2000年の演劇

2000/07/02


パート2です。1〜4月で、33作品見ました。

05月05日 FEVER DRAGON「Red Eyes」 芸術劇場小1 2500円

ときどき超おもしろいことをやってくれる劇団です。フリーの雑誌記者をやってる 男が、HIV感染している女性のドキュメンタリーを書くことになった。それは以前に 比べメディアでの扱いが減り、実社会で差別がより深刻化していることに危惧を抱 いた記者が、金もうけとは別の次元で、本気で取り組もうとしていることである。 しかし彼や他の雑誌スタッフは夢か幻かで、ゴーレムという信念を揺るがす怪人と 出会う。またゴーレムはインターネット上のうわさとして拡大してゆく状況にある。 それぞれの人が日々おこなっている行動が何に基づくのかを考えることに。。。
HIV関連のストーリーが元々これだけなのか、何か事情があって削ったのかよくわか りませんが、非常に中途半端な本という観はぬぐえません。観客のみなさん地元か ら来るくらいで熱心だろうけど、見る目を持った人が集まってると思うので覚悟を もった作りをして欲しいです。

FEVER DRAGON

05月05日 あいやすいか「アリし日の詩」 アゴラ劇場 2000円

1997年の第2回公演で上演した「ありしひ」の再演です。最近の公演の内容がいま ひとつだったので、あまり期待せずにいったのですが、やっぱりこれは良いです。 アリと人間の世界を、はじめ接点がない所から、子供独自の世界観でつないでしま う、演劇以外の表現方法では作れない話です。 内容は1997年の所を見てください。

05月06日 弘前劇場「三日月堂書店」 スズナリ 3000円

はじめて見ました。大学の近くにある古本屋には、大学の教官や学生が頻繁にあら われゼミ室のようになっている。ある日、店主の知り合いらしい男が訪ねて来て、 さらに彼の出現を待っていたかのように何人もの来客があらわれる。彼はムショ暮 らしの常習者で、根は悪人ではないのだが、一般社会での生活に苦痛を感じて、刑 務所行きを繰り返している。来客たちは、彼の娘の結婚相手や関係者で、これを期 に真っ当に生きろと説得するのだが。。。
キャラクタ作りもうまいし、語られることも面白いのですが、NHKテレビ小説の 何話か分を見せられたような感じで、劇作品一本としての重みが私には感じられな いです。ムショ男のいいぶんには、意表をつかれる人間性のリアルな部分も感じる のですが、全体的に創造的で無いというか、大量の本とコーヒーの意味なしが最も ひっかかります。

弘前劇場

05月06日 螺旋組「han-nya」 ストアハウス 2500円

この劇団2回目です。源平の壇の浦の合戦の後、那須与一は誤って射てしまった 愛する女の死体が見つからぬまま5年もの間、廃人のごとく生きていた。死んだ女 は、与一の矢がなぜ胸を貫いたかわからないまま成仏できず、物の怪となって壇 の浦に戻って来た。 一方、怪我をおって生き延びた平家の姫が、平家の霊を鎮めるため、元武士の僧 を使って物の怪退治をおこなっている。先の物の怪が那須の与一に関係している 事を知った姫は、源氏憎しの心を呼び覚ましてしまい、与一に攻撃の目を向けて しまう。。。
そんなうまくないんだけど、愛と憎しみの極限を表現しようとする姿勢が強烈で 見入ってしまいました。美術に関しては賛否両論ありそうですが、劇場内が暑く なる季節なので木質よりは金属質で良かったと思います。

05月07日 神馬「We've got @ virus!」 シアターグリーン 2500円

3日連続で池袋方面です。この劇団は初めてです。とある商社の事務所で定年間 近の係長が退職あいさつの練習をしている。上からのお達しで各セクション1名 リストラせねばならず、パソコンの使い方もわからない彼が選ばれてしまった のだった。その日コンピュータ管理担当の社員が痴漢で捕まり会社に来れない にもかかわらず、親会社の社長が最新鋭コンピュータの視察に来て、係長がコ ンピュータ係の振りをして扱うことに。しかし彼はコンピュータウィルスをダ ウンロードしてしまい、時間が経つごとにパニック状態。伝説のハッカーを呼 び集め回復を図ろうとするが。。。
これまで見たコンピュータ物で一番凝ってました。ネタはバラせないけど、2重 3重になった事件の展開。コンピュータの進歩についてゆけない人達の悲劇。本 物パソコンディスプレイを使った侵されていく恐怖。劇の方はコテコテのお笑い 基調なんだけどやりますな、この劇団。

