2001年の演劇

2001/04/01


21世紀の幕開けも・・・・。

01月06日 「セーラームーン -最強の敵ダークカインの謎-」 サンシャイン劇場 6000円

昨年の正月でラストにするつもりだったのですが、出演する山川法子さんの書き込みがあ ったので、今年もこれでスタートになってしまいました。今回は、ラストドラクルシリー ズの中盤ということで敵方の体制が複雑でちょっと難しかったかもしれません。大人が演 じるシーンは観客の子供たちが賑やかで、子役がでてくると静かになって、笑い声も出た りしてます。歌は大物出演者が無いこともあり、特に聞かせ所というのはありませんが、 小坂明子の曲は女性中心の作品では良い作りだと思います。ダンスは年々レベル高くなり ますね。子役の人達もプロ意識なんでしょうね。今年のお約束でパラパラもあり。 山川さん、セーラー服の役でなくて、ちょっと残念(^.^;)。

01月06日 ムジカフォンテ「森は生きている」 芸術劇場小2 2500円

林光作曲によるオペラです。内容的には童話ですが、ソロもコーラスも聞きごたえある良 曲がそろっています。アマチュアの方々だと思うので、それなりではありますが芸術性は 十分あると思います。子供もがんばっています。午前とかなり違う雰囲気で、落ち着きを 取り戻しました。

01/06 夕方から映画「ダンサー・イン・ダーク」を見る。池袋なのに満員。遺伝病で失明 しそうな女性が、同じ病気の息子のために手術費用を守ろうとする話。なぜか彼女はミュ ージカル好き。。。 結論からいうと私としてはあまり満足できず。演技らしく作らずドキ ュメンタリー風でリアリティはあるんだけれど、劇や映画に対する愛情が感じられない。 それが狙いかもしれないけど、特に調和的結末が多いミュージカルの価値への反論かもし れないけど、ビョークのなりきり以外は、本もシーンも完成度高いとは思えない。インデ ィーズの良品という扱いなら納得。

01月13日 雑貨団「水深」 アルテパティオ 1800円

はじめて見ました。美術にこだわって、少し抽象的なことをやる団体のようです。遺伝 研究所の前で倒れていたいた男が、かつて殺人鬼と恐れられていた男と同じ遺伝子を持つ ことがわかり、研究員たちは研究材料の出現に狂喜する。男は殺人を続けながらも捕まら ず、ある日、不思議な造形を持った少女に出会い、殺意以外の感情があることを知る。
あまりストーリーはありませんが、衣装や、美術は見るものがありました。ばらまかれた 鈴も独特の音でいいかも。

雑貨団

01月13日 「レ・ミゼラブル」 帝国劇場 13500円

鹿賀、村井、津田、岡、岩崎、島田、堀内などのキャストでした。あんまりキャストには こだわらないのですが、島田歌穂のエポニーヌは初めて見て、今回の観劇の目的はほぼ達 成できたといえます。マリウスとコゼットの出会いを門柱から見守るエポニーヌが一番泣 けました。もう一回tohkoのを見にいかねばならんかな。

01月14日 Men'sWork「こもれびの中で/弓削くん、危機一髪」 劇小劇場 3000円

1年ぶりに見ました。昨年が男8人と女2だったのが、今年は男2人と女10人となってスタイ ルは同じだけど、雰囲気はかなり違ってました。観客も昨年は演劇好きの年配者がいたよ うですが。今年は若い人がほとんどでした。こもれびの中では、高校のバスケ部で怪我を したキャプテンのかわりに出場するはずだった選手が拒否したため、キャプテンは出場し 再起不能となり、部員達はバラバラな気持ちで卒業し、数年後OG会で集まることになった のだが・・・という話。弓削くん危機一髪は、彼は防衛軍の隊員で自覚症状のある多重人 格。なぜか番長星の番長選びにまきこまれてゆく。
ほぼ1年かけて作って来たというだけあって、みんな若いのに大した演技。せりふの厳しさ は、つかに匹敵とは言えないけど、向こうは最近女優でコケ気味なので、これだけやって くれると嬉しくなります。

01月14日 キリスト教伝導劇団「黄金の国」 新生館 1500円

遠藤周作による、江戸時代の長崎でのキリシタン弾圧を扱った作品です。元キリシタンの 奉行井上は厳しい弾圧をおこなったが、キリスト教が悪いのではなく、今の日本に合わな いと考えたので、多少手荒なことをしても信者にころぶ(宗旨を捨てる)よう仕向けた。最 後のバテレン司祭を奉行所の役人の一人が匿っていることがわかり、彼に踏み絵をさせた が彼は踏まず、拷問でも司祭の居場所も喋らない。彼の娘や、村の民に司祭の居場所を明 かせば、大目に見ると甘い誘いをかける・・・。
かなり過激でしたが、見ごたえある内容でした。一方的にキリスト教良しというわけでは なく、苦難で神が身を助けてくれなくても、信仰の本当の意味がわかる機会がおのおのあ り得ることを示していたように感じます。

01/19 帰りが遅かったついでにNHK BSで「父の詫び状」(1995年)を見る。杉浦直樹演じる 父親は家庭ではとても厳しく、特に元芸者で未婚のまま自分を生み育てた母親には厳しく 、茶飲み友達のじいさんを追い返したり、酒の席で踊ったことを強く叱る。妻や子供も父 のがんこさにはあきれているのだが。。。
男と女、母と子、愛していると接し方に甘えが生じ、自分が正しいと考えがち。いま一度 身近な人との関係をみなおすべきなんだろうね。一人暮らしはいかんかも。

