2000年の演劇

2000/10/01


パート3です。

07月01日 クッキーモン星「5/8」 千本桜ホール カンパ円

演劇に厳しい人にはおすすめしないけど、お気に入り女性劇団です。あるお金持ち の主人が死んで、家宝の文鎮を持つ物が後継者になると言ったことで、2人の息子 と1人の娘が争うことに。ところが彼らは相当の変人揃い。その文鎮が、お気楽な 兄と、きまじめな弟がやっている探偵事務所に持ち込まれたために、きまじめな弟 は体質改善の特訓を受けることに。。。
タイトルの5/8は人間の体質を決定する要素が8種類あり、通常の人は4種類くらい で出来ていて、もう1つの要素を加えて刺激を与えることで体質改善ができるとい う、ありがたいのかめちゃくちゃなのかよくわからん理屈に基づいているそうです。 いつもながらのはちゃめちゃですが、蘭子のぶっとび方が一番すごかったかな。

クッキーモン星

07月02日 現代制作舎「マリアの首」 ベニサンピット 4000円

1年位前からチラシが出回っていて、相当力が入っているのかと期待してました。 演出者やスタッフがこの作品にはじめてかかわったのが1966年と書いてあるので、 書かれたのはもう少し前なんでしょう。戦後まもない長崎で焼け落ちた浦上天主 堂に焦げたマリアの首が残った。病気の夫を持つ女、ケロイド顔の看護婦、義足 の男のグループは復興の影でうち捨てれたマリア像の復元に不思議な執念をつぎ 込む。。。
せりふの内容とかは、さほど難しくないのですが、なぜ登場人物が、それぞれの 行動を取るのかがほとんど書かれていない。ゴドーみたいに虚無感しかない訳で なく、信教とも、平和願望とも、郷土愛ともとれる前向きな意志は見て感じられ るが、語られない。昭和の日本現代劇の美意識なのか。ともかく古い演劇スタイ ルを大切に作ったように感じた。

07月02日 東京あたふた「独白王子」 パンプルムス 1800円

上演作品がバラエティに富んだ劇団です。今回は大学生の就職活動とハムレット をくっつけてしまった話でした。1時間10分程度でしたが、就職試験の早い応答 とか、全般的にハイスピードだったのでせりふの量はかなりのものだったと思い ます。あまり混ぜこぜにしないという狙いだったかもしれませんが、スクラップ 帳に切り貼りしたみたいでまとまってるけど、個々は違うものという印象です。 個人的にはもう少し人物を物扱いしても良かったかとも思います。 作品として良いのか、悪いのか判断が難しい。 キャラメルボックス入ってるようなオフィーリアは、いい味出してました。

東京あたふた

07月05日 「滅びかけた人類、その愛の本質とは・・・」 パルコ劇場 7500円

にわか木村佳乃ファンとして出かけました。難しいタイトルですが、内容は具体 的な社会事件、個人事件として進んでいくので事象の理解は難しくないと思いま す。ただし、根本となっている心理については深いように思います。演出につい ては、刺激を狙った表現だとしたら古いと感じる所が多かったです。しかし心理 物現代劇として、おもいしろいものとして数え上げられる作品だと思います。 予想以上に楽しめました。 木村佳乃が舞台をやるなら、もう少しシリアスな作品を扱う作家・演出家の方が あっているように思います。古典もいいかも。

07月07日 青年座「とかげ」 紀伊国屋サザンシアター 5000円

坂手洋二の新作です。先に時代があって人間が存在するのか、人間が生み出して いくから時代が刻まれるのか? 3時間の間にたくさんの事が描かれたようで、ど れも本質的でないようで、不思議な作品です。最近の演劇で3時間を最も短く感 じた公演でした。

青年座

07月08日 Flash! All Spirits 「アダムの星」 千本桜ホール 1000円

ヒラタアクターズスタジオ改めFlash! All Spiritsだそうです。交代制トリプル キャストのC班見ましたが、主役2人は見覚えあると思います。作品はジェームズ 三木の初期作品で、かなりクサイSFヒューマンドラマです。地球の滅亡にともな い新しい人類の星を求めて、1組の男女を乗せた宇宙船が出発した。しかし女性 乗り組み員は旅の内容を知らされずに乗せられた予備員だった。。。
タレント事務所の若手公演って、今まで見た事ない昔の作品をやってくれること が多いので、けっこう楽しみなのです。これも現在の新作といったら袋叩きにさ れそうな本ですが、若い人が打ち込める味のある本だと思います。キャラクタの 性格や起承転結がはっきりしてるので、やりやすいだろうけど、クライマックス の作りが観客の満足を決めるでしょう。それを十分に果たしていたと思います。

07月08日 「エリザベート」 帝国劇場 13000円

作品として、ストーリー的にも、音楽的にもいまいち中途半端な気がしていて、 正直なところ、あんまり期待していなかったです。さらにオープニングのダンサ ーズのアクの強い踊りを見させられて、頭痛くなってしまいました。 でも鈴木綜馬が出てきた所あたりから、オーソドックスなミュージカルに無い角 質的な表現と、ベテランのパフォーマンスが解け合って、音楽もクラシック調に なり、受け入れられるようになりました。後半の皇帝との亀裂に関しては宝塚版 のほうがシリアスに描かれていたと思います。有名なナンバーの場面については、 観客も集中して聞くことができるための演出と、歌い手の恐ろしいばかりの気合 で震えてしまいました。90年代を代表するミュージカルとして、良いところもた っぷりあることを認識させられました。
観客として保守的な見方はすまいと思うのですが、大劇場の雰囲気に負けてしま うのかなあ。戒め戒め。