神馬

05月13日 貝の火「南総里見八犬伝」 ウッディシアター中目黒 3800円

知らずにいったら、人形劇でした。声の出演はDr.スランプ内海賢二とサザエ さん加藤みどりです。里見義実が、犬の八房に敵の首を取ったら娘の伏姫と 結婚させてやると約束したところ、本当に首を持ってきて戦に勝つことがで きた。しかし義実は冗談で言ったつもりが、八房は執拗に伏姫を求め、交わ ることなく伏姫は懐妊する。伏姫は八つの玉を産んで息絶え、八つ玉は飛散 する。孝の文字が浮き出る玉を持った犬塚信乃の成長と、同じく玉を持つ4 人が出会うところまでが今回のお話。NHKの人形劇と同じ人がやってるだけ あってすごいものがあります。生身の人間が演じるより、演じる方も、見る 方も疲れてしまうような独特の緊張感があります。息をするタイミングが無 いということかも知れません。

05月13日 Model Production「GODSPELL」 目黒公会堂 1200円

知る人ぞ知る、諸大学英語サークルを中心になりたってる演劇企画です。今年 の演目は、1971年に作られたオフブロードウェイミュージカルです。前半あら すじも読まないで見たところさっぱりわからず、休憩にパンフを読んで、そう いえば、こういうタイトルで宗教色の強い作品のことを耳にしたことがあった と思い出しました。内容の詳細は、作者のStephen Schwartzを検索で探してみ てください。
聖書の知識が無いと、分からないので、日本ではあまり上演されないのだと思 いますが、問題作としては価値ある作品のように思います。主要キャストのし ゃべりや、全員のダンスとかプロ顔負けのパフォーマンスも所々ありました。 しかし演技では、ミュージカルを観客に楽しませる事ができるかという点で、 演劇主体でやってる人との差があります。もう一工夫あったらもっと楽しかっ たかも。

05月14日 キャプテンチンパンジー「VOICE」 シアターグリーン 共通券

初めてみました。人類が神の怒りによって絶滅の危機に瀕してから3000年後、 ふたたび宇宙は戦乱の世となっていた。宇宙刑事と軍国主義の星が争っている ときに、コソドロの手によって神を封印した壷が地球から発掘されてしまった。 復活した神は、再び神による絶対的正義の元に平和で平等な宇宙を作るという のだが、あまりに強力な力ですべての破壊を始めた。人類は神に従ってしまう しかないのか、何故、神は古代で封印されたのか?
SFアクション物ですが、テンポよくかっこもよかったです。一見、話のバッ クボーンもかなりしっかりしているように見えるのですが、ややありがちな話 をまとめたという観もあります。アクションやギャグはよくできていて、観客 の多くも満足そうでした。主役(池上映子)の熱演は評価したいので苦言はいい たくないのですが、若者向きとはいえ大人に見せるものなので核心部分にもう 少し深みのあるテーマを書いて欲しかったような気がします。愛がテーマでは ないですよね?

キャプテンチンパンジー

05月14日 egg flip「月に叢雲花に風」 タイニイアリス 1500円

初めてみました。昔の日本の村で、干ばつなどを神の怒りとして、若い娘を生 け贄として殺すしきたりを持つところがあった。7年前から薬師として村に住 む男は、日照りや疫病は神の怒りではなく、そのための生け贄は無意味だと考 えていたが、公言せずしきたりを見守っていた。しかし親しくしていた娘が次 の生け贄として殺されることが決まると、耐え切れず神の使い役達の所へ、生 け贄を止めるように説得に行く。一方娘は産まれた時から生け贄とされること を定められており、村の役に立てる日が来るのを待っていたと言う。。。
前日の「GODSPELL」に出てくる聖書の話は生きてる人間が苦しみに直面しても 生きていく糧として作られているのに対し、日本の宗教概念はやはり犠牲的な 信仰を価値化している。なぜそうなったかを考えることは重要だ。悲惨な話で はあるが、演劇がこういうものをまた扱うような時期が来ているような空気が 存在することも事実。

egg flip

05月20日 シアターガッツ「ファイナルダイナマイトパンチ」 シアターグリーン 共通券

愛知県大府市の劇団だそうで、初めてみました。悪の改造人間組織ベロスと、 ベロスに改造されながらも持ち前の正義で組織を抜け、正義のヒーローになっ たレインボーダイナマイトこと松岡ゴローとの戦い。石ノ森章太郎に捧げると いいつつ、相当おちょくってるけど、東京の劇団には無いピュアなうちこみ様 が気持ちよかったです。
アダルト演劇路線で行くはずの私が2週連続こんな調子。しかも1000円でカー ド買ってるし。ほへー。