01月20日「母たちの国へ」 新国立小 5250円

業界で評価が高い松田正隆ですが、劇場で見るのは2作品目です。長崎の郊外の家には、 独身で教員の姉、ほとんど外出しない主婦業の妹、妹の夫が住んでおり、さらに借金取 りに追われている夫の兄がいそうろうしている。姉が結婚予定の男を連れて来たが、し っかり者の妹には、姉の落着かない態度が気になる・・・。
たしかに品質高い家族劇。妹が先に結婚して、姉の縁談がまとまるかどうかという状況 はドラマチックかもしれない。私としては、こういう日常劇をたくさん見る気力は続か ないと思うが、たまに見ると何を劇にするか深く考えられた作家のアイデアに感服。 でも、ちょっとラストがありがちかな。ケーキ買って食べてしまいました。血糖高い のに。。。

01月20日 月陰之城「遥かなる君に」 アートボックス 1000円

はじめてみました。時間間違えて2本立てのうち1本しか見れませんでした。幼なじみの カップルが最近うまくいかない。そんな時、男はパジャマ姿の女の子に会い意気投合。 しかし彼女は。。。
すごく正直に作られた青春ラブストーリーなんだけど、私のような心のよごれた人間が みると、おっこれはお笑いに流れそうだ、とか不純な見方をしてしまって申し訳ない。 とにかくたくさんオリジナル作品を作ることに取り組んでいるところみたいなので、そ のうちいいのに当たるかもね。

01月21日 富良野塾「今日、悲別で」 アートスフィア 6000円

元TVドラマ作品で、1990年に舞台初演。悲別炭坑の閉鎖が決まった夜、組合長がタイム カプセルの存在を息子に告げ自殺した。10年後、もの好きな記者を連れたタイムカプセ ル捜索隊が廃坑に入るが・・・。
表現方法はかなり古さを感じる。しかし、倉本聰の本はどこか別格。泣けるわけでは無 いけど、あまりに衝撃的。東京で熱心に演劇やってる所って、どこか有名になってやろ うという野心(悪いというわけではない)が感じられるのだが、ここの役者は何か目的 が違っているような気がする。

01月21日 Uni S-Ex「Kidnap Peter」 相鉄本多劇場 2000円

この劇団2回目のようです。東京新島に作られたアトラクションNeverland。その工事開 始時期にあわせて子供の誘拐事件が連続発生。誘拐犯人は少年と妖精らしい。Neverland をプロデュースした男の妹は大人だが、多重人格で子供の人格にかなり支配されている。 彼女の元にも「ウェンディにしてあげる」といって、そうピーターパンが現れた。
ピーターパンの話が入っているけど、イベント会社のビジネスの裏や、多重人格が起こ すかもしれない事など意外に厳しい内容です。よく考えてあるという意味では、見ごた えありました。多重人格の切り替わり演技もなかなか。

Uni S-Ex

01月27日 現代制作舎「二丁目のティンカーベル」 サンモール 3800円

役者は初めて見る顔ばかりでした。砂男シリーズの完結編とのことですが、前作は見て いません。新宿2丁目にあるゴルゴダは、昼はギャンブルのノミ屋を、夜は美青年が ××してくれる店である。昼の店長をしている男は昆虫が好きで、特に蝶を追いかけ る幻を見るのだが、そこでは彼は砂男と呼ばれている。ゴキブリとやくざの相手をす る現実に直面しながらも彼が追い求めるものは。。。
3時間以上あって、それほど内容があるわけでもないのに、あまり長く感じない不思議 な作品でした。動きのある若い役者も、味のある役を演じたベテランも、役者はかなり 熱心に取り組んでいるのはわかるのですが、本が冷静に考えるほどストーリーも見所と いえるものも無いように思えます。「きれいな水には魚は住まない」的な人間関係を描 いたような気もしますが、あまり効果的でないエピソードを混ぜすぎなのでは。

01月27日 オリガト・プラスティコ「カフカズ・ディック」 本多劇場 4500円

広岡由里子とケラによる新企画の第1回公演だそうです。公演中なので内容は割愛。 NYLONの渋めの作品って好きになれないのだけれど、これはかなり気に入りました。後々 まで残ってゆくかもしれない。文学に関する語り文句が、こんなのありなのと思える程 うまくできていると思います。笑いを期待していった人にはショックかも。

01月28日 いきばた「スターレット」 千本桜ホール 1800円

旗揚げ公演だそうです。新婚夫婦が新居を立てたので友人たちがお祝いに集まった。片 づけ中の荷物の中には、むちやローソクもあり友人たちは大盛りあがり。しかし近所に いたので連れてこられた、元同級生の男だけは様子がおかしい。TVでは近所で発砲事 件があり、犯人は逃走中だと言っている。。。
かなりぎこちないけれど、いくつかの場面はそこそこ良くできていたと思います。でも 新婚家庭でのパーティや、女にだまされた同級生、刑事ごっこなど、TVドラマをネタ にした切り貼りのような感じがして、演劇公演として何をやりたいのかがわかりません でした。まずはスタイルも重要ですが、見る人に伝わるものがなければ、演劇やりたい ねという気持ちも報われないと思うのですが。

01月28日 フラジャイル「BRIDGE」 アゴラ劇場 2700円

評判の良い劇団で、初めて見ました。夜の歩道橋の上でおこる、こんな事あるのかとい った出来事と人々の出会いです。若い男女が仲良さそうに車の流れを眺めている。しか し女は手錠で柵に繋がれており、誘拐されて要求を出されているところであった。たま に通る人々も言葉を交わしたりするのだが、生きる筋道が交わっていなければ干渉しあ うこともない。されど、重傷を負った逃亡者と誘拐犯が盗んだ携帯電話の持ち主が、こ の誘拐に関係してくる。誘拐事件の原因となった死刑囚に関わりあう人とも。。。
歩道橋のセットでおどろき。緻密な演技でおどろき。人々がもっている不安感を増幅す るような人物像におどろき。観念的で難しい内容ではあるけど、スリルもあっておもし ろい。