07月09日 DMα「As a Person〜ドラキュラ〜」 die pratze 2800円

はじめてみました。歌が無くてダンスたくさんのダンスミュージカルです。バリ バリ働くOLが仕事に熱中して妹からの電話も相手にしていなかったところ、妹 が居なくなった。妹はCMモデルなどをやっていたのだが、仕事が無くなり落ち 込んでいた。自殺の名所の森の近くで見かけたという連絡があり、姉が探しにい った先で怪しい男に出会う。。。
1996年に上演したドラキュラの改訂再演とのことです。会社でのシーンと森の中 でのシーンが多いのですが、カラフルな会社と、黒一色の森が、ダンスの内容に も反映されていて、おもしろかったです。ダンスの質感でもけっこう私好みのダ ンスを踊る人がいて、今年はコーラスラインも行けなかったし、あんまりダンス 見てなかったので、なんとなくうれしかった。男性キャストもかなり健闘してい ました。有名カンパニーや宝塚なみのレベルを要求しなければ楽しく見られると 思います。(ドラキュラが銀の長髪で、やたらと歌う奴でなくてよかった。)

ST企画

07月15日 「マイ・フェア・レディ」 厚生年金会館 11500円

プラハのカルリーンオペレッタ劇場の来日公演です。一部のナンバー以外はチェ コ語で、あらすじは知っているとはいえ字幕を見ながらの観劇です。パンフにい ろいろ書いてあるのですが、昔エンターティメントだったオペレッタがミュージ カルの出現で、芸術扱いになってしまったのが、アメリカ文化の流入が小さかっ た東欧では、ミュージカルとオペレッタが同じ劇場、同じ役者、同じオーケスト ラで演じられる形で発展してきたということで、今まで見たミュージカルで音楽 的にもっともクラシックなものでした。芝居に関しては、はっきりいって垢抜け ないし、思ったより地でしゃべる部分が多くて、オーケストラがもったいない気 もしたのですが、音楽はさすがに良かった。パーティのワルツなんか泣けてしま いました。エリザベートの成功もあり、この先ドイツ以東のクラシック系ミュー ジカルが重要なプロダクションになってゆくかもしれませんね。 これだけ大人数のツアーでは、利益が出るとは思えませんが、欧州ミュージカル の貴重な観劇ができたので、また来てほしいものです。 でも、客層が演劇やミュージカルの顔ぶれではなかったのが、まあそうなのか。

07月15日 X-X-X 「アイン・ヴンシュ」 千本桜ホール 1800円

はじめてみました。ある女の子が男装して政治家をやることに。しかもそれは ナチスの総統だった。歴史物というよりは、現代人が戦争や独裁者の立場に立 ったらどういう言動を取るだろうかというカルチャーショック的な所を狙った ものの様におもいます。ちょっとスタイルにこだわりすぎかと思わなくもない ですが、新しい劇風を目指す意図は感じられました。主役の松井麻季、初舞台 といってましたが、技術よりも明朗さが良かったと思います。

07月20日 ダミアン 「阿呆神」 東演パラータ 2800円

ちょっとひさしぶり。あるカメラマンが金のために写真を撮る事が嫌になり、 つぶれた銭湯に間借りして住みはじめた。つぶれた銭湯には、姉と白痴の弟、 せむしの老人が住んでいて民生委員にいじめられながら細々と暮らしていた。 数年前に銭湯がつぶれたのは、主人が酒に酔って風呂で溺れたのが原因であ ったが、事故死に疑問をもつ記者がひそかに姉弟を見張っており、カメラマ ンも姉弟の謎に引き込まれていく。。。
和風アングラの粋を極めた美術は、おもわずうなってしまうほどです。スト ーリーはいつもながら焦点を絞りすぎない不思議な話で、私が今まで見た作 品の中では最もコメディ感をもった作りだと思います。意外と若いファンが 多いのは、こういう世界に新鮮さを感じるからでしょうか。

ダミアン

07月22日 ミスタースリムカムパニー「Blue Sappire」 モリエール 3500円

結成25周年記念公演だそうです。年齢層の広い観客で満員です。ひさしぶり に最前列で見たら、唾がすごかった。高校の同級生だった連中が、歌手にな ったり、議員の秘書になったり、それぞれ、いい時もあり悪い時もありで暮 らしていた。ある時同級生だった男で、かつて事業に失敗して仲間を捨てて 逃げた男が戻ってきた。はじめ、彼を許す者は誰もいなかったが、夢を語る その男の口振りは、また周囲の人間に積極的な生き方を奮い立たせるのだっ た。。。
どちらかというと、作品の世界にどっぷり漬かった空間を作り上げることが 多いミスタースリムですが、今回のはゲストありで、役名も役者の姓をその まま使ったりしてひと味違っていたように思います。しかしロックとダンス に妥協がないのはいつもとおりで、何でこんなのできるの?と恐ろしささえ 感じます。RENTのファンでもいきなりは付いてゆけないでしょう。

Mr. SLIM COMPANY

07月21日 一跳二跡 「コネクト」 紀伊国屋サザンシアター 4500円

ひさしぶりに見ました。この夏、古城十忍作品を力を入れて見ようかと思っ てます。新潟の監禁事件などでクローズアップされたひきこもりをテーマに しています。最近のハードな演劇・ドラマの傾向としては破滅に至る様を作 りがちだと思うのですが、この作品は両親やメンタルフレンドによる回復に 向けた努力をまず描いています。ネットコミュニケーションや、家族への精 神的被害など広く盛り込んでいます。本はとても面白いと思います。しかし 演出が、あんな物舞台の真ん中において、さらに覆うか、いま時。と感じざ るを得ないです。