シアターガッツ

05月20日 KOKAMI@network「プロパガンダ・デイドリーム」 グローブ座 4000円

3階席しか買えなかったので、役者の顔とかあんまり見えなかったけど、その 分、せりふはよく聞いたような気がします。みんな声が通っていてよかったで す。
私が最も感じ取ったことは、有名になった者勝ちという意識が国民の多くに染 み込みつつあることに対する危惧です。さらにエスカレートしたとき、困った ものです。

サードステージ

05月21日 THE・ガジラ「レプリカ」 世田谷パブリック 3500円

ガジラ、劇場でははじめてみました。初老の父親と30近い娘がいなかの小屋で 隠れるように暮らしている。娘がストーカーに襲われ精神的ショックを受けた ので、都会から引っ越してきたらしい。ある晩、娘はストーカー男の姿を窓に 見つけ、また恐怖が蘇る。美人の娘と交流を持てているのは、村で唯一の青年 医師、絵画教室の教師、パシリ的に娘に従っている若者の3人でおもて向き親 切なのだが、どこか怪しい所がある。絵画教室の教師が誕生日プレゼントとし て持ってきた人形に盗聴器がしかけてあったことから、ストーカーの正体は、 と疑われはじめるが。。。
サービス、サービス。たまらなく刺激的であります。他人の不幸は蜜の味と思 って書いてるわけじゃないとは思いますが、登場人物と役者のいじめかたが、 なみなみならぬものです。若村麻由美は令嬢ジュリーのときよりかなりいじめ られ上手だったように感じました。 激情タイプの演劇では、まだ山崎哲の方が社会的に意味ある台詞が多いような 気がします。「欲望のない愛は、女にとって退屈なの。」欲望を持たない私に は痛いけど、これで男性客がみんな欲望に満ちた行動に走っても。。。 ストーカーや監禁はやめましょう。

05月21日 1mg「コルビュジェの庭、ひまわりを摘む」 ザムザ阿佐ヶ谷 2000円

けっこう多くみている劇団です。遺伝研究で有名だった夫婦が謎の死をとげた 後、残された娘は太陽光を浴びると倒れてしまう先天的な病気のために学校も 行けず、ひそかに金魚と遊びながら暮らしていた。一方某国では、不毛の地に 突如咲き乱れたひまわりが住民ごと焼き払われるという事件がおこり、それに 関与した、種をまく男なる人物が日本に侵入したとのことで当局の捜索が始ま った。食料問題を解決するために遺伝子操作を積極的におこなってゆくか、数 世代先の安全性が確認されない現状では、組み替え生物は世に出さないように するか、深刻な問題を扱ったものです。水着の女の子もでてくるけど。
前半は支離滅裂な感じがかなりありましたが、後半は遺伝問題に関する謎解き もうまく進み、金魚のタネあかしで危機感をグッと出して濃密な劇世界を作り 出していたと思います。従来の劇感覚では少女にもっとフォーカスすべきとい う意見もでるかもしれませんが、もう新感覚でいいんじゃないかと思います。 本としては大きな劇場での上演にも耐えるレベルのものでしょう。 豆腐屋とかの設定は一般的でないかもしれませんが。

1mg

05月22日 月蝕歌劇団「家畜人ヤプー」 萬スタジオ 3900円

ひさしぶりに行ったら、やっぱり満員で、つらい桟敷席での約3時間となりま した。1956年に雑誌連載された沼正三の作品の初演劇化だそうです。月蝕歌劇 団はかなり特殊な作品を扱う劇団で、ファンもアングラ亡き今の時代に敢えて こういう路線を好む人達で、普通の演劇感覚と離れているとは思うのですが、 ここまで変態作品をやるとは思わなかった。私もアブノーマル、きらいじゃな いけど、毒気に当てられすぎました。