FRAGILE

02月03日 A・G・Eカンパニー「RAVE」 アールヴィゴ 2300円

はじめて見ました。パラレルワールドの境界を守る管理人と、世界を壊そうとする魔女 の戦いの物語でした。元気があってよろしいですが、そこそこいい歳した人たちですの で、設定考証などもう少しやってくれるとうれしいです。ピカッと光っていきなり別世 界というだけでは、ちょっと苦しい。パラレルワールドとかって古典SFなどで上手い のが多くて、実際の科学の方があんまり進歩してないから新作は難しいかもね。

02月03日 TTCドラマスクール「キューポラのある街」 深川江戸資料館 1800円

早船ちよ作の連載小説で、吉永小百合主演で映画にもなりました。昭和30年代の川口市 で、職人気質の父親の家庭に育った、ジュンとタカユキの成長を描いた長編ですが、映 画や劇では、ジュンの進学問題と朝鮮人同級生について扱っています。昭和30年代生ま れのオジンである私には、たまらない古き良き時代でありますが、20代の役者さん達、 ほんとよくやってます。多くの人が制約のある暮らしをしながら、時代の変化にのって ゆく人、あらがう人が居る。そして、新しい考え方、社会主義や女性の社会参加が広ま り、若者はじっとしていられない。現代において、精神的荒廃がなぜ叫ばれるかが少し わかるような舞台です。
深川方面って行ったことなかったけど、大江戸線を使うとけっこう楽にいけますね。ベ ニサン行くときも使ってみようかな。

02月04日 「パウロ」 博品館 6500円

若き日、ユダヤ教エリートとしてキリスト教を弾圧したが、後にキリスト教の布教に努 めたパウロと彼を改心させた女性の物語を、歌重視で作ったミュージカルです。第1幕 は出だし以外は軽快で、音楽もジャズテイストやダンス系など無茶とも思える取り入れ かたですが、山形ユキオの出番のあたりから、ぐっとシャープになってきます。第2幕 は、愛と苦悩のかなり濃い世界です。国産ミュージカルの初演としては、かなりの出来 だと思います。吉野圭吾も再演を誓ってましたが、ハードな歌で見せるミュージカルと してはいいとこいくかも。「ジーザス」とは音楽的にかなり違う。

02月07日 「レ・ミゼラブル」 帝国劇場 13500円

滝田、村井、戸井、岡、鈴木ほ、本田、tohkoなどのキャストでした。同じものを何度 も見る趣味はないのですが、ちょっとお気に入りシンガーのtohkoが演じるコゼットを 見てみようと、今年2回目です。音楽的には、ほんと良くできたミュージカルだと思っ ております。
プラハのCD買ってしまいましたが、チェコ語の硬い響きがけっこういいかも。エポニ ーヌはちょっと野太い感じが違和感ありましたけど。

02月07日 NLT「アウト・オブ・オーダー」 みゆき館劇場 3500円

レイ・クーニー作のドタバタ劇の日本初演です。ホテルに愛人と泊まろうとした男が、 窓に挟まって死んでいる男を見つける。スキャンダルを恐れた男は友人を呼んで助け を求めるが、ボーイに見つかったりして、どんどん大事になってゆく。。。
ふつうに見て楽しむだけでもいいと思うのですが、演出(グレック・デール)の説明に あるように、笑える劇を理論的に演出してあるということがわかりやすくて、アトリ エ公演ということになってるのがうなずけます。大統領の名前とかアレンジ入れすぎ かという気もしますが、目の前の事しか見ない人々の愚かさをいかに表現するかが、 とても興味深く見られました。タイトルも粋でいい。

02月10日 にんじんボーン「小津のまほうつかい」 三鷹芸術センター 3000円

はじめて見ました。昭和30年前後、松竹撮影所の近くの下宿には、俳優、脚本家、 助監督らが住み、溜まり場にもなっていた。来週もあるので内容はその後で。 小津安次郎とOZをひっかけたタイトルだろうけど、まほうつかいは全然関係ないかも。

02月10日 「pain」 スペース107 4500円

チラシに急遽上演決定と書いてあり、怪しそうなのでいってみました。最近はTVの 作品が多い秦健日子の作で、山崎銀之丞主演です。人気グラビアカメラマンの東出 は「月刊 小娘」みたいな仕事はいやなのだが、企画写真集「pain」の製作が進まず、 日々流される生活を送っていた。ある日1人の女が押しかけてきて住み着き、彼女が とった老母の写真が、東出の作品として話題を集める。歯車がかわる。
つか作品のような感情むき出しの迫力はないのですが、静かな応酬として人と人の 信念がぶつかる様はみどころある作りになっていたと思います。つかのコピーみた いな内容でなくてよかった。でも、あの編集者の動機は4500円の劇の本としては認 めたくないかも。

オフィスブルー

02月11日 !OJO!「ネガポジティブ」 駅前劇場 2500円

1996年に1回見ただけで、ずっと見てなかったのですが、気まぐれで行ってみました。 現代日本で戦争が起こったときに、最前線はどんなだかという、シニカルな戦争物で す。コンビニ流のロジスティクスがおこなわれ、弾薬や食料がカートで配達されてく る。ベテラン兵は手柄をあげようと自分勝手。補充兵は茶髪の兄ちゃん。いわれてみ れば確かにそうなりそうだから恐いけど、今の日本人には何をどうすべきかも分から ない所がさらに恐い。短めで、テンポが良くて、ギャグもエグイという、現代演劇に 求められているスタイルを良く具現化したと言えるかもしれない。

!OJO!