一跡二跳

07月22日 「RENT」 文京シビックホール 12600円

今月1万円以上のミュージカル3本目で、我ながら無茶してると思います。一番 期待していたのが、日本版も見てなかったRENTなんですが、どうも私自身がヨ ーロッパ系に傾倒しつつあるのか、現段階では好みの作品には入れられません。 内容は、下町の若者ものですが、ウェストサイドストーリーとかとは異なる現 実に近い話で、エイズ問題が大きな背景になっています。黒人キャストの歌は 日本のミュージカル公演では全然聞けない味だし、曲もかなり良いとは思うの ですが、オーバー気味のパフォーマンスばかりでは次第にヌルさを感じてしま います。しかし第一印象いまいちのミュージカルのほうが後で好きになること もあるので、買ったCDを聞いてみるとともに、機会があったら日本版を見てみ ようと思います。ブロードウェイの舞台がそのまま見られる貴重な機会ですか ら、価値は十分あると思います。

07月23日 スカチップ 「みんなのくに」 千本桜ホール 1500円

はじめて見た団体ですが、出演者は見たある人もいました。猛暑にもかかわらず 満員でした。20本くらいのお笑い短編でした。 などが記憶にのこってます。若者らしい笑いで、コクあり、女の子たちのかわい らしさあり、押しの強さありでなかなかよろしかったです。

音響の人のページ

07月26日 シアタージャック「鍵のかかる部屋」 タイニイアリス 3000円

はじめて見ました。劇団にとっては初の女性劇団員中心の企画だそうです。ある 所に女性だけのカルト的集団があり、不幸な境遇から逃れた人達が集まっていた。 予言者役の人、司祭役として会を仕切っている人、雑用役の人など居て、入会の 印として1つの鍵を渡されることになっていた。ある夜、まちがって入ってきた ピザ屋をたたきのめした事から、司祭役として会をまとめていた人の暴走がはじ まる。
オウム事件とかが騒がれていた頃に書かれた作品ということで、活動に打ち込む 姿勢とかは、恐いくらいにうまい作りになっていました。しかし、幽霊とか出て きちゃうと私としてはトーンダウンを感じてしまいます。タイトルの意味がすば らしいので、そこらへんを濃く書いてほしかったです。 タイニイアリスは、桟敷であの座椅子みたいのを使うと、腰が痛くてかないませ ん。やはり早めにいって段があるところに座らないと。。。

シアタージャック

07月29日 東少 「白雪姫」 三越劇場 4000円

6月からの毎週ミュージカルを続けるために、こんなの行ってみました。さすがに 子供ばかりで恥ずかしかった。7人の小人や毒りんごが出てくる普通の白雪姫で すが、后がしめす憎悪や姫の味方側も好戦的で、やさしいだけの作りではなかっ たです。解説によると、もともとグリム童話はかなり残酷な所があり原作よりは おだやかな話になっているようです。とやかく言うことはないのですが、杉本彩 のダンスが少し良かった。矢部美穂も前回の舞台よりかなりうまかったです。

時間つなぎにシネパトスで「TATARI」(HOUSE ON HAUNTED HILL)を見る。ホラー 映画ってめったに見ないけど、たまに見ると気分がかわっていいかも。収容者虐 殺がおこなわれた精神病院跡の屋敷で、絶叫マシン開発で財を成した男の誕生パ ーティが開かれた。招待されたのは彼とは初対面の5人で、翌日まで残った者に は$1Mが支払われるという。閉じ込められたり、誰かがいなくなったりして、最初 はしくまれたことだと思っていたが、人がやっているとは思えない展開に。
アイデアはもりだくさんだけど、演技やCGがB級かなあ。邦題が間抜けだけど、 いいとこ突いている。

07月29日 6番シード 「MUKAIYAMA-ザ・トラブルマスターズ」 ブディストホール 2800円

銀座方面ではしごです。1998年作品の再演で、見るまでは憶えてなかったですが、 思い出してみると、ほとんど同じだったように思います。探偵事務所に入所した ばかりの青年が、医者の家族から祖父さんに早く死んでもらう手伝いをして欲し いと頼まれた仕事をすることに。しかし情の厚い彼は、先輩所員の指示と異なる 行動をとる。
純粋な主人公の言動が気恥ずかし度、満点ですが、よくできた本だと思います。 演技もうまいんだけど、感情の動きがお約束どおりというか、新発見になるよう なものが見当たらないのが、ぜんたくといえばせいたくですが注文です。

6番シード

07月30日 バフドクロ 「FEEL」 千本桜ホール 1000円

10ヵ月ぶりの第2回公演です。今回は男7人でコント+謎の映像でした。どれも そこそこおもしろかったけど、イメクラの話が学生役の迫真の演技が良かった です。「勝訴」はいつか本当に見てみたいなあ。それこそ映像で本物の判決の 時を狙って。

バフドクロ

08月01日 「big」 国際フォーラムC 9500円

3年め(ロングランじゃないけど)ですが初めて見ました。トム・ハンンクス 主演映画のミュージカル化で、子供が突然大人になってしまい、大人社会で意 外と役立ってしまう話です。ストーリー的には子供から大人まで楽しめる内容 で、大人には少し物足りない感じがあるかもしれません。でも音楽・歌や ダンスは、見ごたえあっていいですよ。赤坂晃の動きも冴えてて、最近見た ミュージカルで、いちばんスッキリした気分になれました。