月蝕歌劇団

05月22日 新感線P「犬夜叉」 ル・テアトル銀座 7500円

キャプテンチンパンジーやシアターガッツの活劇もそれなりに面白かったけど、 新感線の面白いものを見せようようとするパワーはすごいものがありますね。 演劇興行としては、企画にしろ、宣伝にしろ、今もっとも魅力を感じさせるこ とが、実績をともなってできているのが新感線のように感じます。
佐藤アツヒロは初めて見ましたが、年の割には落ち着いていないのがいい味だ ったと思います。馬渕英里何はホリプロタレントの中でも、今までの演劇でも 渋めの存在だったのですが、明るく元気な女の子役がここまでできたのは驚き ました。私的に一番見所を感じたのは遠山景織子です。出番少なかったけど完 成度の高い演技をしていたと思います。チェーホフ劇などでじっくり見てみた いです。 ちなみに高橋留美子のコミックはかなり多く読んでいるのですが、「犬夜叉」 は読んだことなかったです。

05月25日 キリスト伝道劇団「薔薇の館」 新宿新生館 2500円

この劇団は初めてです。1969年に劇団雲によって初演された、遠藤周作の作品 です。この劇団で毎年公演をおこなっており、今年で7年目だそうです。物語 は、戦争中の軽井沢にあった小さな教会での出来事です。この劇団に限らず、 多くの人に見て欲しい作品なので、内容はかかずにおきます。人間みんな産ま れてから絶えず自分の生活を悔いる必要は無いと思いますが、何度かは見つめ 直す、そして生き方を考える機会をもつべきでしょう。宗教の場がふさわしい とは、個人的には考えませんが。

05月27日 自己批判ショー「シアターグリーンの自己批判ショー」 シアターグリーン 共通券

はじめてみました。どんなすごいことをやるのかと、どことなく恐怖を感じ 開演を待ったのですが、はじまってみると寒い。なかなか困った連中かも。 忠犬はち公物語のスライド芝居とか、あの台座がオチなのかなあ??? ラヂオ体操でない体操のようなの、は普通に笑えたけど。我が道を爆進し ていってしまうのかなあ。

自己批判ショー

05月27日 猫ニャー「夜の墓場で運動」 シアタートップス 2800円

猫フェスに行けなかったので、ひさしぶりです。最前列真ん中だったので、 かなり集中して見てしまいました。ナンセンスそのものが笑える作品をやる 劇団も増えてきたけど、アイデアの鋭さでは猫ニャーが抜き出ていますかね。 以前見たときにくらべ、全員の演技力が格段に上がっているのが感じられ、 落としがより冴えてきたように思います。みんなでえんぶゼミにでも通った のでしょうか。タイトルが意味不明なのはいつもの事だけど、柵が気になる なあ。見えませんが以下に内容を書いておきます。

05月28日 純粋ザレバ「演芸刑事」 プロトシアター 1200円

タイトルに惹かれて初めて見にいきました。「ナタネでーす。オリーブでー す。てんぷらでーす。3人揃って日本脂っこいトリオでーす。」警視庁はお 笑いに強い婦人警官から人選し、演芸刑事として業界の治安を守る任務を与 えていた。しかし気まじめ団なるテロ組織が日本のお笑いを撲滅しようと、 演芸場や芸人に対しテロ活動をはじめ、演芸刑事の3人と、フランス帰りの キャリア警部が闘いを挑む。
1時間強の劇で、半分以上漫才らしきものをやってて、意表を衝かれました。 へなちょこさがここまでくるとすごい。この人達、演芸が好きなのかな、 本当に?

05月28日 Dark Moon「男的女式」 千本桜ホール 2000円

初めて見ました。ある日夫が遅く帰ると、妻は何も食べるものは無いといい、 ビールを要求した夫に、遅れていた生理が来たので飲まないで欲しいという。 わだかまりができた翌日、夫は今晩新築祝いで友達を招くと言い、妻は束縛 の息苦しさを感じる。予定より早い昼下がり1人の男が訪れ、夫の他の友達 にない影の部分が、今の自分に通じるものがあると妻は感じた。そのころ夫 は、警察に古い知り合いの行方を尋ねられ、説明によると彼の妻が死んで いて、夫の住所を記したメモが落ちていたという。夫が家に帰ると招待して いないのに警察が探している男がいた。その男が言うには、彼の妻は以前、 主人公(夫)と付き合っていて別れたショックで男性不信になったと言う。 さらに夫と不倫したOLが、別の男との結婚の挨拶にやって来た。 我を失った、夫と妻は。。。
「刑法第39条」や「お墓がない!」の脚本を書いた大森寿美男の原作で、 夫婦でも分かり合えない、男女の感情のずれをするどいタッチで書いた作品 だと思うのですが、作品としての重要箇所を適切に見せるよりも、役者の見 せ場とか、長台詞で難しいところに力を入れすぎて、話がわかりにくくなっ てしまったような気がします。ただ演技の質が、日頃見慣れている小劇場演 劇と多少異なっていたので(特に妻)吸収しきれなかった面もあります。い ろいろなテイストに合わせられる力も観客には必要ですね。