02月11日 1mg「ソレハ、8羽ノからすトうさぎト」 西荻WENZ 2000円

よく見ている劇団です。戦前の上海で、日本人の名前を持った少女が貧民街にやって きて、カラスと呼ばれるスリやコソドロをやっている連中と暮らし始めた。メンバー 達ははじめ気を許さなかったが、リーダー格の男と、街の顔である老婆が認めたこと で、とりあえず居場所はできた。一方、謎の物資を日本へ運ぼうとする日本軍潜水艦 もやってきて街は不穏な情勢に。。。
広いスペースに、多数のケーブルと電球を置き、その電球による床照明で始まるとい う、かなり変わった舞台演出でした。ストーリーは小劇場演劇でやるには、スケール が大きくて3〜5時間のTVドラマ位が適してしたかも。年配者が見るには歴史の質感 (重さというとちょっと偏ってしまいます)がもう少し欲しいですが、自由を何よりも 求める若者たちの生き様は、生々しく作られていて面白かったです。

1mg

02月12日 TRASHMASTERS「TRASHMASTERS ON THE FLY」 タイニイアリス 2300円

初めて見ましたが、昨年良かった空間詩人の出演者が出ていました。途中で止めて詰め 直す位、客が入ってました。有名女優が主演する舞台の通し稽古の日、スポンサーが 見に来て金を出すかどうか決めるというので、プロデューサーは、演出にうるさく口を 出し、役者やスタッフを殴る蹴るのおお暴れ。嫌気がさした大女優も帰ると言い出し、 どうなるのか。。。
バックステージものは、けっこうありますが、プロデューサーは弱気っていうパターン が多いので、今回のシチュエーションは目新しさがありました。劇中劇の作り方も新し い工夫がみられます。ドタバタ劇なりに前半がウェルメイドだったのが、後半にかっこ 悪すぎなシーンを入れたのがどうかとは思うのですが、演劇好きが笑える作品として意 欲的だと思います。演劇IQを向上させるとは、うー厳しそう。

2/17 朝から渋谷で、「弟切草/狗神」を見る。角川映画を劇場で見るのは久しぶりだ けど、今は東宝配給なんですね。「弟切草」は幼い頃に別れた実の父の遺産を受け取る ことになった主人公(奥菜恵)が生家を訪ね、異色画家だった父の、絵を描くために行っ た所業を知り、自分の出生に関する過去もわかるという話。かなり気味悪いホラー。 全編がCG処理された画像で好みが別れる作り。奥菜はふつうの人物役では萎縮したよ うに見えるが、いかれた人役はかなりいける。 「狗神」は四国の山奥に住む平家の子孫の一族にまつわる和風神秘もの。一族の女に狗 神守りとして霊能力が代々伝わっているのだが、その血を継いでいる女(天海祐希)は中 年になっても力が現れなかった。しかし村にやってきた若い男(渡部篤郎)と出会ってか ら若返りはじめ、村には不吉なことがおこる。「弟切草」が活動写真とは言い難い画像 だったので、「狗神」はずいぶん見やすい。紹介されてるほど官能でもない。主人公側 に立った進め方なので、村民の恐怖がいまひとつ伝わってこない。アイデア的には昔の 「犬神家の一族」のほうが面白いと思うが、映像だけでも見る価値あり。

02月17日 オクトパスブラザー「証人」 劇小劇場 3000円

予定変更で見たものですが、初めて見る顔ばかりでした。殺人事件の容疑をかけられた 男が弁護士事務所に現れ無実を訴える。彼のアリバイを立証できるのは、妻だけである が、弁護士も妻の証言では証拠能力が無いと危惧する。事務所に現れた妻は中国人で、 裁判官に対する心象作戦を理解できないばかりか、アリバイが偽であるようなことを 匂わせる。そして公判の証言で・・・。
リアリティある裁判物で、誘導が上手い検事に対して、細かく異議申し立てする弁護士 の対決がみどころたっぷりでした。弁護士が話すのを聞く時の女検事の態度やしぐさが とてもうまく作られていてほれぼれしました。中国人妻の演技もすごくて、誰が本当の うそつきなのか、さっぱりわからなくなり、傍聴人や陪審人が正しい理解をすることの 難しさをありありと見せつけました。
とりあえず、犯人が最初にわかる刑事ドラマは放送禁止にしたほうがいいかも。

02月17日 KOKAMI@network「恋愛戯曲」 紀伊国屋ホール 6300円

恋愛の動機について実験的追求をおこなっているけど結論は明示していない。つづき は後日。

02月18日 そとばこまち「友情しごき教室」 本多劇場 4500円

劇団公演は初めてみました。始まったばかりなので内容はあとで。リアリティとばか らしさが同居したテンポのいい劇です。各状況で語られる会話の話術がかなり練り込ま れています。私としてはタイトルが一番お見事って感じです。

02月18日 ダークムーン「Let it be」 千本桜ホール 2000円

たぶん2回目です。Let it beという名の喫茶店に、気の弱い男がアルバイトさせて欲し いと現れた。接客向きでないのだが、マスターは彼を雇うことにした。彼の気の弱さ は、自分で何がやりたいのか分からない悩みからきており、常連のフリーターと営業 ウーマンが喧嘩するのを見て、ますますどう生きてゆけばよいか悩む。そこへ有名漫 画家と若手ロック歌手が客としてやってきた。彼らは自分の夢を職業としていたが、 プロなりの悩みを持っており、生きるか死ぬかに近い深刻さである。はたして気の弱 い男は、何か見つけ出せるのか。。
テーマは良くて、ビートルズを何らかのモチーフに使おうとした狙いはいいけれど、 役者のキャラをそのまま使ったので、作り込み観が低く見えてしまってるかもしれま せん。もう少し出来事に対する意味付けをおこなわないと、役者も何のためにそれを 演じるか悩んでそうにも見えました。