08月02日 ク・ナウカ 「オイディプス王」 日比谷野音 4500円

ク・ナウカ初めて見ました。最前列で見たら、見上げるのでとても疲れてしま いました。ギリシャの昔話で、知らずに犯した罪の重さに苦しむ男の悲劇でし ょう。演じる人と、せりふを語る人が別々のク・ナウカのスタイルですが、喋 らないことで作り出せる緊張感には独特のものがあります。生演奏と幾何学的 な動きが野外劇の雰囲気にあっていて、珍しいものを楽しめました。でも演劇 として好きなジャンルにはできないような気がします。

ク・ナウカ

08月05日 南青山少女歌劇団「ハイスクールRevolution」 新国立小 4000円

1997年に多数の公演をおこなったものの再演のようです。未来の学校では自宅 学習で、成績のさがったものはすぐに留年や退学になり、みんな勉強しかして いない。そんな学校がいやな生徒がタイムマシンで過去にもどり管理強化をし た生徒会長の当選を妨害しようとするが、まちがって30年前に来てしまう。そ の30年前である2000年の日本でも、ブランド化と、通過点という意識のために 高校生活の空洞化が進んでいる。高校生活の充実を訴える現在の会長は孤立し て、失意にあるときに未来から来た3人に出会う。。。
もっと渋い内容かと思ったのですが、タイムトリップ物とは意外でした。ずば 抜けて見所あるキャストはいないのですが、歌にしろダンスにしろ、もちろん 演技もかなりハイレベルです。後ろのおばさんも言っていたのですが、メンバ ーも劇団もすごい努力してるのだけど、認知があがらないというか、ヒットと 言える売り物が欲しいかもしれませんね。この作品も悪くはないのですが、東 京のミュージカルとして評価されるためには、いろいろ向上させるべきものが あると思います。

スペースクラフト

08月05日 アトリエダンカン 「ロス・タラントス」 アートスフィア 8500円

映画「バルセロナ物語」をもとにつくられたミュージカルで、1998年に初演さ れました。仲の悪いジプシーの2家族の息子と娘が恋におちて、周囲をまきこん でいく様です。フラメンコシーンの評判が高いので他が長いと言う人もいるよ うですが、栗山民也らしい美しい作りで、独特の儚さが描かれていました。で も、木の実ナナ、本当に恐い。西田ひかるも上演期間中もつのか、心配になる うちこみ様です。ここ2ヵ月で見た中で、表現が一番濃いミュージカルであるこ とは確実です。ラストが日本的すぎかもしれないけど、大人が見て満足できる ミュージカルの屈指のものでしょう。

08月06日 メッセンジャープロジェクト「愛しすぎる男たち」 タイニイアリス 2500円

古城十忍の作品で、一跡二跳で1996年に上演されました。結婚相談所と精子バ ンクと、両方に関係した1組の夫婦の話です。精子バンクの営業マンが結婚相 談所でスタッフと面談していると、一人の男が来て妻が妊娠した、しかし避妊 していたはずだ、妻が合った男のリストをよこせと言う。精子バンクの男が、 妻の名を聞くと聞き覚えがある。はたして妻は夫に黙って精子バンクを利用を したのだろうか。。。
登場人物のいキャラクタは、けっこうひょうきんに作られているけど、かなり 痛い内容です。演出者も役者のキャリアでは、この作品は厳しいと考えたよう ですが、この団体は自分たちなりのベストを作ってくるので、とても見ごたえ あります。暑い中新宿まで行った甲斐がありました。

08月06日 FINAL LAP 「イエスマン最後のイエス」 千本桜ホール 1500円

またもや古城十忍の作品で、初演は1990年のようです。神になる本を手にした 男が、死んでも前世の記憶を持ったまま次の人生を活きていくのだが、結局ど れも逃避的な結末を迎えてしまう。彼が本当に求めていたのは。。。
ロミオとジュリエットの劇中劇が長かったので、休憩なしで2時間30分ありま した。社会問題を描くというより、登場人物の人間性を、おもしろく表現して いたと思います。古城十忍の初期の作品ということで、勢いで書いてるような 所もありますが、再演も2回されているので人気あるのでしょう。私はタイトル がとりあえず気に入りました。終盤の病院のシーンで俯いてしまった、おばち ゃんの観客もいましたが、私も意識不明者が身近にいたので、自分だったらと 考えるものがありました。

FINAL LAP

一跡二跳

100本目は南少でした。

08月12日 四季 「壁抜け男」 四季劇場秋 3150円

帰省する前に寄ったのですが、当日券は立ち見しかありませんでした。ある 平凡な男が壁抜けができるようになったばかりに、警察の世話になったり、 素敵なラブになっちゃう話です。ストーリーにそれほどありがたみはありま せんが、歌のうまいキャストがきっちり演じてくれるので、歌は聞きごたえ あります。TVコマーシャルでもおなじみのテーマソングがいいかも。演奏 ではパーカションがおしゃれでいいです。

08月15日 東京演劇アンサンブル 「蜃気楼の見える町」 国際フォーラムD 4500円

ブレヒトの芝居小屋で幕を開けた新作ですが、2日間だけある国際フォーラム 公演の方を見にいきました。富山湾名物の蜃気楼の原因はこれまで地下水が 海を冷やし大気に温度差を発生させるためという説明がされてきたが、観測 しなおすと海水温はほとんど関係ないことがわかってきた。蜃気楼の研究を する者、学校新聞を作っている者、シベリア抑留を経験した元小学校長、君 が代斉唱に反対する若い教師、年代を超えた付き合いをするサロンから導き だされるものは。。。
オーソドックスな会話戯曲のスタイルながら、シーン毎の密度はとても高め られていました。新劇は戯曲や役を追求して、役者の個性は二の次だと思っ ていたのですが、この劇団は役者のパーソナリティも尊重して作っているよ うに見えます。パンフとか読むと無茶苦茶難しい事が書いてあるのですが、 楽しく劇を見られる劇団じゃないでしょうか。この日起きた、本郷淳の事故 はまだ伝わってなかったようです。