06月02日 tpt「Naked -裸」 ベニサンピット 7000円

イタリア人、ルイジ・ピランデッロが1922年に書いた本を、1998年にニコラス・ ライトが英訳上演して話題になった作品とのことです。かなり考えながら見て、 理解に務めましたが、主人公エルシリアについては頭が痛いくらいにわかりませ ん。エルシリアや周囲の人物たちによって十分に語られたはずですが、その言葉 から、状況を理解できても、意味を理解することができませんでした。 日頃からもっと厳しい戯曲に触れるべきと痛切に感じましたが、その気持ちが、 いつまで続くことやら。エルシリアの役は誰がやっても、多くの人に納得しても らうのは難しいでしょうね。内容は見えないように書いておきます。

06月03日 石山海と劇団火扉「世田谷心中」 明石スタジオ 1500円

ひさしぶりに見ました。目的を見失って、会社を辞めた若い男が、ケータイのメ イルで心中してくれる女を募集したところ、情緒というものが無く理屈っぽい女 があらわれた。それでも2人は季節遅れの桜の花の元で死ぬべく北への旅に立っ た。男は夢で桜の精が首吊り縄を持って招くのを見て、自分の将来を悲観したよ うでもある。旅の途中で坊さんの新婚旅行と道連れになるが、その妻は白血病で 長くないと言う。男は心中の相手として、連れてきたきた女よりも、坊さんの妻 に惹かれ出すが、連れの女にも感づかれ。。。
かわったテーマで興味深かったですが、世田谷で完結できないくらい、世田谷は 名所不足なのかなあ。桜のシーンはきれいでした。

06月03日 四季「李香蘭」 四季劇場秋 9450円

四季の公演はじめて最前列で見ました。日本人でありながら李香蘭を名乗り、満 州と日中戦争の時代を人気歌手、女優として生きた実在の人物の物語です。ミュ ージカルは1991年に初演され、海外公演を含め多く上演されています。もう少し 活躍が賞賛されるような内容を予想していたのですが、本人が軍国主義への賛同 となるような描きかたを絶対にされたくないという意志表示をされたもとで書か れた作品ということで、戦争の厳しさ、ファシズムへの流れやすさをダイレクト に伝える、かなり厳しい内容です。それでも日本人が多く見てるというのは、出 演者のパフォーマンスの作り出すものの大きさが評価されているのだと思います。 この日は、初演からのメインキャストである野村玲子、保坂知寿などの出演で、 子供時代のシーンは少し唖然とするものもありましたが、なにより自分達のミュ ージカルを演じているという誇りがすばらしかったです。 年配者には辛いかもしれないけど、一度は見てほしい作品だと思います。四季の オリジナルとしては長く残る有力候補でしょう。

06月04日 扉座「いとしの儚」 紀伊国屋ホール 4000円

今、見る人の心に触れる戯曲を書かせたら一番の作家はと聞かれたら、やはり横 内謙介だろうと思うのですが、「いとしの儚」もすごいといわざるをえません。 日本以外で通用し難い内容ではありますが、日本人の心情を理解したい外国人に ぜひ見て欲しい作品です。

扉座

06月04日 ログハウス「幾線の森」 千本桜ホール 2800円

第1回公演ということです。リストラされ借金にも追われた中年男が、樹海で首 を吊ろうとしていると、道に迷った若い男が現われ、これをひきとめる。そこへ 今度は女子高生があわられ、2人をオヤジ扱いして元気はいいのだが、自殺以外 にこんな所へ来るわけもなく、男達は心配になる。女子高生は輪姦されたことで 男に恐怖を抱いていたが、この中年男とは気が合い、酒乱の父親から暴力を受け ていたことまで話す。若い男の積極的な生き方は無意識に周囲を傷つけていたこ とを、他の2人はわかるのだが、なかなか本人にはわからない。ともかく樹海を 脱出することで合意した3人に山火事が襲いかかる。。。
扉座の後でも、迫力負けしない、今年の千本桜の中でも佳作の作品だと思います。 半お笑い、半真面目な内容でしたが、樹海の中で脱出不可能という、特殊な状況 をうまくつかい、人間性あふれるドラマをつくっていたと思います。主要キャス ト3人の年齢も少し離れていたとおもいますが、まとまり良かったです。 しかし、主役女優、終わった途端に廊下で、女子高生スタイルで一服はいかんぞ。 キャストにとっての終演はステージの終わりかもしれないが、観客にとっての終 演は早くて、その日寝るときだ。