02月23日 BLUEHIPS「カメラ≠万年筆」 千本桜ホール 2000円

1995年にNYLONの若手公演として上演されたケラ作品ですが、そちらは見てないはず です。1985年、大学の映研で800万かけた16mmを撮り始めたが、女優が脱ぐのが嫌だ と言い出しスケジュールが狂いはじめる。監督は冷静に対応策を考えようとするが、 一部の部員はキレて、親が金を出してくれるという代役の女の子を連れてくる。も ちろん平穏には済まず、やけ酒を飲んでいるときにOBの映画監督が、カメラ=万 年筆の話をはじめる・・・。
サイケデリックなカルチャーというものが、何か茶化したような雰囲気を生み出し てしまう所が、NYLONの良いところでもあり、ドラマを破壊してもいる。他の劇団 でやるとどうなるのか、かなり興味はあった。ラフカットの企画などで現代の作演 出家をよく研究しており、まさに昨年ケラといっしょに仕事した堤泰之演出という ことで、ケラ演劇を成立させるための押さえ所がどこなのか明確にわかる作りだっ た。私、個人的にはもうすこし渋い若手作品を上演してくれるほうがうれしいけれ ど、たまには派手なのもいいかな。それにしても混んでる。

02月24日 ソルソンブラ「ヴィオルヌの犯罪」 日仏会館 3500円

実在の殺人事件を題材にした、マルグリット・ヂュラスの対話劇です。バラバラ殺人 の犯人として、被害者のいとこの女性が逮捕された。彼女は殺人は自白したが、動機 や首のありかは、まったくしゃべらない。前半は犯人の夫に対する尋問で、彼女が夫 は関係ないと言っていることに対して夫が彼女は狂っていると弁明する。後半は逮捕 された女性に対する尋問。彼女は非常に多くを語るが・・・。
ここ1、2年にみた劇で一番難しかった。難しいのに加えて、劇場へ急いだために疲 れたせいもあって前半はかなりうとうとしていまい、後半の富樫真の壊れてる人格の 恐ろしさで目が覚めた。彼女が自らを罰したかったと言った言葉は本心だったのか。 翌日見直そうともおもったのだが、もう一回みても理解しえない、作者以外には真の 狙いはわからない作品だという気がして、やめることにした。ともかくフランス現代 劇を少し力を入れて観ようと思う。

02月24日 ミュージカル座「ルルドの奇跡」 芸術劇場中 5000円

1999年に初演されたポップオペラの再演です。劇場が大きいので美術やアンサンブル は、かなり大掛かりになってます。1858年にフランスのルルドで起こった聖母の奇跡 の顛末を、当時の人々の素朴さや、宗教の影響の大きさを清廉なメロディで歌い上げ ています。キリスト教徒でない日本人には、感動といえるほどのインパクトはないか もしれませんが、じんわりと人柄が伝わるような感じです。
ミュージカルってかなり子供向けのもあるんだけど、ミュージカル座は子供向けの要 素をほとんど含まないのに、見て楽しんでいる子供達がたくさんいて、末恐ろしいで す。

02月25日 NIL「陽気な幽霊」 タイニイアリス 2800円

初めて見ました。ノエル・カワードが1941年に書いた本だそうです。作家の夫婦が交 霊会を開いたところ、7年前に肺炎の末に笑い死にした前妻の幽霊があらわれた。 前妻は気のいい女であったが少々過激で、夫を事故死させてあの世でいっしょに暮ら そうとするが・・・。
ウェルメイドコメディとして有名な作品を、現代的にアレンジして、テンポもとても よく面白かったです。幽霊妻が毒のあるジョークの中で語る本音がとても愛しいです。 照明が本業の人がプロデュースしているってのもちょっとかわってる。

02月28日 道学先生「サラサラとぶとぶ」 トップス 3500円

中央線方面に行ったので、新宿でより道です。はじめてみました。UFO研究家グルー プにテレビ取材がやってきた。ディレクターは当然信じておらず、キャプチャーさ れたという女性の実態や、UFO反論に対しての反応など、活動家の非常識さをドキュ メンタリーできれば良いと考えていた。筋書きどおり若手リーダーが次の日曜日に UFOを呼ぶとテレビで宣言してしまい、グループ内もいろんな意見が噴出して・・・。
UFOブームが過ぎ去り、どう活動するか悩んでいる人たちという設定がナイスです。 テレビからみの事件というのは、いまさら新しさを感じませんが、人間関係の面白 さはうまく作られていました。絶望的状況から、ちょっと無理矢理にでもそれなり の調和的結末にもっていく所が、この作家の見所なのかなあ。善良な演劇ファンら しい観客多数。

道学先生

03月03日 First attack「NT2」 千本桜ホール 2000円

はじめてみました。演劇ハマッテなそうな若いネエちゃんの観客が多かったです。 密輸されている新種ドラッグNT2が関係する事件が連続しておこった。一方潰れそうな 孤児院があり、そこのOBが新聞記者をしていると言っているが、実は外国の大使のホ モ愛人をやっている。院長から存続資金を冗談まじりで要求された彼は、その大使が NT2の密輸の黒幕と知り、ドラッグを持ち出し院に隠す。大使たちはNT2を取り戻すた めに、人質をとって・・・。
はじめ短編コントかと思ったのですが、笑えるシリアスものでした。一見ふつうに生 きてるような人に、恥ずかしい過去や裏があり、身近な人に理解してもらってると思 っていたのに、実は蔑まれていたり。けっこう痛い内容でした。第2回公演と書いて あったけど、みんな演技うまかった。