東京演劇アンサンブル

08月19日 北区つか 「銀ちゃんが逝く」 紀伊国屋ホール 6000円

6000円はたしかに高いけど、95年のシアターXでも4000円取ってたから、元々 お金のかかる作品なのかもしれません。内田有紀で何かやると決めた時、蒲 田行進曲にした理由はいまひとつわかりませんが、少なくとも飛龍伝の神林 役にはルックスでキツすぎるでしょう。まだみんな、自分の吐き出す言葉に 出来ていないと思いますが、二代目はクリスチャンの時よりは、うわべを滑 っている感じがなくなりました。所々はかなり演じきれていて、ひたむきさ に3回泣きました。

つかこうへい

内田有紀ショック防止のため、朝から新宿で映画見てました。
「仮面学園」(宗田理原作) 学校でいじめにあっていた生徒たちが、仮面を つけて登校するようになった。なぞのDなる人物から仮面パーティの案内を 受け取った生徒(黒須摩耶)はパーティ会場の近くで仮面を作っている少年 (藤原竜也)と出会い、あるファッションブランドが仮面の流行を仕掛けてい ることを知る。仮面をつけた少年、少女が謎の死をとげ、魔手が彼らにも近 づく。。。奇抜な内容でおもしろいが、映像に訴えるものがないのがちょっ と残念。黒須はちょっとオヤジ顔だけど、表情の豊かさはかなりのもの。
「死者の学園祭」(赤川次郎原作) 高校の演劇部で、その学園で昔実際にあ った外国人教師と理事長の娘の恋愛悲話を書いた生徒が自殺してしまう。 部長(深田恭子)は現理事長に頼んで、その本の上演許可をもらうが、今度は 台本のフロッピーをもった部員がひき逃げにあって死んでしまう。謎の転校 生も怪しいのだが、部長の父親で学園の美術館長(根津甚八)も怪しくなって きて、演劇部に関係する人がまたもや死んでいく。犯人を暴くために、上演 が強行される。。。結構簡単に人が死んでしまう赤川次郎らしい学園ミステ リー。深田恭子が部長として演出するところなんかは、私は演劇部はやった ことないが、高校の部活動ではこんな感じだろうなという雰囲気が出ていて おもしろかった。デビュードラマの時のインパクトはないけど、最近のテレ ビドラマよりはいい表情が出ていた。

08月19日 アトリエダンカン 「mama loves MAMBO」 パルコ劇場 8000円

黒木瞳が宝塚退団後15年目にして、初めて他団体のミュージカルに出るとい う作品です。人気ニュースキャスター柏木洋子(黒木瞳)は6年前に夫に死なれ、 中3の息子(森山未來)を一人で育てている。番組のゲストに来た建築家の京山 (岡幸二郎)と恋におちてしまい結婚を考えるが、息子は結婚の邪魔を始め、 スキャンダルとして写真誌に情報を流したりする。はたして恋の行方は?
ミュージカル座を見慣れている人には、今回は意図的に軽く作っていると感 じると思うのですが、大劇場ミュージカル中心の人にはスケール小さく感じ るかもしれませんね。黒木瞳は歌に関してはブランクを埋めるためにかなり がんばったと思うのですが、ミュージカル座がソングミュージカルを売り物 にしている以上は、もう少し聞かせるものを持っていて欲しいです。ダンス は若いもんに負けていません。 岡幸二郎ファンにとって、いろいろ見られるお得な舞台かもしれません。

黒木瞳の事務所

ミュージカル座

08月20日 「阿修羅城の瞳」 新橋演舞場 10500円

1987年に新感線で上演された作品の改訂再演です。市川染五郎を主演に新橋 演舞場で上演ということで、いろいろ手を入れてあるとは思いますが、いつ もの新感線の路線です。でも不満というわけではなく、年配者依存の大劇場 演劇に活力を与えるには、これくらいやらなきゃだめというのを知らしめた し、年配の人でも、ロックもいけるという意義の大きな公演になったと思い ます。純粋娯楽作品だけど、今年の何か演劇賞をとっても不思議は無いです。 後ろだったけど、花道近くだったので染五郎よく見れました。演舞場の若い 職員がうれしそうに仕事してるのが、印象的でした。

08月26日 「休む暇無し 其の二」 ミニホールFu 1000円

各劇団が30分ずつ休み無しで公演する企画です。 ビビッドカラーズカンパニーが意外な収穫かなあ。でも恥ずかしすぎて、よ ほどの根性がないと、長時間作品に付き合えきれないかも。

08月26日 AND ENDLESS「DECADANCE」 スペース107 2700円

2時からのを適当に選んで行ってみました。初めてみる劇団です。魔女裁判が 猛威をふるった12世紀、ある王国で1人の王女が魔女として抹殺された。10数 年後、平民による反乱のどさくさに王城の地下牢から1人の女が助け出された。 彼女は抹殺された王女の双子の妹で、現王もこの脱走で初めて彼女の存在を 知った。さらに殺されたはずの王女も平民の中で生きていて、王国の乗っ取 りを狙う勢力に利用される。兄妹の対決はいかに。
ギャグ活劇で、チャンバラやダンスはものすごくカッコいいけど、ギャグに 関しては、ちょっとさむかったかも。動きがある場面はいいのだけど、語り 合う場面や、心情をあらわす場面でもう少し魅力ある演技ができると、いい のでは。双子の王女は、苦しい境遇がどんな人間を育てるのか、迫力のなり きりが良かった。ストーリーも、革命側の動機が弱いように思いますが、ス リリングで、王の考えとかうまく書かれていました。