06月10日 イプセンを上演する会「ヨーン・ガブリエル・ボルクマン」 新宿新生館 2000円

1896年に発表されたイプセン最後から2番めの作品です。破産した銀行家ボルク マンは、若い時、自分を愛してくれていた女を出世の道具に使い、その女の双子 の姉を妻とした。横領の罪で懲役に服した後、夫婦は妹の世話で隠遁生活を送っ ていたが、ある日妹がボルクマンの息子を養子に欲しい、いや姉夫婦の所には置 いておけないと言ってきた。姉であるボルクマン婦人はボルクマンが実は妹を好 いていたこと、破産した後会いにも来なかったことで妹を憎みヒステリー状態。 息子は母である姉、おばである妹のどちらにも苦痛を覚え年上の女と付き合って いた。。。
この本すごく気に入りました。劇としては不自然な展開や、暗がりの中が多かっ たりして見やすい作品とは言いにくいのですが、苦境の末に壊れかかった人間た ちの理性と感情が入り交じった精神がみごとな描かれかた。 キャストが若すぎてリアリティに欠けると言っては、わがままでしょうけど、と もかく満足。

06月10日 ラヂオフレンドリーユニットシアター「ジュニオール」 千本桜ホール 1000円

はじめて見ました。大学生のようです。大陸の交点ともいえる砂漠国家が海に 飲み込まれる転変地異におそわれようとしていた。野心に満ちた旅人と村の娘 が国王の地位を狙ったことで国は大混乱。単純で笑えるやつと予想していたの ですが、意外と渋かったです。殺されかたの不条理さはなかなかうまく作って いたと思います。ただゲームのような進みかたが馴染めなかったです。

関西遠征 6/11〜16 劇場看板もよろしく。とりあえず簡単に失礼。

06月11日 MONO「錦鯉」 近鉄アート館 2800円

大阪語。MONOを生で見るのは初めてです。サラリーマンからヤクザの小組の親分に なった男と、最近加入した旧友、先代の息子や先代の頃からの子分たち。規制強化 や外国組織の進出で苦しんだ末に取った行動は。。。
作品の良さで注目高いMONOですが、特に大阪では話術の良さが客に受けているよう に感じました。内容の考察は後日書きます。

MONO

06月11日 とっても便利「GOOD MOTHER」 HEPホール 1800円

標準語。当日券で。すこし昔のアメリカの話。洗礼の日に居なくなった子供が戻って くると町に災いが起こるという言い伝えがある町で、画家の子供が消え、10年後に戻 ってきた。母親は彼を隠すが、町には噂が広まり捜索が始まる。母親にとっては、か わいいわが子であるが、その正体は。。。
終盤ホラーじみてきますが、前中盤はクラシカルなソングミュージカルで、重からず 軽からず、次第にパニックになる様がうまく描かれていたと思います。音楽的に少し 単調かという気もしますが、この劇団を見慣れていないので気づかない所も多かった のではと思います。個人的に「李香蘭」の翌週ってのもインパクト損してるかも。

とっても便利

06月12日 宝塚星組「黄金のファラオ/美麗猫」 宝塚大劇場 7500円

標準語。エジプトでファラオに似た剣士が、急病のファラオの代りに活躍する話。 クラシカルな情緒が楽しめる。ミラキャットは猫スタイルのショー。

06月14日 スーパー歌舞伎「新・三国志」 松竹座 4200円

標準?語。昨年初演の作品を再演。来年は「新・三国志2」やるそうな。派手な演出 は驚くといえば驚くけど、どうもかけ声がじゃまで、役者を見たいわけではない私に は馴染みにくいです。