First attack

03月03日 スイセイミュージカル「ONLY ONE」 サンモール 5500円

ときどき見ている劇団です。初の劇団員だけによる公演とのことです。でも四季や音 楽座に在籍していた人もいてベテランといえばベテランです。高校教師の夫婦が元は 劇団の稽古場だったという家を買い、演劇部の中退者を集めてミュージカルコンテス トに出ることにした。なかなか作品つくりは進まないが、先生は何かを成し遂げるこ との大切さを説き励ます。そんな時、どちらかというとおとなしいはずの奥さんが突 然、舞台に立ちたいと言い出し別人のようになってしまう・・・。
いわゆるミュージカル嫌いな人が、嫌いだというタイプの、日本人の生活に違和感た っぷりの内容です。ダンスもいかにもミュージカルという。でも、商業ミュージカル だと、まずスタイルから入ってしまうのが、この作品ではストーリーにふさわしい歌 やダンスを取り入れてゆき、後でそれで生きてくるような、とても厚みのあるつくり になってます。泣ける感動作ってわけじゃないけど、大満足。

スイセイミュージカル

03月04日 東演「どん底」 世田谷パブリック 5250円

東演パラータはよくいくんだけど、劇団公演は初めてみました。ゴーリキーの古典を 1998年にロシアの演出家ベリャコーヴィッチによって大胆な構成で上演したものの再 演です。安宿に暮らす人々の絶望的な心情をせりふの質で見せる文学的な内容のはず ですが、この公演だと、辛辣は辛辣なのですが、大きな動きが入っているため語りが 離散的で、ウエルメイドからはかけ離れたものになっています。一つの演劇表現とし ては、かなりすごいと思いますが、正直なところあまり楽しめませんでした。コンテ ンポラリーダンスとか好きな人にはビジュアルの見所ありだと思います。

東演

03月07日 51「リベンジ」 千本桜ホール 700円

はじめてみました。会社で成績の悪さからクビと言われたおとこが、彼女からも見放 されて、ネクタイで首を絞めて自殺しようとしたところに、作業員風の男があらわれ 3つの願いを叶えてやるという。彼は怪しみながらも仕事がしたいというと、勤めて いた会社の会長が急死し、後継者に隠し子である彼を指名しているという。彼女も戻 ってきて、ハッピーになるのだが。。。
不運な男の駄目駄目ぶりばかりで、どこがリベンジになるのか気になったのですが、 そういう結末かー。刺されるのではなく、絞め殺されちゃうってところがうまいかも。 演技はうまいとは言い難いけど、急展開なストーリーをオーバーアクション気味にや ってるので、テイストはあっていた。

03月10日 宝塚花組「ルートヴィッヒ2世」 東京宝塚劇場 3500円

新劇場を1度見ておこうといってみました。ルートヴッヒ2世はバイエルンの狂王と して有名だった人の話。理想主義者で、現実の政治や、自分の結婚までも受け入れ られなくなってゆく。本当はもっと渋く作りたかったようにも見えるが、宝塚なの で華やかさを入れ、ちょっとアンバランス。婚約者の姉のエリザベートが出てくる のはもっともとしても、どうして空想でマリーアントワネットまで出てきてしまう んだ???。アジアンサンライズはアジア風ダンス。2階の後ろからでは群舞の迫 力がいまいち味わいつらい。出来たてなので場内きれい。ロビーが1〜4階になり 休憩時間の混雑が緩和されたみたい。

銀座方面にいったついでに、小沢真珠の映画「女帝」を見る。母親と家だったスナ ックを失った娘が、政治家や土建屋の上に立つ力を得るためにホステスのトップを 目指す物語。多岐川裕美が出てくる以外はとてもチープな映画なんだけど、何個所 かいい所がある。いちばん気に入りは、高級クラブに転職し、ミナミの妖怪と呼ば れる大物相手に、生い立ちを語るところ。高級クラブに似合わない話題を敢えて語 り、同僚ホステスをすべて敵にまわしても、やり遂げようとする意志。重たい場面 を、泣いたり、暴れたりしないで、切り開こうとする姿が「永遠の1/2」もよかった けど、これもなかなか。映画丸ごとでは駄作かもしれんけど。

03月10日 演戯舎「日夜子」 エロウス 1800円

はじめてみました。水商売帰りの日夜子が友達の部屋に来てみると居ない。3人の 男が彼女をつけてきたようである。課長さんと呼ばれる40男は悪い人ではないのだ が、しつこいタイプ。帰らせてもなかなか帰らない。次に今日が30才の誕生日だと いう逞しい男。日夜子もちょっと気に入り、プレゼントにキス。最後に何もかも疲 れて、自殺しようとしている男。
3人の男が何者なのかということも後にわかって、この物語の意味が見えてくるの だが、ほぼ日夜子という名の女性の1人芝居に近いつくり。みどころはやはり 日夜子の表情。演じたのは野田歩という人で、初めてみたが、いい味出してる。 満足のゆくものだったが、彼女は大柄で、精神的にも強そうなキャラだが、違う タイプの女優でやってもおもしろそう。

演戯舎

03月11日 PA-lium「小粋なブーメランのつかいかた...」 千本桜ホール 1500円

団体ははじめて見るような気がしますが、よく千本桜でみる連中です。ブーメラン 産業が名物の亜掘村とかいうところでおこる事件や、村長一家の変なコント集です。 客席はかなり爆笑だったけど、常連がお約束に、それ通りだったり、違ったりで笑 っていたところもかなりあると思います。でも出てくるだけで笑ってもらえるよう になるのは大変なことだ。関係ない私としては本当に笑えたの5個所くらいかな。 女性キャスト3人も健闘。