AND ENDLESS

08月26日 ギルド「命短し恋せよ乙女」 ウッディシアター中目黒 2700円

松井須磨子と伊藤野枝の話というので、年齢の高い劇団かと思っていたら、 若かったです。観客の年齢層は広かったです。大正時代の話題をさらった2人 の女性のきらめくような個性を、今となっては空想なのかもしれませんが、 気持ち良く劇化しています。共通の小物などの使い方もニクイ。 「サロメ」、「人形の家」、「国定忠治」などの劇中劇もなかなか見物。 9月2、3日は静岡公演だそうですので、お近くのかたはぜひ。

劇団ギルド

08月27日 地人会「ザ・キッチン」 世田谷パブリック 6000円

アーノルド・ウェスカーの代表作をミュージカル化して、作詞や作曲は英国 でおこない、日本で演出、初演された公演です。地人会としても初の本格ミュ ージカル公演とのことです。ロンドンの大衆レストランの調理場で、人種問題 や、店長やコック長が従業員に対する扱いが悪いためにおこった騒動を描いて います。ミュージカル化にあたり26人編成のクラシックオーケストラでバレエ を見せることを狙って書かれたようですが、日本公演ではそういう上演ができ る所は限られているので、コンパクトにまとめ直したようです。バレエ系のダ ンスも、クラシック指向の歌も内容は十分あるのですが、劇としての楽しみが どこか失われてしまっている感じがして、最近見たミュージカルの中では、評 価が高い中には入れがたいです。保守的な見方はすまいと思うのですが、確か に私の観劇ジャンルが最近狭まってるかなあ。

08月27日 東京23区外劇団「男のララバイ60分」 千本桜ホール 1500円

ここも初めて見ました。新アイドルの企画を出したら金がでるという会議に6 人の男が集められた。しかも60分以内に企画をまとめなければならない。現在 活躍するアイドルの分析をしたり、理想のアイドルをヴァーチャルで作ったり するが、ホームレスや老人までなぜこの6人に、入れられているかわからない。 装置やビデオも凝っていて、劇スタイルも工夫をこらしているのに、アイドル 論議ってのがもったいないと思っていたのですが、だんだん社会学的内容にな ってきて、根は難しいことをやりたい劇団なのかもしれません。派手な演技と 大きな声で見やすいことはいいことです。しかし結論が後から工夫して付けた ようで、最初に考えた主題に向かっていく結末にできなかったものかと、ちょ っと心残りです。

09月02日 本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」 プロトシアター 1800円

タイトルがイカシテいたので行ってみました。猫を助けようとして車に轢かれ た夫婦の葬式に、3年間音信不通だった長女が帰ってきた。長男は最近結婚し た妻に彼女に逆らってはいけないと言い、次女は恐怖でどもりになってしまう。 3年前彼女が家を出たのは、町にある沼でおこった恐竜騒動が原因であったが、 またしても恐竜目撃の情報が回覧板に載ってやってきた。。。
映像部分を除けば、新劇の劇団がやってもいい位、きっちりとした家族劇です。 まあ刺激的な題材の選び方とかは、作者のプロフィールとかを見ると頷けるも のがありますが、これだけちゃんと組み立てられるのは、そうそう居ないと思 います。この規模の公演で、帰り道でみんな作劇方法について論じながら帰る のは珍しい。

本谷有希子

09月02日 ほほえみ道場「パイナップル・ドライブ」 千本桜ホール 2200円

肉体派の劇団でした。リストラでサラリーマンをくびになった男が風呂工事の アルバイトで、老人夫婦宅に修理に行ったが、ねじ回しの使い方もわからない。 元暴走族の社長はあきれながらも彼を指導する。出産間近で幸せそうな社長と 奥さんを見た彼は、自分のところも赤ちゃんが産まれそうなのに、独身だと言 う。何もかも自身を失っているこの男に復活の機会はくるのか?
役者は力入った人多いんだけど、世に作品内容を問うような演劇とはちょっと ちがうような気がします。男の友情とか気持ち良く書かれていたし、人間味と かうまく出ていましたが、過去の事件や災害など安易なもり込み方で、この夏 一番の暑さの中を劇場まで来た人々に満足のいくドラマだったか疑問です。 夏場はもう少し厳しい内容のほうが、良いと思うのですが。

ほほえみ道場

09月03日 ジンジャントロプスボイセイ「青ひげブラジャー」 スパイラルホール 3000円

スパイラルホールで2回目の公演です。ブラジャー工場で働く女工と、青ひげ の監督たち。いやがる女工たちを追い掛け回してバストサイズを計ったり、 いやがらせの連続に女工たちは有り様を外へ伝えようとするが、工場は筆記具 持ち込み禁止で、うまい手だてがない。。。
ポップなアート感覚の作品が多いジンジャンですが、今回は青ひげとブラジャ ーということで、少し危ない世界でした。ブラジャーが生々しかったというこ ともありますが、小さいことに具体的で、大きなテーマがいまひとつ見えてこ なかったような気がします。ちかごろアート系のあまり見てないので、ついて ゆけてないのかなあ。フロア全面に立てられたアンテナと、流れ作業の横長ス テージってのは、空間作りとして良かったと思います。

