからないぞ。
6月29日 燐光群「皮革製造所殺人事件」 シアタートラム 3200円
三軒茶屋のキャロトタワーにできた劇場ではじめていきました。市電のベンチ風の座席は少し硬いです。劇は小
泉八雲のシリーズで、シンシナティで新聞記者になったときの話なので時代的には一番古いものになります。
ドイツ人街の皮革製作所で人が焼き殺される事件があり、ハーンが取材記事を書いた後行方不明となり、新聞社
の編集長たちが殺人の容疑者たちを訪ねて事件の真相とハーンの行方をさがします。ハーンの書いた記事が事件
よりも前に書かれたもので、殺されたのがハーンではないかという疑いがおこります。
どうも八雲のシリーズは現実感の無い話なので、あまり好きではないです。焼却炉とか、皮とか道具類は凝った
つくりで見ごたえありましたが、演技面では特に見るものがなかったように思えます。特に”禁酒十字軍”の行
動はわからないです。禁酒法が建前とちがって、密造による闇経済の温床であったというあたりは米国映画でも
扱われなくなったテーマであるので、とりあげてみるのはおもしろいかもしれないけど日本人にとっては関係薄
いかな。燐光群の劇で登場人物がみんな横文字というのは初めてでしょうか。
北村想の名古屋の演劇事情とか、かなり面白かったんですが、発言が公になるとまずいと思うので割愛します。
北村想ってわりとよくトークに呼ばれることが多いけど、やっぱり話が面白いです。
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