音響の人のページ

03月17日 俳協研究所「兄帰る」 TACCS1179 2000円

昨年の岸田賞をとった作品で作者は永井愛です。養成所の卒業公演とのことです。 16年間行方不明だった男が、ホームレスの状態で弟の家にやってきた。彼は横領 事件をおこし、両親が家を売って賠償した経緯があるので、姉などは絶対に許し てはいけないというのだが、再就職できるまで弟が面倒を見ることになる。
もしもそういうことが起こったら、その後どうなるか、お約束的展開ではありま すが、登場人物の性格や確執の描きかたが見事。特に隠し事を黙っていれない、 正論お化けとまで言われてしまう弟の妻が、非常に重要な役割を果たす。二兎社 の公演は見ていませんが、今回のほど激しくは作ってなかったのではと思います。 40前後の役を20代前半の役者が演じる、若過ぎ感はありますが、また見直そうと いう気がおこらないだけの満足。

俳協

03月17日 ノーサイド「聞かせてよ、ここにいるから」 タイニイアリス 2300円

はじめてみました。東京から少し離れた海辺のペンションは1年前に主人が死に、 娘と息子が跡を継いでいる。東京で働いているもうひとりの娘や友達たちもやっ てきて、1周忌みたいな集まりがひらかれた。友達たちの多くは東京で働いてい るのだが、上手くいってる人、思い通りでない人様々。昔は良かった仲間であっ たが、ひさしぶりにあつまるとけっこういろいろある。。。
すごく丁寧なつくりで、日常会話がポイントを突いて進まないのと同様に、ワン ステップづつ話が進んでゆきます。確かに普通にある演劇やドラマは、日常より かなり凝縮されて、無駄のない会話で進んでいき、よく考えると不自然でもあり ますが、いざ日常の話の進みかたを劇でやられると、ちょっと辛いなあ。私が見 ない某劇団の得意技でありますが、観客のほとんどが見入っていたので、今でも 人気ある演劇手法なのかな。

ノーサイド

03月18日 プロツーカンパニー「渥美清子の青春」 サザンシアター 6000円

チケット譲ってもらって見ました。作者の早坂暁が倒れてしまったために一時は 公演実施が危なかったようです。派手なポスターだったのでコメディかと思って ましたが、戦争の傷痕や、戦後の苦労をけっこうシビアに描いています。広島で 間接的な被爆をした清子は病院で、実は男だと知らされ玉なし状態を直す手術を 受けた。東京へ来て宿無し生活をしている時、テキヤの虎さんと出会い、一緒に 暮らすことになるが周囲からは夫婦だと見られる。虎さんが結核で死ぬと、虎さ んの兄が浅草で芸人をやっていると知り、清子は芸人になるために虎の兄を探す。 ストリップ劇場の支配人となっていた目当ての人を探し、劇場のコント役者とし て次第に人気を集めるが。。。
あの渥美清の話かというと、実はそうではなく、もうひとつ前の逸話ということ になるのですが、新宿の演劇の代表的劇場で、こういう演劇が上演されたという のが、けっこう驚きました。日頃有名劇団や演出家の演劇しか見ない人には刺激 的だったのではないでしょうか。宝生舞、かわいいキャラではありませんが、役 者としては、おもしろいです。また機会があったら見てみたいと思います。

03月20日 B-amiru「迷惑未遂事件」 スタジオあくとれ 1800円

はじめて見ました。女3人のお笑い系です。短編7本位だったと思います。オープ ニングのいまだにしまわれないひな人形三人官女のぼやき、生徒と戦う女教師、 サービス満点うぐいす嬢がおもしろかったです。寒いギャグもありましたが、 深刻な場面でズレてしまうと、いかに馬鹿馬鹿しくなるかがうまく作られてい たと思います。

B-amiru

03月20日 PLANETS「夕暮れはいつもポケットの中に」 千本桜ホール 1800円

立正大学夜間主演劇部?+フリーによる公演とのことです。絵描きの青年が悩 んでいるときに変な少年たちに出会う。かれらは過去にハーメルンの笛吹きと 共に消えた子供たちで、不思議な遊びにつきあわされる。青年は悩みの原因が 何かもよく分からず絵もかけない状態だったが、少年たちとの接触や、彼らが いまだにさまよっている原因を知ると、自分にとって何が必要だったかを悟る。 詩的なせりふが意味は少し難しかったですが、明朗な語りとあいまって、いい 響きになっていました。今時の大学の演劇サークルの作品としては、珍しい硬 めの内容でしたが、演劇の作り方を考え直す時にひとつのやり方かとも思いま す。

PLANETS

03月22日 こまつ座「泣き虫なまいき石川啄木」 紀伊国屋ホール 5250円

ひさしぶりのこまつ座です。紀伊国屋ホールって密閉感があってあまり好きな劇 場でないので、こまつ座もあまりひんぱんには見ないのかも。明治42年の東京で 石川啄木は、新聞の校正をしながら、短歌や小説を発表していたが、世間の評判 はいまいちであった。妻子に加え、母親も岩手から出てきて生活は苦しい。友人 の金田一京助に生活費の援助をたのんでばかりいる。さらに妻と母は何事にも対 立して、仲介する石川はへろへろ。
井上ひさしが日本語の使い手として敬愛する石川啄木について書いた本で15年ぶ りの再演だそうです。登場人物の人間味はうまく作られていると思いますが、作 品のテーマや、それに対する作劇意図が見えてこないで、やや不満です。

03月24日 フジ「徒然なるままに」 TACCS1179 3000円

はじめて見ました。神風特攻隊の基地には隊員を励まして送り出す、送り屋と いう一団がいる。女が毒を飲むフリをして後から来てと言ったり、助けた亀が招 待してくれる竜宮場が敵艦だったり、いろいろなネタを日々練習している。しか しある日、送り屋からも特攻隊員を一人出すよう命令がきて、みんな志願するの だが。。。
コメディなんですが、終盤はかなり泣かせるものがあり、年配の観客も多かった ので、感じ入ってる人が多かったです。演技は客層の年齢に対しては、やや荒っ ぽい感じですが、同年代の役者の中では丁寧な方だと思います。背景は史実だけ ど、フィクションとしてうまく完結させた良品だと思います。