Zinjanthropusboisei

千年文化芸術祭

09月08日 地人会「ザ・キッチン」 世田谷パブリック 6000円

2回目です。2週間前に見て、考えながら見てたら音楽とかよく聞いてなかった ような気がするので、もう一度行ってみました。大人向きで、直接笑いを取る ような場面を作らず、暗示的な言葉が多い難しい作品であることは確かでしょ う。音楽も良いのか悪いのか判断が難しいです。ストレートプレイ版はみたこ と無いのですが、店主や老人の役割をあらわすには、歌は必ずしも良い方法と は思えず。歌ってない人の動きももう一工夫欲しかった。

09月09日 ザ・ヘッドフォン クラフト「10」 千本桜ホール 1500円

初めてみました。ある劇団が戦隊ヒーロー物の練習をしている。6人目の戦士、 猫レンジャーは急性記憶喪失で、自分がなぜここにいるかよくわからない。病 院に行くと多重人格だと診断される。治療をはじめようとすると、劇団員が慌 てはじめた。。。
同年齢の劇団と比べると、うまいとは言い難いけど、持ち味はあると思います。 野田風のせりふになってしまったと書いてあったけど、突飛な展開など昔のナ イロンを彷彿させるものがあります。新しいを演劇を目指すなら、ああいう多 重人格のストーリーではもの足りないのでは。

THE HEADPHONE

09月10日 偉人舞台「history」 アゴラ劇場 3000円

満員で入れなかった人もいたようです。歴史が変わるのを防ぐために、現代人 をタイムマシンで過去に送り、人物の代理をさせたりする会社がある。ある新 入社員が病死した明智光秀のかわりに本能寺の変をおこすべき1582年に送りこ まれた。現地スタッフがマインドコントロールなどのサポートをしてくれるの で、本物だと思われるようになっている。なぜ光秀が。。。
娯楽時代劇として、ほどよい渋さと面白さでした。現代人が400年前に行って 言葉が通じるかどうかは興味わきました。パラパラ教えるっていうのがいいぞ。

偉人舞台

09月15日 アスタらビスタ「チャイム」 シアターVアカサカ 3200円

佐山泰三プロデュース企画の3回目とのことです。10分弱の短編10本で、新大 久保の一部店舗のマンションの各部屋での出来事という設定です。 各話とも短いですが、おもしろかったです。泌尿器科の看護婦2人のやりとり が絶妙で良かった。本としておもしろかったのはユニクロの店員のやつかな。

09月15日 CANN'ABIZ「CANN'ABIZの快楽の園」 東演パラータ 2800円

F・アラバール原作の倒錯物?です。孤児院出身の女優が愛について、考え、 求める様をディープに、激しく描いています。SMショーとも言えなくはない ですが、よくもこんな難しい作品を上演したもんだという驚きです。前半は破 壊的イメージしか見えなくて、やや退屈だったのですが、後半は語られる言葉 も意味深くおもしろかったです。

カナビス

09月16日 螺旋組「Junk」 シアターグリーン 2500円

刺激のある作品を作っている劇団です。15歳の時、親を殺そうとしてできなか った男が30歳になって15歳の自分の幻を見るようになる。取材で家族を演じる ストレス療法に参加したところ、自分の少年時代とダブりだし、15歳の自分を 探すことになる。
家族劇は意外でしたが、もうひとつ絡めた機械人間のストーリーがこの劇団ら しいです。もうちょっと技術的に、何か他と違う事を書いてくれるとうれしか ったです。家族劇の方は、家庭内暴力とか他に良い作品が多いので、これ位で は、優れ物とは言い難いかな。

09月16日 「シェルブールの雨傘」 アートスフィア 6500円

1997年の小川範子での公演から3年ぶりです。主役がジャニーズの坂本昌行と 藤谷美紀、演出が山田和也とかわってますが、結婚相手の青木裕史は同じで す。少し演出が派手すぎて、情緒に欠けると言えなくもないですが、今まで にない大掛かりな作りです。最後の出会いのシーンは何度みてもいいなあ。

09月17日 「マクベス」 新国立劇場 6300円

鐘下辰男の演出、鹿賀丈史の主演でシェークスピアの代表作です。豪華な 時代劇です。新国立らしい、きれいにまとまった劇になっています。誰も信 じられない恐怖感とか鐘下らしいビンビン伝わる感じです。

09月17日 JUVENILE「君色の翼」 千本桜ホール 1800円

旗揚げ公演とのことです。翼を取られて地上に落とされた悪魔が、人間と仲 良くなるのだが、他の悪魔が人間の一人に嫉妬心をおこさせ、友情が壊れか けた時。。。
小劇場に、結構多い傾向のストーリーです。うたありダンスあり、怒鳴り合 いありで、盛りだくさんなのですが、まだ自分達の劇団の売りになるものを 見出せていないように見えます。友達が来てくれればいいというような、活 動ではなく、知る人ぞ知るすごい劇団といわれるくらいがんばって下さい。

09月21日 青年劇場「島清、世に敗れたり」 紀伊国屋ホール 5250円

この劇団は初めてみました。大正時代、ベストセラー作家になったものの、 女性問題で作家生命を失った、島田清次郎の話です。脚本は別ですが、1995 年に、本木雅弘主演でNHKのドラマにもなりました。金沢で貧しく育った清次 郎は、評論家の推薦とともに出版社に持ち込んだ小説「地上」で20歳にして、 ベストセラーを達成した。清次郎そのものともいえる青年を主人公にした、 大衆の厳しい生活をリアルに描いた小説で、第二部、第三部と続編が売れ続 けた。元海軍少将の娘と結婚の話が進んでいたのだが。。。
歴史の中で、どちらかというと忘れられてしまった人の話ということで、題 材としても、自信過剰に振る舞う人物像としても、面白かったです。新劇の 劇団でも、演技のするどさというかリアリティを前面に出す劇団と、そうで ない劇団がありますが、ここは演技うんぬんより、ストーリー展開のテンポ を重視した作りをしているようです。笑える所も多かったし。