06月14日 四季「ライオンキング」 MBS劇場 3150円

一部大阪語。約1年前東京で見たので、特に驚きはないのですが、感情表現が淡白 に感じるのは、会話のテンポが重視されて、間を作らないためでしょうか。

06月15日 宝塚宙組「FREEDOM」 バウホール 4500円

標準語。バウホール公演の初日なんで、いかにもスキモノな人が多くて大劇場とは 異なるすごい雰囲気でした。男性客が見るにはかなり気恥ずかしい内容だったかも。

06月15日 199Q太陽族「なしくずしの死」 芸術創造館 3300円

「最後の晩餐」(作 北村想)標準語。
「帰らない人」(作 岩崎正裕)大阪語。
「恋愛心中」(作 花田明子)標準語。
死にまつわる短編集です。最初のは化○○○料が好きなばかりに逆転ノックアウト をくらう男の話で、話の肉付けの仕方がちょっと効果弱いか。2番めは中華料理屋 の休憩時間にやってきたサラリーマンが前科のある若い店員に理不尽ないいがかり をつける話で、理不尽さがとっても気にいりました。最後はまじめそうな教員夫婦 のところに、さばけている妹夫婦や、実は夫の愛人の元教え子が来て、人は見かけ によらないよねという話。淡々と語り合う会話劇がいまひとつ好みでないので、私 としては2番目のが一番気に入りました。 駅近くのアイスクリーム屋でソフトクリームを買って食べながら帰りました。

06月16日 五木ひろし「大江戸夢芝居」 梅田コマ劇場 5000円

江戸語。やっかい事解決屋のようなことをやっていた道場の先生(五木ひろし)達が、 影富と呼ばれる非合法な富くじのたくらみに巻込まれて、悪い奴等に狙われて。。。 第2部の歌のショーは良かったんだけど、第1部の時代劇は年配者向きとはいえども、 あまりにおきまりな作りに作品そのものの魅力も弱く、緊張感が出ない顔だしね。 劇場の写真を撮りに行ったついでに見たようなものだけど、梅田コマ劇場の写真はシャ ッター押したつもりが撮れてませんでした。

06月16日 クレセント・フェイス「Anodyne-鎮痛剤-」 扇町ミュージアムスクエア 1500円

標準語。主演女優急病のため代役になったそうです。Xペインという原因不明の胸が 痛む病気が発生し、日本で最初の患者が製薬会社の研究所に極秘入院してきた。 さまざまな鎮痛剤が使われるが、効かなくなってきて、新開発の薬が試される。そ れもすぐに効かなくなってくると、さらに強い薬が作られ、ついに使うと脳が収縮 して廃人になる薬を使わざるを得ない状態になる。。。
大阪最後の夜なので東京で見られない劇団を選んで見にいきました。満足満足。

クレセントフェイス

06月17日 超電磁シアター「MAROKO」 千本桜ホール 1200円

大阪から戻って、荷物を置いて、また劇場へ。ある平凡な一家の生活に、ひ孫だと いう娘が飛び込んできた。タイムマシンで来たという。妻は家出、夫は失業、息子 もグレて家庭大崩壊。さてはて、彼女の正体は?。押井守のアニメが原作。
若い人達が旗揚げ公演で、ホームドラマというのも、もっと他にやることあるんじ ゃないと思いますが、劇の作り方が特殊といえば特殊でした。ひとりひとりの台詞 が、非常に長く、延々と語るのです。アニメの方がどうだったのか知りませんが、 どうしても重くなってしまいます。ナンセンスな展開そのものはおもしろかったの で、会話の作り方を工夫してほしいです。

06月17日 コクーンレパートリ「キレイ」 コクーン 7000円

コクーンプロデュースといいつつも、大人計画色に満ちた、しばらく本公演なかっ たからファンには垂涎の公演だったでしょう。きたなく、ゴミゴミした世界の中に、 そして日々を生きるために押し殺した心のなかに、きっとキレイなものがあるの でしょう。限りなくインパクト強いです。全国の美少女ファンの願いのために、 完全なるものを目指すオキナがなんかもう。。。

06月18日 空間詩人「untitled」 タイニイアリス 2800円

初めてみました。第2回公演とのことです。ベストセラーになった詩集の作者が行方 不明となり、出版社の人が探し出した時、詩人は先天的に五感を失った男と事故で 10年間眠っていた男と暮らし、言葉の本質を探し求め苦しんでいた。出版社の男は 詩人が精神病院にいたことの公表と引き換えに、新しい詩の創作を要求する。人類 最古の言葉を継承したアフリカ言語を使って書かれたメッセージに新しい詩のあり かを記した詩人は再び姿を消す。
他劇団の公演にいくつもりが、時間を間違えて、開演に間に合った本公演にたまた ま入ったのですが、「キレイ」の3倍くらいショックを受けました。こういうのが あるから東京も捨てたもんじゃない。