劇団フジ

03月24日 新潟市芸術文化財団「ファデット」 世田谷パブリック 5000円

ジョルジュ・サンドの「愛の妖精」を元に、1998年に「シャンポーの森で眠る」 という題で上演された、ミュージカルの改訂再演です。片方が幸せになれば他方 が死ぬとまでいわれた双子の兄弟が、村の嫌われ者である娘ファデットを愛して しまい、あきらめ戦争に行った兄だけが生き残こった運命に苦しむ、明るくは無 いストーリーです。どちらかというとストーリーよりも、クラシックテイストの 音楽でソロや合唱を、力を入れて作ってあります。役の数は少ないのですが、合 唱やダンスで多数の出演者を要するので、このままのスタイルで東京で商業公演 するのは難しいでしょうが、クオリティ高いミュージカルを作るという企画とし ては、かなりの成功でしょう。

りゅーとぴあ

03月25日 オーツーコーポレーション「鬼」 スペースゼロ 4000円

芥川龍之介の「羅生門」を元に、横内謙介が善人会議時代に「新羅生門」として 上演したのをカムカミミニキーナの松村武がリメイクしたものです。 日本人がなぜに鬼退治にこだわったのか、考えてみると不思議な事がいっぱいあ る。ギャグが寒い(意図的?)のと、チームワーク的にこなれていなく現代演劇の 温度は感じにくいけど、大きな劇場用に工夫した演出はみどころあり。まだ2週間 あるので内容は割愛。

03月25日 表現団フォルテ!「夏の夜の夢」 千本桜ホール 2000円

旗揚げ公演ですが、かなり舞台経験ある若手による公演だったのでうまかった です。シェークスピアの作品を現代小劇場テイストでつくっていました。ほれ 薬でいかれたデミートリアスとライサンダーが熱いキスを交わしてしまったり、 2人にふられたハーミアが大暴れしたりというシーンもありましたが、通常の せりふ部分はほどよいクサさで、劇を見たという実感が得られる内容でした。 小さいステージでのダンスも工夫してあって、みごたえありました。

03月28日 大人計画「エロスの果て」 本多劇場 4700円

なんとかチケット取れたので見ました。近未来、子供はDNAレベルの人工授精 でつくられ、セックスの意味が失われていた。優良男性の精子を奪って売買 する地下ビジネスも横行している。ゆきずりのセックスで生まれ、母親に捨 てられた若者サイゴと育ての母の子小山田、友人の天才角川君は、ある大き な野望を果たそうとする。そのために黄色いXXXも。。。
アドリブギャグ的な、笑いはあるけど本筋からずれてる内容がやや多いので、 長年のファンは満足いってないような気がするかもしれないけど、ここまで キツイ内容で、テーマを押さえた本を書ける作家はめったにいない。発想が 飛びすぎていて、リアリティが無いとも言えるが、人間が愛を求める時の 純粋さはみごとに表現されていたと思う。

03月29日 ひげ太夫「猛者蒸し」 pamplemousse 2800円

見るの2回目です。半分植物で腕から葉っぱを飛ばしたりする男が、島をわが ものにしようとする悪人と闘うようなストーリーです。しかしストーリーを 見るもんじゃなく、ものや場面を役者の動きで創るのがおもしろいです。 ときどきパフォーマンスの意味がわからなくてイライラするときもありますが、 良くできてるの多いです。個人的にはうさぎがお気に入り。 ひげ無しやよひちゃんもラブリー。女性客のウケがただならない。

ひげ太夫

03月31日 ステージハンズ「眠れぬ鳩」 OFFOFF劇場 3300円

北村想の昔の作品のようなので見に行きました。戦後の混乱期に戦争で足を 傷めた牧師と、身寄りの無い女が教会に暮らしていた。彼の事が新聞に載っ た数日後、ハト撃ちをしている男が撃ったハトを探して教会にやってきて、 その男と牧師は南方戦線で同じ隊にいたことがわかる。牧師の弟は教会に住 んでいる女が好きでパンを差し入れしたりしているが、兄と女が仲がよいこ とを知っているので、旅に出ようとしていた。。。
前半、それなりにストーリーは進んでいくけど、何がどうドラマなのかわか らず、やや面白味に欠ける。けれど、後半はいい。前半の部分も伏線的に効 いてきて、とてもおもしろい本。彼女の正体は・・・とかならなくて好感。

03月31日 ROUND1「俳優たち」 千本桜ホール 2800円

プロデュース公演の5回目のようですが初めて見ました。太宰治の「女生徒」 から一人芝居を3編、北村想の「いっぽんの木」から5編を短編仕立てで作っ てありました。太宰の一人芝居の方は、役者の丁寧な演技は見ごたえあった けど、今の時代におもしろい言動かというと?で作品的に受けず。北村の方 は木の下で出会った人たちの奇妙なエピソード。不条理な結末がかなりいい 感じ。「ひこばえ」でバイオリンを弾いたときは私ひとりで吹き出し笑いを していまいました。

3ヶ月で53本です。 良かったのは、富良野塾「今日、悲別で」、TTC「キューポラのある街」、 TRANSMASTERS「TRANSMASTERS ON THE FLY」、オクトパスブラザー「証人」、 NIL「陽気な幽霊」、スイセイミュージカル「ONLY ONE」、 演戯舎「日夜子」、俳協「兄帰る」、フォルテ「夏の夜の夢」。


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