青年劇場

09月22日 毛皮族「鬼畜ロマン」 die pratze 2200円

ちょっと興味があった所へ、案内メイルが来たのでいってみました。超満員 で立ち見も多数でした。一応、旗揚げ公演ということらしいですが、これま でもいろいろ活動していて、熱心なファンも多いみたいです。この作品は、 金持ちの家にお手伝いとして来た女が、家を乗っ取り、崩壊してゆく話なん だろうけど、こぶをもった弟とか、へんな歌手とかあらわれて、かなり雑然。 表現としては、かなりエロいけど、かわいい女の子が多いので、ほどほどの ところで、バイオレンスやお笑いを混ぜて、踏みとどまってる。出し物はバ カだけど、美術や衣装は、アート系団体に近いレベルかもしれない。

09月23日 CAPTAIN CHIMPANZEE「アリとキリギリス」 シアターグリーン 通し券

2回目です。現代文明が滅び、未来では少数の地球人が、宇宙からやって来た 神の指示のもと、鉄クズを掘り出すアリのような生活をしている。ある町で 次の長を決めることになり、鉄クズをもっとも多く集めたものが現在の長の 娘と結婚し長となることになった。生真面目で正義感の強い男と、権力意識 だけで手段を選ばない男の一騎打ちの様相だが、長の娘は全く仕事をしない ヴァイオリン弾きの男に親切だった。。。
作者、坪田直也の文によると8年位あたためていた作品ということで、アリ とキリギリスの話を人間に置き換えただけでなく、神の正体とともにあらわ になる、宇宙時代の人類の歴史も、うまく搦めて書かれています。音楽は腹 の足しにはならない。必要ないと言わざるを得ない状況で、敢えて仕事を捨 て音楽に専念する男。はじめ神の衣装とか、白いギターならぬ白いヴァイオ リンに笑っちゃいましたが、後半は感動ものでした。

キャプテン チンパンジー

09月23日 ジャパンアクションクラブ「Tokyo 2050」 グローブ座 3900円

年1回のペースでおこなわれている演劇公演の4回目です。前3回が時代劇で あったのを、今回は近未来の大戦争後の混乱した世界での話です。新宿が 正体不明のテロリストに占拠され、国際政府の傭兵が民間人の救出とテロ リストの制圧に行く内容です。しかし役者はよくやってるんですが、本に 劇心がないというか、舞台空間の温度が低い。前説で言ってるように新感線 をライバル視してるとしたら、そうとうヤバイ。

ジャパンアクションクラブ

09月24日 カメレオン会議「モナ美」 スズナリ 3500円

竹内銃一郎のプロデュース企画の第2回。小学校から親友のモナ美とトモ世、 2人の生き方は大きく違ったけれど、互いに知らないところで、影響しあ い、存在の大きさを思い知る。演劇戯曲の技術を総動員したようなハイテ クニックさ。すべての小劇場演劇がこのレベルになったら、それはつまら ないと思うけど、たまにはこういう作品があってもいい。 最近みた演劇で、一番泣けた。

09月24日 BLUE HIPS「ウォルター・ミティにさよなら」 千本桜ホール 2300円

高橋いさをのかなり前の作品。恋愛ドラマのヒロイン、凶悪犯を追う女刑 事、地獄の怪人と戦うために父にサイボーグにされたスーパー花子。3人 が自分が主人公だと思って始めた話がいつしか同じ流れに。3人は自分の ドラマを完結させることができるのか。。。
堤泰之が好きな作品で、前からやりたかったらしいですが、個人個人のセ ット無しの舞台での表現力と、ギャグを成立させる力は試されますが、こ れまでの作品より、戯曲としての内容が薄いような気がします。小劇場の 名作をリバイバルってのはうれしいんだけど、そういう企画は役者側はい ろいろ考えるだろうけど、若い観客はいきなり見せられも、おもしろいか つまらないかだけで終ってしまい、当時なぜ受けたのかがわからないまま ではもったいないような気がします。

09月30日 アトミック・ブレンド「area」 シアターグリーン 通し券

いくつかの劇団が集まっての企画公演です。スキンヘッドの役者は見たこ とあるような気がします。ある男の所へエリア財団というところから母親 の遺産としてエリアを相続して欲しいという連絡が来た。いってみると宗 教の洗脳のような講習をやっていた。訓練の時、見せられたのは、幽体離 脱したまま死んでしまった弟の姿だった。。。
日常の中に潜む、信じられないけど信じちゃう事を題材にした多重的なス トーリーでしたが、まだ演劇として面白いところまでまとまってないよう な気がします。ワークショップで役者が好き勝手やってる感じに近いかも しれません。

アトミック・ブレンド

09月30日 紅王国「人造天女」 ウッディシアター中目黒 3000円

まともな仕事のない探偵の事務所に、若い女が現われ、自殺するかも知れ ない父を見張って欲しいというが、事情を尋ねられて契約せずに帰ってし まった。そこへ医大時代の友人の家から、謎の手紙とその友人の奇行に関 する相談が来て、友人宅へ出向くことになる。彼の父は戦前に人造人間の 研究に関わった人間で、息子である友人も最近は研究室にこもって怪しい 研究をしている。探偵が着いた夜、友人は、包帯でミイラ状になった少女 を連れて現われた。。。
いつもながらしっかりした本なのですが、結末は物足りないです。小道具 に頼る迫力みたいなものではなく、戯曲の力で、科学技術の限界や、それ に気づいてしまった人のある種の愚行などを、表現しようがあると思うの ですが。

紅王国

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