06月18日 中央大学ミュージカルカンパニー「Last Stage」 アートボックス 600円

初めてみました。26才の売れない女優が、主役のチャンスを手をした時、死神が寿 命を告げにやってきた。。。
みんな気合の入った歌でなかなかおもしろかった。主役が結構がさつなキャラクタ なんだけど、歌になると妙に硬い表情になってしまって、もう少し喜怒哀楽が出せ れば。

06月20日 パルコプロデュース「オケピ!」 青山劇場 4000円

当日券予約で取れたので、3時間立ち見に挑戦しました。ブロードウェイの異色ミ ュージカル風でしょうか。笑えるという点では史上最高かもしれません。「キレイ」 もなんですが、ミュージカル作家でない人の作品ということで、通常のミュージカ ルでたまにあるギャグ的なせりふが孤立しがちな事がなく、連発して盛り上がりま す。いっぽう音楽が、特に歌が劇内容に意味あるかというと、やはり弱いように思 います。国産ミュージカルがこの先、高まっていくかどうかまだわかりませんが、 おおいなる一歩を記したのは確かでしょう。 せりふの時代春号のインタビューが、きっかけから製作までのいろいろが語られて いて、見てから読むのが良いでしょう。なるほどと思うことあります。
私も座席が前のときは休憩時間にオーケストラピット見にいってしまいます。

06月24日 東京P.R.O.「15X」 千本桜ホール 2300円

この劇団は2回目ですが、女性キャストだけの企画は初めて見ました。男にだ まされたウエディングドレスの女が自殺しようとビルの屋上にいた時、変な2 人がやってきて、ライフルで向かいのビルを狙撃する。現場を見た女は連れ去 れれる。一方謎の暗殺集団15Xを調べていた女刑事が、今回の事件も15Xの仕業 とにらみ調査を進めていくと、15Xは戦時中に開発された戦闘アンドロイドら しいことがわかる。15Xにはマザーと呼ばれる150と、151、152、154、155が居 て、154はOLになりたいとか155もこの仕事をやめたいとか人間らしいココロを 持ちはじめていた。。。
ありがちなSFメルヘンだけど、なんとなく良かったです。ドジな155が面白く 演じられててGoodでした。

東京P.R.O.

06月24日 千年銀河「GUREN物語」 スペースゼロ 1500円

はじめて見ました。聞いたことない劇団でしたが、観客はかなり入っていまし た。初の時代劇だそうで、雪舟の絵から女が抜け出たことにより、子午線が歪 み、鬼が人をあやつり応仁の乱が起きたという設定で、その女と能楽師の悲恋 の物語です。雰囲気的にはこの前の扉座のヤツと似ています。太鼓あり、歌あ り、笑いありで盛りだくさんでしたが、時代の裏側にある核心的なドラマを描 いたにしては構成が弱くて、もう少しフィクションなりのリアリティを作って ほしかったです。

06月30日 天狼プロダクション「キャバレー」 シアターVアカサカ 6500円

栗本薫の同名小説の舞台化で、16年前に角川映画としても作られているそうです。 東京の下町にあるショーキャバレー・BROADWAYにダンサー志望の家出少年がころが りこんで来てバイトを始める。しかしNo.1ホステスの英子がかわいがったために、 組の若頭や先輩バーテンに睨まれる。実質的に組を仕切っている代貸は、はじめ組 の者が素人に迷惑をかけてはいけないと思い仲裁を始めるが、閉店後に練習してい る少年のダンスを見て、ある決心をする。。。
今週もミュージカルを見なさーい。という悪魔のささやきに誘われ当日券で見まし た。前半がキャバレーのショーとして歌やダンスがあって、雰囲気のいい大人向け ミュージカルかと思っていたのですが、後半はやってくれました。ダンサーとヤク ザって取り合わせがやっぱり角川でしか作れないでしょうね。パフォーマンス的に は、個々のシーンはハイレベルで見るべき物が多かったと思います。気になったの は伏線のはり方がわざとらしいので、若い人向けには意表を突く展開の方がよかっ たのでは。

天狼友の会

2000年1〜6月で、77作品、「陽のあたる教室」のみ 2回見ました。

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